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31歳、代表の右腕。劣等感をのりこえた先にある、等身大の講師とは

「mimosaをつくる。それは、一匹狼で生きてきた私にとって、人生で一番悩んだ選択でした」

そう話しはじめたのは、mimosa共同代表の角野杏早比さん(以下、Asahiさん)。
Asahiさんはmimosaの講師として授業をリードし、親身に受講生の相談にのるお母さん的な存在。そんな彼女が語ってくれたのは、表では決して見せることのなかった一面でした。

ShioriさんとAsahiさん

「自分なんかに、できるわけがない」と常に自信をなくし、逃げ出そうとする彼女を支えたのは、ニューヨーク在住の映像作家で、Asahiさんと共にmimosaの代表を務めるShioriさん。今回は、Asahiさんが自分自身の弱さを乗り越えながら、二人三脚で歩んだmimosa成長のアナザーストーリーです。

【角野杏早比(すみの・あさひ)さん】1990年愛知生まれ。2歳からカメラに触れ、ディズニーランドのショー・パレードで撮影スキルを磨いた小学生時代。中高ではダンス部や応援団の動画を撮影し、みんなに喜ばれることが生きがいになる。大学在学中から映像制作会社でエンドロールの制作に携わった後、フリーランスとして独立。ワンストップで撮影から編集までを行うスタイルを企業向けに展開し、地方の中小企業向けに企業VPを手がける。2021年からは講談社ViViのYouTubeチャンネルのディレクターを務める。2021年9月mimosa合同会社設立、共同代表。世界2周目を計画中、ノマドワーカー。https://lit.link/asahisumino

Shioriさんと運命の出会い

-Asahiさんと言えば、フリーランスの傍ら世界一周したり、mimosaを創業したり、ドローンのライセンスを取ったり、「努力家でチャレンジャーな先生」という印象を持ちますが、人生最大の挑戦って何でしょうか?

う〜ん。挑戦というか、自分でも驚いていることは、Shioriさんと会社を立ち上げたことですね。

-mimosa合同会社ですね。

はい。女性限定の動画編集スクール運営以外にも、映像作品の制作も行い、Shioriさんと共同代表を務めています。

mimosa富士山合宿

でも、私は本来みんなと何かを共にするタイプじゃなくて。ずっと1人を選んで生きてきたので、まさか誰かとチームを組んで、事業を立ち上げて、会社までやるとは。私の周りの人も「あのAsahiが?」と驚いています。

私にとって、誰かと組むのは挑戦であり、ある意味苦しい道なんです。というのも、今までの私は1人が「楽(ラク)」だと考えていたし、それなりに稼いで、旅をして、楽しい生活ができていたんですよね。

-しかし、運命的にShioriさんに出会ってしまったんですね。

はい。コロナ後、オンラインでの編集案件で出会ったのが最初でした。初めはチームの定例会議で顔を合わせる程度でしたが、「女性の映像クリエイターはめずらしい」ということで連絡先を交換して、個人的にもやりとりをするようになって、「動画編集は女性に向いている仕事だよね」「男性が多い映像業界で女性の活躍の場を広げたいね」などと話していたら、しおりさんのツイートがバズりました。

この投稿をキッカケに「女性限定のコミュニティに興味ある人!」と呼びかけたところ、2日間で60人ほどから応募があり、精査の上 約30人が集まるコミュニティが立ち上がりました。(このコミュニティは試験的に2か月程無料で運営し、これが後のオンラインスクールの原型となります。)

このスピード感にぞくぞくして。「Shioriさんと一緒だったら、1人では見ることのできなかった世界が見えるかもしれない」という期待で胸が高鳴りました。

そんな中で、「来月帰国するからロケに来ない?」と誘われて、報酬が出るわけでもないのに「行きます!」と二つ返事で答えてました。

ただ、このロケで私の心は折れてしまったんです。

夢のような方々とのロケでした

当時、Shioriさんに会うまでは、きっと私と同じスキルレベルのクリエイターだろうと思っていました。ただ、実際にお会いすると、アーティストクリエイターとしての世界観が衝撃的過ぎたんですよね。もう、スゴかった。私にはとうてい手の届かない領域で映像と向き合っていて。私は自信をなくし、自己肯定感が下がり、2週間のロケ中、毎晩逃げたくて泣いていました。

最終的に「Shioriさんとは、レベルが違いすぎるので一緒にやっていく自信がないです」と、一緒にオンラインスクールを立ち上げることを断りました。でもShioriさんは「私はAsahiさんとやりたいと思っているよ。素晴らしいスキルがあるのだから、自信を持ってほしい。」と言ってくれて。この人が私を認めてくれるなら、私が私に期待しない理由はないと気持ちが揺れ動きました。

