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【シティリーグシーズン2優勝×1,ベスト4×2】ルカメタザシアン(12/19 TSUTAYA伊奈店,12/26バトロコ川崎駅前店,12月26日カードショップ竜星のPAO立川店)

0.前置き

※本記事ではカードの略称(例:アルセウス&ディアルガ&パルキアGX→ADP、ルカリオ&メルメタルGX→ルカメタ)を使用します。

※情報の付与として()、デッキアーキタイプとして【】、カード名として《》を使用します(例:【ピカゼク(《クワガノンV》入り)】)

 この度はシティリーグ優勝という久しぶりに誇れそうな戦績を得ることが出来ましたので、構築記事をアップさせていただくことになりました。普段は関東圏で活動しているちょっとした調整グループの一員として日夜(主に夜)ポケモンカードに取り組んでいます。私個人の大型公式大会での実績としては

・2017年CL池袋予選完走【ルガゾロガメノデス】
・2019年CL京都best64【グランブル】
・2019年シティリーグシーズン2 ベスト8【ADP】
・2020年シティリーグシーズン2優勝【ルカメタザシアン】(今回)

等です。非公式大会での入賞や個人全勝なども経験がありますし、調整メンバーにデッキを託したら入賞以上の成績で帰って来たなんてこともありますが今回は本人がデッキを作って本人が大型公式大会で勝った実績のみを記載します。

 前置きはここまでとして、以降当日のマッチング、【ルカメタザシアン】使用までの思考の遷移、デッキリスト決定の流れ、実際の完成したデッキリスト、各対面への狙うべきルートを記載させていただきます。

 【ルカメタザシアン】と対面した際多くのデッキでは処理を1つ間違えるだけで敗北につながることもあるため、【ルカメタザシアン】の使用を検討されている方のみならず、今後シティリーグシーズン2に出場される方は是非シティリーグ当日の1勝を購入するという気持ちで最後まで読んでいただけると嬉しいです。


2020年12月26日追記

 調整グループの2人(1人は59枚同じ、もう一人は60枚完全に同じ)がそれぞれ12/26のシティリーグ(開催地:バトロコ川崎駅前店、カードショップ竜星のPAO立川店)でベスト4まで勝ち上がりました。これで本リスト及びその派生リストで獲得したCSPは3人で合計100+50+50=200となります。

以上、追記終わり。

以下基本常態。

1.当日のマッチング

予選
1回戦:vs【ジュナイパー】(投了勝ち、《ギルガルドV》完成)
2回戦:vs【ガノンジュナイパー】(投了勝ち、《ギルガルドV》完成)
3回戦:vs【ADP】(6-3)
4回戦:vs【ムゲンダイナ】(6-5)
→予選全勝(オポネント2位)、決勝トーナメント進出

決勝トーナメント
初戦:【超MM】(LO勝ち)
準決勝:【ドガスダイナ】(6-2)
決勝:【セキタンザン】(4-3タイムアップ、《ザマゼンタV》2面完成)

 後述の環境予想の通り、【ムゲンダイナ】【セキタンザン】が多く着席時点で有利寄りなマッチが多発していた。

2.思考の遷移

2-A.デッキ分布とそれぞれのデッキの意識~【コズガ】中心のメタゲーム~

 今回のシティリーグで最も考慮すべき事項は最新弾「シャイニースターV」ではなく、世界一・日本一両方の経験がある第2期ポケカ四天王のヨネダタクヤ選手及び彼が所属しているチームの面々がシティリーグシーズン1で使用された【コズガ】のnoteの影響であると考えた。

<ヨネダ選手による記事。掲載許可ありがとうございます。>

 【コズガ】の構築は自由度が高いが故に、ある1枚が入っていない或いは余分に入っているだけでもデッキとしての完成度が変わる難しいデッキである。この記事は【コズガ】をどのように解釈しどのような60枚に仕上げるべきなのかという構築の課題を論理的に解説している。また、プレイングの課題についてもデッキそのもののゲームプランとしてサイド6枚の取り方を提示してる。さらに競技シーンで発生しがちな個々のマッチアップについては、どのポケモンでどのポケモンを攻撃するといった攻め方からこんな動きはしてはならないという守り方まで具体的に説明されている。今まで【コズガ】は最初のサポートで強い《溶接工》を打てるかどうかの運要素の強いデッキという扱いを受けていたが、先述の記事には強い《溶接工》を打つためのアプローチが盛り込まれており、従来でも強力であった【コズガ】が上のステージに昇華されたと感じた。 

 余談ではあるが実際私もシティリーグ2日前まで【ルカメタザシアン】を使用するか【コズガ】を使用するか悩み、【ルカメタザシアン】を仕上げる一方で【コズガ】がミラーへの勝率を上げる方法を模索していた。

 さて、このnoteが公開されたことによって何が起こるのか?それは【コズガ】及び【コズガ】に強い《クワガノンV》を搭載したデッキ(主に【ピカゼク】)の評価の上昇である。またそれに伴い【ピカゼク】に強い【セキタンザン】や【ムゲンダイナ】の評価も微上昇する。

 この後の環境はさらにこの2つのVmax主体に強い《ザマゼンタV》入りの【ADP】が上昇する…となっていく可能性もあるが、前述のnote公開から1週間ではそこまでのメタゲームの進行は起こらないと考えた。


