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仕事に生きるのをやめる

私はここ4日間くらい、仕事もそこそこに気になる場所へ連日トレッキングや登山に行っていた。

たくさんの緑に囲まれた山道で川や滝の流れる心地良い音を聞きながら、美味しい空気を胸いっぱいに吸い込みながら歩く。そんなことをしているだけで、私の心は幸福感でいっぱいになった。


一番幸せだったのは「山頂から見える美しい景色を眺めながら、おにぎりを食べること」だ。


山登りは急な坂や階段が続いたり、足場が悪いところを進んだりすることが当たり前のようにある。私が行ったところは初心者でも大丈夫とされる難易度の低い場所だったけれど、それでも「最後まで登るのはきついかも」と何度も思った。

でも頂上から見える景色が綺麗なのは知っていたし、残り200m・100mとゴールが近づくにつれ最後まで登り切りたいという思いが強くなり、時間はかかったけれど無事に山頂までたどり着くことができた。

一呼吸おいて山頂の立て看板があるポイントまで行くと、そこには美しい山々と緑がいっぱいに広がっていた。私は言い表すことができない感動を覚え、何もかも忘れてただただその景色に見入ってしまっていた。

思う存分景色を堪能した後、食事の時間を取ることにした。他の人の邪魔にならない場所へ移動し、リュックからおにぎりを取り出して食べる。

コンビニで買ったおにぎりだけど、山頂からの景色を見ながら食べるおにぎりは普段とは味が格段に違った。そして、今こうしている瞬間が本当に幸せだと感じた。「明日死んでもいいや」と本気で思った。

これまでも幸せを感じる瞬間はたくさんあったけれど、どこか埋まらない隙間があったのだ。

数年前に「自然豊かな静かな場所で過ごすこと」が私にとって幸せを感じるポイントだと気づいてはいた。ただ、実際にどうしたら「本当に幸せ!」と言い切れる状態になれるのかそれがどうしてもわからなかった。


でも今回の体験で「こういう時間を過ごせるなら、お金も物も名誉も地位も何もいらない」という心の声にやっと出会えた。


今までは、生きている時間のほとんどを仕事に充てていた。今の仕事が好きなのが主な理由だけど、それ以前に仕事を減らしてまでやりたいと思えることがなかったからというのもあるし、もっと稼げるようになったらできる体験が増えて楽しいのではないか、もっと頑張れば働かなくても生きていける財産を築けるのではないか、と思っていたのもある。

でも、もうそういう生き方はやめることにする。


別に大金を稼がなくても、生活が問題なくできるくらいのお金を稼げればいい。そんなことよりも生きている間にできる限り色々な山に登ってそこから見える景色をこの目に焼き付けたい、そう強く思ったからだ。


家賃がそんなにかからないところに住んでいるから、20万円あれば私は問題なく生きていける。30~40万円もあったら、余裕のある生活ができるだろう。だからもう、頑張りすぎない。依頼してもらった仕事の手を抜くことは決してないけれど、仕事に大きくリソースを割くことはしないだろう。


フリーランスとして売上を追わないのはどうなのかと思う人もいるかもしれないけど、私にとってお金はあまり重要ではないし売上を追って生きるのはなんだか息苦しいしつまらない。


以前は「将来こうなりたいから、多少辛くてもこういう行動をする」といった計画を立てて生きていた。


でも、今の私は何年も先のために行動するのではなく「今日が最期の日でもいいや」と思える一日を積み重ねていきたいと思っている。そのためには、自然に触れる・山登りに行く時間が必要不可欠だ。


だから、私はもう仕事に生きる人生を今日でやめることにする。


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