こうして、自分の中ではだいぶ背伸びする選択だったけど、女性限定の動画制作スクールを立ち上げ、その後共同代表という形で合同会社も設立しました。

右腕に選ばれた光と影

-人生最大の決断からmimosaが生まれ、現在4期まで順調に運営されていますよね。私は2期で参加しましたが、本当に居心地のいいコミュニティかつ、スキルも着実に伸びる温かいスクールだと実感しています。

はい。私も自信を持ってスクールの内容は保証します。ただ、もうここまで話したので白状しますが、私はスクール運営の裏で、自分の自信のなさから3回くらい逃げようとしたことがありました。

いつもその原因は「私がShioriさんと肩を並べていいのだろうか」という自信のなさからくるものでした。Shioriさんには「身内を褒めるな!」って言われるんですけど、彼女は努力の天才なんです。努力の量が圧倒的に多く、それを楽しんでやっているところは特に尊敬しています。

しかし、今年の初めに 緊張感のある撮影が続いた時に、私が自分の余裕のなさを八つ当たりしてしまった日があって。その時、「私はAsahiさんをずっと支えてきた。でも私のことは誰が支えてくれるの?」と言ったんです。そこで私はハッとしました。いつもShioriさんを神格化して、ひとりの人間として見ていなかったなと。強く見えていた彼女も、ビジネスパートナーとして支えてほしい」と願っていたんだなと。初めて彼女を全力で支えたいと思ったし、ちゃんとパートナーになりたいと思いました。

-覚悟が決まったんですね。

はい。彼女と一緒に生きようと決めました。

先日、Shioriさんとアメリカのニューヨークで取材撮影をする機会がありました。そこで、日本文化に携わるビジネスを展開されている方々を取材する中で「自分の好きなことを追求した先にある世界」を見せてもらいました。競走の激しいニューヨークの街で強く生きる彼らの生き様は意外にもシンプルで、「自分の今やれることをやるしかないんだ」というマインドを感じました。それと同時に、「自分は今できることすらできていなかった」と気づきました。私は、憧れる人と比べて、自分のできない点ばかりに注目して、今できることすら放棄していました。

「人と比べるのはやめよう。今自分ができることをやろう」
そう、心に決めた自分がいました。

確かに、映像づくりのスキルで比較したらShioriさんには敵わないけど、彼女にも苦手なことはある。そして、私は自信がないだけで、できることは意外とある。だから、彼女の苦手なことを私が全部ひきうけるから、彼女には120%の力を発揮してほしいと考えるようになりました。

もちろん、自分のスキルのなさに落ち込むことはあります。ただ、今までだったら辞めたいという気持ちに逃げていたけど、今は乗り越えようという気持ちが強くなりました。うん、「辞める」という選択肢は一切なくなりましたね。

撮影監督を極める

-「Shioriさんと同等の自分にならなければ」というプレッシャーを勝手に背負っていた自分から、少しずつ自分らしさを取り戻していったんですね。

そうなんですよね。私の作風は、どちらかというと商業クリエイターとして企業向けのフォーマルな作品が得意で、自分のやりたいことでもありました。でも、アーティストクリエイターのしおりさんに出会い、ものすごく憧れて影響を受け、本来自分が目指したい姿ではないのに無意識に目指してしまったんですよね。

ただ、 彼女と一緒にmimosaでやっていくと決めたということは、つまり私もアーティスティックな作品に関わっていくこと。そうなると、自分はどういう関わり方をしていこうか考えました。

最近の映像クリエイターは企画、ディレクション、撮影、編集など、作品の全てをワンストップでやる方も増えてますよね。Shioriさんもワンストップでやることもありますが、特にディレクターとしてゼロイチを作ることが得意です。その中で私が価値提供できて、かつ楽しめるのは「撮影」なんですよね。私もフリーランスの時はワンストップでやってきましたが、やっぱりカメラが一番好きで、ずっとカメラに触れていたいし、モニター越しに色んな世界を見ていきたい。むしろ「私には撮影しかない」と、いい意味で気づき始めました。

-ビデオグラファーとして、目指す姿はありますか?