 当時のメタゲームの進行としては【セキタンザン】【ムゲンダイナ】が【コズガ】に五分から微不利程度には最低でもなるようにカスタムされ、参加者全体では

【ムゲンダイナ】=【コズガ】>【ADP】>【セキタンザン】>【ピカゼク】>その他

といった分布になると予想した。


 幾つかのトップメタについて、その構築や練度が以下のようになると想定した。

 【ムゲンダイナ】は《ガラルマタドガス》《ミカルゲ》《混沌のうねり》を採用するのが主流になると考えた。【コズガ】にとって処理が面倒なルールを持たないポケモンを複数押し付けることが可能なこと、《巨大なかまど》のプレイ回数を抑えられることがその理由である。
 【コズガ】使用者の練度はnoteの影響で上昇するのは確定した未来だった。特に《ムゲンダイナV》以外のアタッカーや《リセットスタンプ》《混沌のうねり》《マリィ》あたりを妥協した【ムゲンダイナ】や、《カプ・レヒレ》《フーパ》《リセットスタンプ》《マリィ》を妥協した【ADP】、《ミュウ》《リセットスタンプ》《マリィ》とコンボギミックを妥協した【セキタンザン】に対する勝率は以前と比べて高まることは明白であった。
 逆に、【コズガ】に勝つためには、付け焼刃の対策カードを1,2枚入れることではなく、構築のテーマとして【コズガ】に強い要素を盛り込むこと(グッズロック、特性ロック、ルールを持たないポケモンを複数採用、リソース勝負)が必要であると考えた。
 【ADP】は従来【コズガ】に対して五分であったが、noteの【コズガ】に対しては不利を取るため使用者最多にはならないと予想した。使用者最多のアーキタイプとして取って代わるのは【ADP】よりは対【コズガ】性能のある【ムゲンダイナ】あるいは【コズガ】自身であるという考えだ。


 以上のメタゲーム進行のまとめをFig.1.に示す。

メタ

Fig.1. メタゲーム進行


2-B.デッキ選択【ルカメタザシアン(《リーリエのピッピ人形》入り)】に行きつくまで

 2-A.でいくつか具体的なトップメタを挙げたものの、現環境ではそれ以上に数多くのパワーデッキが存在しており、全てのデッキに対してタイプ相性やパワーだけで有利をつけることは不可能に近い。そこで、複数のデッキに対して半ば作業的に勝利することが出来るギミックを1つか2つ盛り込みつつ、作業で勝利できないマッチアップに関しては個々の処理ルートを用意していく形でデッキを選択することにした。

 ここで、予想でも使用者が多いとしていた【セキタンザン】【ムゲンダイナ】に対して作業的に勝利できる《ザマゼンタV》に白羽の矢が立った。

 初めに【ADP】に《ザマゼンタV》を2枚採用した形を検討した。しかし使用しているうちに、【ADP】としてのパワーはダメージロックより山を序盤からしっかり回して、相手より早くサイドを取り切ることに注力したほうが高いと感じた。

 次に、【コンボザシアン】にも同じく《ザマゼンタV》を2枚採用したものを検討した。この場合は枠の都合上必要なカードが必要な枚数用意できなかったため没になった。

 ここで、【コンボザシアン】からコンボ要素を抜いた【スピードザシアン】であれば最低限デッキとしてやりたいことを残しつつ《ザマゼンタV》を2枚採用できるのではと考えた。《くちたけん》を付けた《ザシアンV》で《ピカゼク》を倒せること、基本エネの多さからふとうのつるぎのヒットが多く【ADP】に殴り始めるスピードで勝てること、《カプ・レヒレ》により【コズガ】に最低限のアタッカーを用意できることからFig.2.の【スピードザシアン(《ザマゼンタV》入り)】の使用を検討した。

スピードザシアンザマゼンタ

Fig.2.【スピードザシアン(《ザマゼンタV》入り)】


 Fig.2.のデッキを実際に回してみたところ、【コズガ】に対してさらに《フーパ》を追加しても大きく不利であった。やはり予想の通り《カプ・レヒレ》がいても有利不利はあまり動かなかった。また、《ダンデ》が入った【コンボセキタンザン】には《ザマゼンタV》を使いにくい、【マルヤクデ】に勝てない、《ミカルゲ》《ガラルマタドガス》《イベルタルGX》《ヤミラミV》といった《ザマゼンタV》突破手段を複数持つ【ムゲンダイナ】にも厳しいゲームを強いられることも判明した。

 しかし、スタジアムを《戒めの祠》から《無人発電所》に変更してみたところ【コズガ】に不利が微不利程度に変わり、たまに勝てる程度にはなった。とはいえそこが【スピードザシアン(《ザマゼンタV》入り)】の限界値と悟り、このデッキで得た教訓をもとに次のデッキを模索した。このデッキで得た教訓とは

・《ザマゼンタV》2面を想定していないデッキには作業で勝つことが容易であり、また想定していても構築の軸がVmaxの場合はHPが230の《ザマゼンタV》を落とすのがやっとである
→《ザマゼンタV》を使用する鋼デッキ(鋼タイプのポケモンでは《ザシアンV》が最も強いテキストであると考えていたため自然と《ザシアンV》系統)でサイズアップが狙える《大きなお守り》《くちたたて》《ルカメタ》のどれかを必要なタイミングで使える枚数採用したデッキ且つ非【ADP】・【コンボザシアン】・【スピードザシアン】
・非【ADP】ザシアンデッキの基本エネルギーは多い方が対【ADP】の勝率が上がる
→【ADP】の基本鋼が大体8枚前後であることを踏まえて、こちらは基本鋼を9枚以上、出来れば10枚は採用したい
・対【コズガ】性能を上げるためにスタジアムを《無人発電所》に変更すると、《戒めの祠》による実質打点上昇が狙えなくなり、《ADP》を気絶させる性能が低下する
→《ADP》に極力触らずにゲームを終わらせることが出来る構築(つまり《ADP》にアルティメットレイを打たれても負けない或いはADPを気絶させなくてもアルティメットレイを打たれない)

