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ちぐはぐでも幸せなことに気づいた

たとえば、おしゃれな家具を集めた素敵なお家の動画を見て、整った空間の中で過ごす動画に憧れて
「こんな素敵な暮らしがしたいな」って思ったりしても
実際うまく取り入れられなくて、ストレスになってしまったり。

7年近くひとり暮らしをしたアパートの一室は、
わたしの【すき】が詰まった部屋になっていた。
古いちいさなアパートだけど南と東に窓があって、
明るく柔らかな光が透過していきわたって。
ジュエリーボックスの中の手作りのピアスがきらきらしたり、好きなファブリックの寝具とクッションがアクセントになっていたり。

結婚して、昨秋引っ越しをして、夫婦で暮らし始めて。
人気のインテリアや暮らし系の動画を漁っては
「こんな部屋にしたいな」とか思ったりして。
トライしてみて、色々うまくいかなくて、またなにかトライして。
少し気づいた事がある。

理想の色に染めるのは、けっこう難題だということ。

わたしが居て、誰かといっしょに居て、猫が居て。
住む人それぞれの色が混ざれば、そりゃ変わるよねって。

緑豊かなお家が素敵。でもわたしはグリーンを生かすことができないし、まるがいるから植物の種類も選ばなければいけない。
それなら、それらしいフェイクグリーンをちょっと置くだけでいいか、ってなって。
まると一緒に住むことになって、サークルもキャットタワーも置いて、気づけばリビングにはトンネルやおもちゃが転がって。

ソファの後ろの白い壁には、なおさんの趣味の釣り竿がきれいに並んでいて、その横には無機質なシルバーラックにリールが置かれている。
カウンター下の棚には、なおさんが毎週欠かさず買ってくるジャンプ。

キッチンで作業しながら、ふとリビングを見渡す。
よくよく見ていた動画のそれとはかけ離れたような、ちぐはぐなリビング。
思わず感嘆した。大好きな家族に染められたこの空間の、なんと愛しいものかと。

なおさんがジャンプのページを捲る音を聞きながら、隣でコーヒーをすすったりとか。
なおさんが夜釣りに行くためのルアーを選別している表情をのぞいたりとか。
まるが、好きなボールのおもちゃと一緒に走り回っていたりとか。

わたしが欲しかった風景は、実はこれだったんじゃないかな。
だってわたしは今、ひとりじゃないのだから。
憧れの動画たちは、きれいを保つためのモチベーションを上げてくれるので今も見ているけれど。

私には家族がいるのだ。ふたりといっぴきがいるのだ。
3つの色があって、少しずつ織り交ぜながら出来上がっていく手織りの布のように。

そんなちぐはぐな染まりかたも、素敵なのだと。
家族の色と気配を感じられるこのリビングが、
わたしは結局、とてもとても好きなのだと。


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