日比谷フェスティバル「NEXTアーティスト」のMV撮影で、私は15作品すべてのカメラマンとして参加しました。そこでShioriさんに「Asahiさんには、DP(Director of photography=撮影監督)を目指してほしい」と言われてから、私もそれを意識しています。

つまり、ただディレクターの指示通りに動けるカメラマンではなく、構成に合わせた機材の選定から構図、アングルなどをディレクターに提案できるカメラマンを目指しています。

嬉しいことに、日比谷フェスティバルでは、他のディレクターの方から「Asahiさんはめっちゃ提案してくれてやりやすい。また組みたい!」と言われて自信になりました。女性カメラマンという珍しさにおごることなく、「カメラマンはAsahiさんで」と指名される人間になりたいです。

日比谷フェスティバル「NEXTアーティスト」のMV撮影

-DPを目指す中で、Asahiさんの強みってなんだと思いますか?

強みにしたいことは、「徹底的に準備すること」ですね。

私は、基本的に自信がないんです。アイディアマンじゃないからこそリファレンスを集め、現場で緊張しないためにリサーチを行います。

特に撮影中は、次に何があるかを想定して準備を重ねることがいい撮影につながり、いい作品につながります。自分はアーティスティックな発想が乏しいからこそ、泥臭く基本的な準備を確実にやることがプロとしての仕事だと思っています。

プライドを捨てた、等身大の講師として

-Shioriさんと生きていく。つまりそれはmimosa中心に人生を歩んでいくことを意味すると思いますが、mimosaの講師としては、どのように歩んでいきたいですか?

今まで「講師として、Shioriさんと同じレベルの存在にならなければ」と思い、変なプライドから自分をよく見せようとしていました。講師である以上、弱い面を見せちゃダメだと強がってたんですよね。
でも、これって誰のためでもないなと最近思うようになりました。だって、講師のスキルはあるけど、Shioriさんに憧れる気持ちは、受講生に近い部分もあるはずだから。

きっと、みんなShioriさんに憧れてmimosaを受講し、色んな夢を見て葛藤していると思うんです。

憧れからの成長意欲、それがすぐに結果に出ないもどかしさ、それでも諦めたくない自分らしい作品の追求…など、受講生も色んな気持ちを抱いているはずなんですよね、私と同じように。

ただ、あの領域に行くには並大抵の努力ではできないと、彼女を一番近くで見ている私が一番知ってます。

だから、理想と現実の狭間で揺れる気持ちを理解しながら、よりその人らしい動画クリエイターを目指すサポートができるのは、私しかいないんじゃないかとも思うんです。

-うんうん、Asahiさんらしい等身大の講師像ですね。

先生と生徒という関係性も、実は違うんじゃないかとも思えてきて。

たしかに私は映像のスキルでは講師だけれど、それ以外の人生経験で言うと、受講生から学ぶことの方が多いんです。だからこそ、講師と生徒という関係だけじゃなく、同じ映像が好きで、一緒に楽しみながら、人生丸ごと高め合える場所を目指したいんですよね。

mimosa運営メンバーとin NYC

輝く大切な人たちを、後世に残したい

私は、いちクリエイターとして成長し続けたい気持ちと、それ以上にmimosaの受講生を育てたい気持ちがあります。

-選手からコーチを目指すような感覚ですね。

mimosaの受講生って、本当にいい人ばかりなんですよ。私以上に映像作りに貪欲で、その純粋さは羨ましいくらいです。そんな彼女たちがもっと輝けるように支える側に回りたいと思うようになりました。

この感覚って、映像が好きになった頃の感覚と似てるんです。

私は学生の頃、ダンス部や応援団でカメラを回して、ドキュメンタリーを撮ってみんなに配っていました。みんながキラキラ楽しんでいる姿を後世に残せる動画は、私にとって宝物でした。

そして今、キラキラ輝くmimosaの受講生をこの世に輩出できる、つまり後世に残せる喜びを純粋に感じています。

正直、mimosaを立ち上げてからのスピードが早すぎて、この先どんな未来が待っているか想像がつきません。ただ一つ言えるのは、これからもShioriさんの隣には私がいるし、mimosaを中心に生きている姿だけは、鮮明に頭の中に思い描けます。まだまだ自分に自信はないけれど、等身大の自分を好きと言えるように、貪欲に成長し続けたいです。


1人で生きる「楽(ラク)さ」を手放し、みんなで味わう「楽しさ」にあふれた世界に飛び込んだAsahiさん。自分の弱さをさらけだし、強さに変えていく姿を、きっとShioriさんは見越していたのかもしれませんね。仲間と共に生きることで、自分の魅力を再発見し、自分らしく生きていく。そんな動画クリエイターがmimosaから生まれる理由がわかったような気がします。

【取材・文=渡邉茜(mimosa2期生)】


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