の3つである。これらの条件を満たすものとして、《ザマゼンタV》2枚、基本鋼10枚、《無人発電所》採用でフルメタルウォールGXで《ADP》のエネルギーを剥がすことが出来る【ルカメタザシアン】が該当した。CL横浜以前に私が作成したリスト(Fig.3.)、CL横浜以降の公式大会で実績を残したリスト(Fig.4., Fig.5.)を元にプレイングの向上及びリストのブラッシュアップを図った。

CL前ルカザシ

Fig.3. CL横浜前の自作リスト


CL横浜2位

Fig.4. CL横浜2位


シティリーグシーズン1埼玉ベスト8

Fig.5. シティリーグシーズン1埼玉ベスト4


既存のリストをトップメタと対戦させたところ、

・《ジラーチ》《ヤレユータン》《アブソル》《カプ・レヒレ》は必要なタイミングで置く必要があるが、そのタイミングで《クイックボール》とそのコストにしても良いカードを持っているとは限らない。短期的に見たら使わないカードであっても、コストにすると数ターン後に使えない或いは使用可能枚数が減っているため負けるといったパターンが他のデッキより多い(早い話がルールを持たないポケモンを置くために《クイックボール》を使うことが弱く感じた)。
・《クイックボール》云々の話と合わせて、【ルカメタザシアン】は相手の入れ替えやエネルギーのリソースを詰めることを1つの勝ち筋にしているため、主力のドローソースに《博士の研究》を採用するのは不適切である。とはいえ《博士の研究》の縦引き性能・山圧縮性能には目を見張るものがあり、必要なカードに必要なタイミングで触れるような構築をしなければ0枚にすることは難しい。
・多くのデッキに対して(【ADP】除く)の負けルートは《ザシアン》⇒《ルカメタ》⇒ルールを持たないポケモンの2⇒3⇒1でサイドを取られた場合である。相手のサイドが残り1の時に《リセットスタンプ》を使用しても【ルカメタザシアン】は急戦を不得手としているためこちらが決着する前に相手に解決されることが少なくない。置かないで良いならルールを持たないポケモンは置かない方が良い。
・【コズガ】【マルヤクデ】に五分以上にするためには《鋼鉄のフライパン》《コーティング鋼エネルギー》の総数が最低4は必要。【コズガ】のエネルギーリソースと勝負して最後のサイドを取らせない詰め筋は強力である。合計3枚の《ルカメタ》《ザシアン》を使うため、サイド落ちを考えると3+1=4枚は必須で枠があるなら5枚欲しい。
・《メタルゴーグル》の重要度は下がりつつある。主に【ムゲンダイナ】の《ジグザグマ》による打点を消して《ザマゼンタV》を《イベルタルGX》から守るための採用だったが、【ムゲンダイナ】は《ガラルマタドガス》を採用し《ジグザグマ》だけで4点を乗せるのが困難になりつつある。
・元リストが過去のものであるため、現在増加傾向にある《ミカルゲ》《ガラルマタドガス》《ヤミラミV》といった《ザマゼンタV》突破手段を複数採用した【ムゲンダイナ】に対応しきれない
・【セキタンザン】はコンボ入りが流行しており、《ルカメタ》《ザシアンV》《ザマゼンタV》以外でスタートした場合《ザマゼンタV》に触られずサイドを取り切られる場合がある。
・【ADP】とのゲームはアルティメットレイから入って来るかオルタージェネシスGXから入って来るかによって難易度が変わるが、2エネついた《ADP》にフルメタルウォールGXを当てられるかが勝負の鍵。

といった課題や改善点が見られた(Fig.6.)。

画像5

Fig.6. 【ルカメタザシアン】の課題


 以上の課題のうち、一般と【セキタンザン】のものに関しては《ジラーチ》を始めとしたルールを持たないポケモンを全て不採用にすることで解決することが出来た。ルールを持たないポケモンを全て不採用にした場合《クイックボール》ではなく《キャプチャーエネルギー》で盤面を整えたほうがコストの管理が容易になることに気が付いた。また、ルールを持たないポケモンや《クイックボール》《エスケープボード》に割いていた枠を、弱点を消すためのカードに充てることが出来た。詳しくは対【コズガ】に記載するが、相手が《エネルギー回収》を採用していなかった場合、弱点がないポケモンを押し付けることによってエネルギーリソースを枯らして勝つという詰め筋が有力であると判明した。

 ただし、ルールを持たないポケモンを不採用にしたことにデメリットがないわけではない。後攻1ターン目の種切れ負け率が上昇し、ブレイブキャリバーの連打が困難になった。そこで、《リーリエのピッピ人形》を採用することにした。

