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100キロ翌日の回想

 起き続けること40時間、歩き続けること24時間の後の8時間の爆睡、気持ちの疲れは達成感で全くなし、ただ身体の疲れはしっかりと残って痛みと軋みとして張り付いている。それでも動き始めの痛みとギクシャクをやり過ごしたら日常生活には問題なし。今日が体育の日なんだ。一緒に頑張ってくれたシューズとリュックサックを洗う。洗いながら昨日のことが走馬灯のように頭に浮かぶ。

 100キロウォーカーあるあるなんだろうか。マメ予防で巻いたテーピングがきつくてマメの痛み以上に締め付けの痛みがゴールまで続いてしまう。50キロを超えたあたりから、日も変わった2時前後に、毎回とぼけた様子でどこからとなく、そいつはやって来るんだな。まず左右のふら付きでそいつの出現に気が付いて、大きく息を吸い込んでみたり、肩を回してみたりもするけど、しつこい奴で、更に全身の巻き付いて来る。睡魔と言う悪魔、こいつが毎回毎回、悪さをする。

 前回も歩道から足を踏み外しあわや転倒寸前ということも、疲れもピークなんだから、そいつの望み通りに止まってちゃんと仮眠をとってやれば済むことなのに、先を急ぐあまり深みにハマる。今回のこと、歩きながら眠るのはいつもと同じ。今回は歩きながら眠って夢を見たのよ。覚めた時は、歩道に立った状態で止まってて、それにもびっくり。後は幻覚、夢と繋がっていたのかも知れないけど、緑色のかみさんの財布が落ちていて、かがんで拾おうとしたら道の真ん中に生えた雑草の緑だった。次は気が付いたら立ったままフェンスを両手で掴み張り付いて寝ていたこと。そんな朦朧とした覚醒と昏睡の繰り返しが約4時間くらいだろうか、夜が明けて空が完全に明るくなるまで続く。立石峠で少し目が覚めて七曲峠で完全に起こされる感じだった。そして、ここから逆に疲れ果てていた身体に、体内リズムがそうなっているかのように、一日に必要な元気が注入されて行くのが分かるんだな。不思議な感覚だ。

 後は向こうの建物、信号機、景色をその都度、目標にして歩き続ける。日出の海岸沿いに別府湾が見えると、遥か向こうにロイヤルホテルが見えて、大分ガスの球体が見える。車や自転車の10キロでは到底感じることの出来ない彼方感に怯んでしまう。ここからは止まない雨と圧し掛かる疲労を抱えて、改めて一歩一歩と痛む足を前に出すだけ。やがて遠くにあったロイヤルホテルが眼前にそびえ、豆粒だったガスタンクが実寸大となり、後2キロを切る。身体が傾くこともなく、足を引きずることもなくゴール出来た。

 以上、暇な体育の日に、もう一つのレポートを書いてみました。
20231009

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