見出し画像

やっとたどりついた自分なりの答え…カウンセリングとは何か

心理学の勉強をはじめて、早20年…(!)。
寄り道したり遠回りしたり、多くの臨床心理士が通らない道ばかりを選んできて、”カウンセリング”とまっすぐ向き合ってきたわけではないけれど、それでもずっと心の中で大切にしてきました。


健康な人がカウンセリングを当たり前に受けられる社会になってほしい、という願いがあります。
でも、日本では到底無理だと思っていました。
”カウンセリング”という言葉にどうしてもネガティブなイメージがついてまわっているように感じて、どうしてそんなイメージが定着してしまったのかと、悲しく思っていました。

でもじゃあ、カウンセリングとはいったい何なのか。話を聴く時間?自分と向き合う時間?
いろいろな定義が存在していると思いますが、なんだかどれも抽象的で。
私の中でもこれといった明確な答えはないまま、ただひたすら、目の前のクライエントの気持ちに寄り添うことを大切にしてきた気がします。


昨日、その答えがはじめて言葉になって降りてきました。

カウンセリングとは、自分をケアするための新しいシステムをカウンセラーと一緒に作っていくプロセス。

こんな感じ。

ケアするというのは、自分を大切にする、いたわる、許す、認める、信じる、みたいなイメージ。

誰しも、自分をケアするシステムを持っているはずなのですが、これまでの人生の中で傷ついたり小さなトラウマを抱えて(たとえば、本当は誰かにケアしてほしい時に「あなたが悪い」と言われて、そうなんだと思わざるを得なかったとか、記憶にはなくても無意識に残っていたりします)、そうした経験の積み重ねから、本当はケアが必要なのに、自分を追い込んだり傷つけたりすることを無意識にやっている人が実際にはかなり多いように思います(たとえば、大事なプレゼンがうまくいかなかったとき、「悲しかったね、悔しかったね、でもよく頑張ったね」ではなくて、「もっと頑張らなかったからだ、自分はダメだ」と自分に厳しい言葉をかけていたりします)。健康な人も例外ではありません。
でも、普段はそういった部分を無意識に追いやったり、気にしないようにしたりしてやりすごしているので、気づくことはほとんどないと思います。そして、限界がくるとメンタル不調になる、すごくおおさっぱですが、こんなことが起きているだろうと思います。


時々役に立つけど時々マイナスにも働く自分の中のケアのシステムを、カウンセラーと一緒により良いものにしていく。今の自分に必要なものは強化して、不要なものはこれまでに感謝して押入にしまって、新しいシステムを育てていく、カウンセリングではこういうことをしているのだと思います。

だとすると、健康な人でもやってみようかな、という気持ちになりませんか?(願望)


私自身、今カウンセリングに通っていますが、少しずつですが確実に、生きやすくなっているという実感があります。
以前は自分がいけないのだと思ってしまっていたようなことも、まぁいいか、なんとかなるさと、心を軽く受け止めることができるようになりました。
自分をケアする方法を新しく修得していく、自分なりの形を構築していく、それは一人では難しいこともあるので、カウンセラーと一緒に探していく、そんなイメージです。

カウンセラーから見えているものを共有することもありますが、それはあくまで見え方の一つであって、カウンセラーが必ずしも正しいわけではありません。
こんな風に見えるよというのを共有して、それをどう感じるかを確認して、それが助けになるなら取り入れたらいいし、助けにならないなら捨てればいい、主役はあくまでクライアント本人です。
話したくないことは話す必要はない、自分をケアすることが一番大切ですから、これは話したくないと気づけたことも大切なケアの一部。それを尊重したいしすべきです。


これまでは、カウンセリングという言葉を使うことになんとなく抵抗がありました。
カウンセリングという言葉を使うことで、”自分には関係ない”と切り捨てられてしまうのが怖かったのだと思います。
でも、今回カウンセリングを自分なりに定義することができて、それとセットでなら、自信をもってカウンセリングをおすすめできるような気がしてきました。


自信を持ちたい。自己肯定感を上げたい。不安を軽くしたい。プレッシャーに打ち勝ちたい。優しくなりたい。強くなりたい。人に認めてもらいたい。

こうした想いを実現するために、土台として絶対に必要なのが、自分をケアしてあげる力です。
自分を上手にケアできるようになることで、こうした想いは少しずつ形になっていくと私は思います。
そのサポートをする方法の一つに、今後カウンセリングがなっていったらいいなと思っています。


もちろん、すべてのカウンセラーがこのような想いでカウンセリングをしているとは限りません。
なので、あくまで私の中でのカウンセリングの定義だとご理解いただければと思います。
ただ、皆さんがカウンセラーを選ぶ時の指標としてなら、活用していただけるかもしれません。
もしカウンセリングを受けてみてしっくりこなかったら、それがあなた自身のケアに役立っているかどうか自分の心に聞いてみてください。傷ついた、苦しかった、という場合は、そのカウンセリングは少なくともあなたにとっては必要なものではない、と割り切って、他を探していいと私は思います。


これからの私の進みたい方向を指し示してくれるような、嬉しい日でした。
記念に書いたnote、読んでくださってありがとうございます。
あなたが自分を大切に一日を過ごせることを心から願っています。


補足:この考え方は、AEDP(加速化体験力動療法)とCFT(コンパッション・フォーカスト・セラピー)の考え方に強く影響を受けています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?