 【ムゲンダイナ】の《ムゲンダイナ》以外のアタッカーはベンチに出たターンに《ザマゼンタV》を1回の攻撃で倒すことが困難なことから、こちらが相手のベンチポケモンを倒せるスナイプを入れる、あるいは《ボスの指令》で先に狩るのが良いと考えた。《クイックボール》を不採用としたことで必要なポケモンを適宜持って来るのは難しくなったため、《ボスの指令》を打てる回数を増やすことにした。これは、【ムゲンダイナ】のみならず【ADP】への課題の克服にもつながった(Fig.7.)。

もとめる条件

Fig.7. 【ルカメタザシアン】に求める条件


 【ルカメタザシアン(《リーリエのピッピ人形》入り)】はCL横浜やシティリーグシーズン1でも上位に入賞していたため、Fig.8, Fig.9.のリストをもとに組み替えていくことになった。こうして使用するアーキタイプとして【ルカメタザシアン(《リーリエのピッピ人形》入り)】が候補となった。

CL横浜ベスト16

Fig.8. CL横浜ベスト16


シティリーグシーズン1東京2位

Fig.9. シティリーグシーズン1東京2位


3.デッキリスト決定の流れ

キャプチャーエネルギーについて
 2.までで述べたように、本デッキでは《クイックボール》を採用せず《キャプチャーエネルギー》で盤面にポケモンを揃えることになった。最初に、従来の【ルカメタザシアン】に採用されていた《クイックボール》と同じ枚数として4枚の《キャプチャーエネルギー》を採用した。

 しかし、【ルカメタザシアン】において盤面に揃える必要があるポケモン最も多い場合でもフルメタルウォールを打つ《ルカメタ》、ふとうのつるぎで手札を作りつつ中盤以降の決定力がある《ザシアンV》or相手のVmaxからダメージをシャットアウトする《ザマゼンタV》、2枚目の《ザシアンV》《ザマゼンタV》or《ザシアンV》《ザマゼンタV》のうち場に出していない方の計3体であった。つまり、スタートしたポケモンに加えて2枚のポケモンを盤面に揃えることさえ出来ればそれ以降《キャプチャーエネルギー》は特殊無色エネルギー以上の仕事をしない。また、《タッグコール》⇒《グズマ&ハラ》⇒《キャプチャーエネルギー》というサーチルートを通ることによって【ルカメタ】をサーチできることから、《キャプチャーエネルギー》をプレイする必要があるのは1回である。故に《キャプチャーエネルギー》はサイド落ちをケアした2枚を採用することにした。


タッグコール関連
 ゲーム序盤に《ザシアンV》を置けるかどうかはふとうのつるぎのヒット数やゲーム全体を通して見られる山の枚数の増減に直結する。《キャプチャーエネルギー》を4枚採用していた際、先2あるいは後1の《ザシアンV》着地率は許容できるか許容できないかの瀬戸際であったため、《タッグコール》を上限まで採用しない理由がなかった

 Fig.9.の様に《タッグコール》を採用していても《グズマ&ハラ》を採用していないリストは存在していたが、ゲーム序盤に《キャプチャーエネルギー》をプレイする重要性が高いことから《グズマ&ハラ》はサイド落ちをケアした2枚を採用することにした。ここまでで最初のサポートのターンに《ザシアンV》につながるカードは《タッグコール》*4+《グズマ&ハラ》*2+《キャプチャーエネルギー》*2+《ザシアンV》*3=11枚、と実績を残している【ルカメタザシアン】であるFig.4., Fig.5., Fig.8, Fig.9.と同程度あるいはそれ以上になった。また、《グズマ&ハラ》から弱点がないポケモンを複数作る動きは強いため、《コーティング鋼エネルギー》《鋼鉄のフライパン》をそれぞれサイド落ちを考慮した2枚ずつ採用した。《鋼鉄のフライパン》3枚目は別のカードと悩んだが、対【コズガ】と対【ムゲンダイナ】の勝率を上げるのは《鋼鉄のフライパン》と結論付け、3枚目も採用した。

 《博士の研究》をメインのドローソースにしないことが2-Bの通り決定しているこのリストでは縦に山を掘れるカードの重要性が高い。そのため《シロナ&カトレア》は3枚の採用を検討した。しかしながら、《シロナ&カトレア》の3枚目が《博士の研究》と同程度の仕事を出来ているかというと甚だ疑問であり、その枠1枚分だけ《博士の研究》《シロナ》《とりつかい》《エリカのおもてなし》《ローラースケーター》のどれかを採用することにした。

 ブレイブキャリバー後の《ザシアンV》、裏に《リーリエのピッピ人形》が控えている時のバトル場のポケモンなどポケモンを入れ替えたい盤面が多発した。また、《タッグコール》を4枚と《シロナ&カトレア》を2枚採用しているこのデッキでは《ポケモン入れ替え》よりも《マオ&スイレン》の方が入れ替え札として信頼できた。故にサイド落ちを考慮して2枚採用した


採用ポケモン 
 端的に言えば「ポケモンを絞る」ことがこのデッキのアプローチであるから、採用ポケモンは必要十分丁度である必要がある。

 まず《ルカメタ》は、フルメタルウォールを打つことが出来れば最低限の仕事が完了する。フルメタルウォール無しで戦えるマッチアップもあるためサイド落ちを無視した1枚採用も検討したが、対【コズガ】において30点軽減に《鋼鉄のフライパン》《コーティング鋼エネルギー》を合わせていく動きが必須になる、《タッグコール》でそのターン使うタッグサポートと一緒にもってきてそのままコストに出来るといった点から2枚が必要十分であると判断した。

 次に《ザシアンV》は、手札を整えることから中盤以降のアタッカーまでこのデッキで全く使えない盤面がない。故に初期構築では4枚採用していた。しかし、ふとうのつるぎで3枚目以降の《ザシアンV》を引いてしまうことが非常に弱かったため、4枚採用は過剰であると判断した。故に、3枚の採用となった。

 《ザマゼンタV》は使わないゲームではすべてタッグサポートのコストとなるが、逆に使うゲームでは1枚で勝敗を決めるようなパワーがある。また、使うゲームでもこれだけでゲームを作れるわけではなく、《ルカメタ》《ザシアンV》をプレイしており《ザマゼンタV》は1体倒されたらゲームが終了することが多い。故に最低限2枚あれば十分な仕事ができると判断した。サイドに落とさなければ《ザマゼンタV》を2面作り《マオ&スイレン》で守り切ることも可能であるし、もしサイドに落ちたとしても《マオ&スイレン》後にバトル場に《リーリエのピッピ人形》を送り出せば問題なくゲームを作ることが出来る。

 他のポケモンを採用することについて、上記3種類でほとんどのゲームはカバー出来ることからスタート不純物を入れることになり、最初は否定的であった。しかし、埼玉県は《ブリザードタウン》+《ジュナイパー》の通称【雪国ジュナイパー】が初めて公式大会で入賞した土地ということ、【コズガ】に対して《ブリザードタウン》が通れば勝利出来て他のトップメタにも《ジュナイパー》の成立が勝利に直結することから、一定数《ジュナイパー》のデッキが存在すると考えた。対策カードを入れなかった場合、《ジュナイパー》側がゲーム開始時デッキ+手札の中に2枚の基本エネルギーを持っているだけで敗北が確定する(逆にプレイ可能な基本エネルギーがもし1枚しかなかった場合、アサルトタックルで特殊エネルギーを割り切って《リーリエのピッピ人形》ループで相手をLOさせることが出来る)。そこで対策の必要を感じ、「鋼エネルギー以外のエネルギーを要求しない」「《ジュナイパー》に1回の攻撃で100点以上のダメージを与えられる(ライフフォレスト◇を考慮)」「たねポケモン」という条件を満たす中で最もサイズが大きい《ギルガルドV》を採用することにした。草抵抗(-30)を持つため、《鋼鉄のフライパン》をつけるとフルメタルウォール下では《ジュナイパー》の技のダメージを完全にシャットアウトでき、《ギルガルドV》1枚で対策を完了できた。


スタジアムの枚数
 スタジアムに《無人発電所》を採用することは既に確定しているが、その枚数及び他のスタジアムを採用については検討していなかった。

 何を目安にスタジアムの枚数を決定すべきかということについて、【コズガ】の多くのスタジアムが3枚であること、【ADP】の多くのスタジアムが《混沌のうねり》1枚であることが着眼点として良いと思われた。故に、最終的に自分のスタジアムを通すために必要最低限な枚数は3枚だった。

 最初は《無人発電所》3枚でリストを作成した。しかし、【ムゲンダイナ】に対して有効に働かない、減少傾向にはあるが【コズガ】に《ズガドーンGX》が採用されていると最後のサイドを容易に取られるといった点が気になった。そこで、とある実力派プレイヤーが「【ルカメタザシアン】の《ワンダーラビリンス◇》は強い」と言っていたことを思い出した。実際に試してみると前述の《無人発電所》では十分な働きが出来なかったゲームで非常に有用であった。

 故に、スタジアムの種類と枚数は《無人発電所》2枚と《ワンダーラビリンス◇》1枚で決定した。


ドローサポートの決定
 
《博士の研究》をメインのドローサポートとして扱わなくなった以上、従来の【ルカメタザシアン】に採用されていたもう一つのドローサポートである《マリィ》を4枚採用することになった。《リーリエのピッピ人形》を採用する以上ふとうのつるぎを強く使えること、《シロナ&カトレア》で《マリィ》を回収できることから既にドローサポートは十分であるとも考えられたが、現物のドローサポートがあと1,2枚あった方が相手の《マリィ》からの復帰が容易であった。トップメタで最も強い《マリィ》を使えるのは【ムゲンダイナ】であると考えたため、対【ムゲンダイナ】で強力なドローサポートである《エリカのおもてなし》を採用した。


《ボスの指令》の枚数
 Fig.7.に示してある通り、《ボスの指令》を【ADP】【ムゲンダイナ】以上に使える必要がある。《シロナ&カトレア》を2枚採用していることから《ボスの指令》を使える最大値は現物+2回である。故に3枚採用でも【ADP】の《ボスの指令》4枚+《ワタシラガV》1枚と並んではいるのだが、最初の《ボスの指令》は現物である必要があるため4枚採用した。また、これによって相手の入れ替えリソースと勝負してLO勝ちを狙えるようになった。


 現時点でデッキ60枚のうち47枚が決定した。ここでテンプレートな枚数として、《ポケモン入れ替え》4枚、鋼タイプのデッキであるから《メタルソーサ―》4枚、2-Bで採用を決定した《リーリエのピッピ人形》4枚を採用するとデッキスペースは残り1枚となる。つまり《ツールスクラッパー》《リセットスタンプ》をどちらか1枚しか採用出来ないことになる。これは中盤以降にバリューの高い動きをして詰めに行く【ルカメタザシアン】では不適切な配分である。故に、今テンプレートとして扱った採用枚数を疑って、過剰な枚数ではないか再検討する必要が生まれた。その結果として以下のリストが完成した。


4.デッキリスト及び解説

4-A.デッキリスト

 3.までの流れを経て完成し、実際にシティリーグで使用したリストがFig.10.である。

最終リスト

Fig.10. シティリーグシーズン2埼玉優勝

4-B.リストを仕上げる流れの解説

 3.でほとんどの採用カードと採用枚数について記述しているため、そこで記述していないものの枚数決定についてここでは記述する。

 まず《メタルソーサ―》について。テンプレートな4枚採用では枠が足りなくなると気が付いて最初に減らしたカードであり、不採用になっている時期もあった。《鋼鉄のフライパン》をつけたベンチの《ルカメタ》を1回の攻撃で倒せるポケモンは多くなかったため、ベンチに置いたターンに手貼りをして待っても問題ないと感じたからだ。対【ADP】では基本鋼エネルギーの枚数が鍵ということもあり、このデッキにおけるバリューは基本鋼エネルギー>《メタルソーサ―》でもある。
 しかしながら、《ザマゼンタV》の育成を1ターン早めるカードとしては有効であった。特に対【セキタンザン】で相手の《セキタンザンVmax》に付いた《ストーン闘エネルギー》を剥がすターンが早まることは《ネギガナイトV》着地ターンを遅れさせることにもつながる。
 最終的に、4枚採用するほどではないがプレイする権利を失うには惜しいカードとして2枚採用した。

 《ポケモン入れ替え》だがこのデッキでは《マオ&スイレン》にアクセスすることが比較的容易である(《ポケモン入れ替え》を4枚積んでも《マオ&スイレン》及びアクセスできる《タッグコール》の総和の5枚の方が多い)。そのため、4枚入れてデッキを使ってみても《ポケモン入れ替え》を4枚使うゲームはなかった。
 故に、1枚は減らしても差し支えないと考え3枚採用した。

 ここで、元から空いていた1枠と《メタルソーサ―》《ポケモン入れ替え》から捻出した3枠を《リセットスタンプ》《ツールスクラッパー》に割り振ることにした。《リセットスタンプ》3枚と《ツールスクラッパー》1枚で試したところ【ADP】が《ザシアンV》に《大きなおまもり》をつけるとこちらが勝ちにくくなった。そのため《リセットスタンプ》2枚《ツールスクラッパー》2枚を採用した。

 一度デッキリストを完成としたのだが、ミラーマッチ(今回作ったリストではなくFig.4., Fig.5., Fig.8., Fig.9.のような一般的なもの)では泥仕合になること、ほとんどの場合《鋼鉄のフライパン》をプレイすれば問題ないが稀に対【ピカゼク】で相手の《ピカゼク》を1回の攻撃で倒したくなることなどが気になった。それらの課題を克服するカードとして《くちたけん》を使えることは他のリストを考えていた時に知っていたので、《リーリエのピッピ人形》を1枚《くちたけん》へと変更した。

 これで「60枚すべてに何かしらの理由があるリスト」となった。

4-C.採用しなかったカード

 リストを作成する中で或いは作成後、考察はしたが採用しなかったカードは以下の通りである。

ポケモン

《カプ・レヒレ》
【コズガ】に殴り勝つ思考しかなかった際に検討したカード。殴り勝つ以外の思考が出来た時点で採用理由がなくなった。スタートの不純物でもある。

《ネクロズマ たそがれのたてがみ》
サイド1を取られながら60を置くよりサイドを取られないで手札と盤面のエネルギーを強くした方が強い。

《ジュラルドン》
《ギルガルドV》と選択。恐らく《ジュラルドン》にするのは育てるのが速くてサイドを1しか取られないから、という理由なのだろうがそもそもダメージを受けない状態さえ作れてしまえば2ターンと3ターンは同値になるため速さはいらない。同様の理由でサイド1もサイド2も変わらないため、《ジュラルドン》が《ギルガルドV》に勝っている点は消滅する。《ジュラルドン》を使わないゲームでスタートした時、《ルカメタ》《ザシアンV》とサイドを取られて最後に《ジュラルドン》で楽にサイド1取られるくらいだったら【ジュナイパー】を切った方がマシ。

《ジュラルドン》の項目に書いた通りサイド1を取られることは相手に簡単に勝利されることに繋がるため、ルールを持たないポケモンは余程のことがない限り入れる価値はない。

トレーナー

《タッグスイッチ》
《ルカメタ》でダメージを与えるより《ザシアンV》《ザマゼンタV》でダメージを与えたほうが有効という観点から候補に入った。しかし、《ルカメタ》は《キャプチャーエネルギー》の貼り先として有効であるが《キャプチャーエネルギー》は《ザシアンV》に移動させてもあまりバリューが高くない、ドローが強いリストではないのでタッチ程度のカードに必要なタイミングで触ることは困難といった理由から採用には至らなかった。

《メタルゴーグル》
《ジグザグマ》だけでデスカウントGXの条件を満たす【ムゲンダイナ】が減少していたため、《鋼鉄のフライパン》の方がバリューが高い。個人的には【ムゲンダイナ】は《ジグザグマ》だけでデスカウントGXの条件を満たせる要素を残した方が強いと思っているので、環境と相談。因みに《メタルゴーグル》で防げるもう一つの要素として【ドラパルト】の5点ばらまきがあるが、そもそも《ルカメタ》がフルメタルウォール《鋼鉄のフライパン》抵抗込みで50点しかダメージを受けない、《ザマゼンタV》の押し付けが出来る、といった理由からそこまで大きい問題ではない。

《ふうせん》
スタートポケモンをベンチに下げて《リーリエのピッピ人形》を出す場合に使うことを考えた。《ふうせん》の現物ではなく《タッグコール》⇒《グズマ&ハラ》⇒《ふうせん》で持って来るなら《タッグコール》のサーチ先を《マオ&スイレン》にすればいいだけの話なので採用する意味がなかった。

《げんきのハチマキ》
こうてつのこぶし60+ヘビーインパクト160で《大きなおまもり》が付いていない相手の《ザシアンV》を倒せる、こうてつのこぶし60*2で《ズガドーン》を倒せるといった点を評価した。しかし《げんきのハチマキ》を付けた《ルカメタ》には《鋼鉄のフライパン》を付けられないため不採用。

《ガラル鉱山》
《ボスの指令》《リーリエのピッピ人形》を採用したことから相手のLOを積極的に狙うことが出来るようになった。しかしLOはあくまで楽に勝つ手段でしかなくLOでなければ勝てないマッチアップは存在しないと感じたため不採用。因みにこれがあると対【ADP】で《デデンネGX》を縛りながらこちらは《ボスの指令》、向こうは《ボスの指令》《ポケモン入れ替え》《ツールスクラッパー》を要求される有利なふとうのつるぎ坊主捲りを展開できる。

《無人発電所(3枚目)》
枠の都合で採用できなかった。いわば61枚目のカード。

《エリカのおもてなし(2枚目)》
同じく枠の都合で採用できなかった。62枚目。

《リーリエのピッピ人形(4枚目)》
枠の都合。63枚目。


5.実際のプレイング

 このデッキは「フルメタルウォール+《鋼鉄のフライパン》による行動保証」「《ザマゼンタV》の押し付け」「フルメタルウォールや《ボスの指令》によるリソース勝負」といった複数の勝ちパターンを持っている。そのため、全デッキを通してこれを目指せばよいというのは正直「最も自分が楽に勝利条件を満たす方法を選択する」程度しかない(先後選択は基本先行を取る)。本項では環境に一定数存在すると考えられるいくつかのデッキについて、具体的な立ち回りを示して勝ち方を説明する。


5-A.対【コズガ】

 色相性や《ズガドーン》の火力が青天井であることから不利と思われがちなマッチアップである。しかし、相手が1ゲームで使用できるエネルギーの総数に着目すると勝利することが出来る。

 一般的な【コズガ】では《エネルギー回収》の採用が減少し、トレンドはエネルギーが14枚に《炎の結晶》が4枚採用されたもののように思われる。この場合1ゲームで使用できるエネルギーの総数は14+3*4=26枚である。

 さて、今回のリストでは《ルカメタ》2体を倒して3-3でサイドを取り切らない限り、【コズガ】側は3体のポケモンを倒す必要がある。その3体のポケモン全ての弱点を無くし(特に2体目以降は《鋼鉄のフライパン》をつける)、また2体目のポケモンとして《ルカメタ》を使用し追加効果ありのフルメタルウォールを宣言する。その場合《ズガドーン》だけでサイド6枚を取り切ると仮定すると

1体目
・《鋼鉄のフライパン》《ザマゼンタV》(サイズは260)⇒3+6=9枚
・上記及び《ルカメタ》以外(サイズは250以下)⇒3+5=8枚

2体目(フルメタルウォールGX込み)
《鋼鉄のフライパン》《ルカメタ》(サイズは320)⇒3(フルメタルウォールでエネを消す)+7=10枚

3体目(フルメタルウォールGX込み)
《鋼鉄のフライパン》《ザシアン》(サイズは280)⇒3(ブレイブキャリバーで前の《ズガドーンを倒す》)+6=9枚

と合計8+9+10=27枚か9+9+10=28枚を要求できる(Fig.11)。つまり、全て理想通りにポケモンと《鋼鉄のフライパン》を配置できれば少なくとも《ズガドーン》だけで敗北することは無い

※《ふつうのつりざお》で回収する分を含めると【コズガ】側のエネの枚数は丁度28枚となり、こちらが要求するエネの総数と等しくなる。故に【コズガ】の練度が極めて高かった場合は難しい試合となるが、デデチェンジの巻き込みや《火打石》《クイックボール》のコストで無暗にエネを捨てている場合は同じようにリソース勝負で勝てる。

 理想通りに行くわけがないというのもごもっともであるが、こちらは《無人発電所》《ワンダーラビリンス◇》《マリィ》による妨害や《リーリエのピッピ人形》による時間稼ぎが出来る。これにより、相手が毎ターンサイドを取るというルートを妨害できる。相手がサイドを取れないターンにこちらはふとうのつるぎやドローサポートで《ボスの指令》を引きにいき、ベンチで《溶接工》を受けて準備中の《ズガドーン》を倒すことが出来る。このように、相手がゲーム中に使用できるエネルギーの総数に意識しながら立ち回ることさえ出来れば、不利にはならないマッチアップであると判断している。

 警戒するべき動きは
1.フルメタルウォールGXを切った後に6エネの《レシリザ》を作られる
2.最後のサイドをバーストGXでトラッシュされる
の2つである。1.は《レシリザ》にエネを溜め始める動きをみたら《ボスの指令》で削る、《巨大なかまど》を割りながら《マリィ》をプレイするなど《レシリザ》完成の妨害を意識すると良い。2.は相手のサイドが残り1枚の状態で《ワンダーラビリンス◇》をプレイしながら《オドリドリGX》を取るのが対策になり得る。

ルカメタ

Fig.11. 【コズガ】へのエネ要求


5-B. 対【ムゲンダイナ】

 基本的に最低1枚の《ザマゼンタV》をそれぞれ1枚ずつの《ザシアンV》《ルカメタ》でサポートする。最終的には《ザマゼンタV》2面を完成させることを目指す。4以前でも度々触れているとおり、《ジグザグマ》だけでデスカウントGXの条件を満たすタイプが減少傾向というのがねらい目である。《ジグザグマ》4回を除くと、《ガラルマタドガス》半周、《ジグザグマ》+パワーアクセル、《ミカルゲ》ダメカン1つ、ダメカンを4つ乗せて《ヤミラミV》が《ザマゼンタV》の突破手段である。

 フルメタルウォールGXを宣言した場合パワーアクセルでは打点が乗らなくなり、《ミカルゲ》は1ターンベンチで待つ必要がある。故にフルメタルウォールGX使用後、《ミカルゲ》がベンチに置かれ次第《ボスの指令》で取るのが良い動きとなる。上限枚数採用しているため従来の【ルカメタザシアン】より裏を呼ぶことの難易度は低い。うらみだめを1回使った《ミカルゲ》はこうてつのこぶしで取れるのも評価が高い。

 《ガラルマタドガス》については、1周半で毒を解除すればダメカンが4つ乗った状態で相手のターンになることは無いので、

《ガラルマタドガス》バッドポイズン
⇒トラッシュに《マオ&スイレン》があるなら《シロナ&カトレア》で回収、なければ《マリィ》ふとうのつるぎで引きに行く、アサルトタックルで《ガラルマタドガス》を取るのどれか
⇒次の自分の番に《マオ&スイレン》

が良い動きである。
 《ヤミラミV》は基本的に1ターンで完成しないため、相手が構え始めたら《ザマゼンタV》にダメカンを乗せられないように《マオ&スイレン》を使ったり《ザマゼンタV》が完成するまで《ルカメタ》《ザシアンV》《リーリエのピッピ人形》を捨てるように動くと良い。

5-C. 対【ADP】

 初めて技を使った《ADP》にフルメタルウォールGXを当てることが重要である。《ADP》側のプレイングとして、オルタージェネシスGXから使うかアルティメットレイから使うかという2つが存在しているようなので、その2つの分岐を別物として解説する。

 構築時点の比較として

・《ボスの指令》の現物が同数採用されている
・【ADP】の《大きなお守り》よりこちらの《鋼鉄のフライパン》の方が多く採用されている
・こちらの方が《ツールスクラッパー》が多く採用されている
・こちらの方が基本鋼エネルギーが多く採用されており、ふとうのつるぎで《ザシアンV》を育てやすい。

という点は、こちらを有利に傾けるものになっている。

 複数の分岐に共通して重要な事項として

・相手はオルタージェネシスGX後にこちらの《ザシアンV》を2回倒して勝利することを狙う。
・こちらはフルメタルウォールGX後に《鋼鉄のフライパン》を付けた《ザシアンV(実質耐久280)》で《ザシアンV》を倒し、相手の《ザシアンV》が切れるターンを作り勝利することを狙う。
・【ADP】側の《ザシアンV》に《くちたけん》が付いたら、最優先で除去する必要がある。
・【ADP】側の《ザシアンV》に《大きなおまもり》が付いたら、そこには《くちたけん》が付かないため除去は別の《ザシアンV》を優先していい。無理に剥がしたターン中に除去しきれなかった場合、《くちたけん》を付けて殴って来る可能性がある。
・こちらは《ルカメタ》1枚と《ザシアンV》2枚を使う。
・序盤は《マリィ》+ふとうのつるぎでゲームを作る。【ADP】はスタジアムを絞っているため合間に《無人発電所》《ワンダーラビリンス◇》を挟めると止まりやすい。

というものがある。

i-a. 裏の《ザシアンV》が育っていない状態でオルタージェネシスGXを狙ってくる
 オルタージェネシスGX後の《ADP》にフルメタルウォールを当てる。その際に《無人発電所》or《ワンダーラビリンス◇》や《マリィ》をプレイして相手の《ザシアンV》が完成しないようにすると良い。あとはお互いのベンチの《ザシアンV》を《ザシアンV》で倒すゲームになる。前述の通り《ボスの指令》や耐久を上げるカード、相手の耐久を下げるカードの枚数がこちらの方が多いためふとうのつるぎと《マリィ》で手札と盤面を育てていけば取り合いを先行できるのはこちらになる。相手の《ザシアンV》を2枚取ったところでサイドを6枚取り切ることは出来ないが、そもそもこちらの《ザシアンV》が倒されなくなるためそのまま相手の適当なポケモン(《デデンネGX》《クロバットV》《ワタシラガV》)を倒して勝利することが出来る。


i-b.  裏の《ザシアンV》が育っている状態でオルタージェネシスGX狙ってくる
  これはi-a.と同じになるパターンとi-a.より簡単になるパターンがある。簡単になるのはのは相手がオルタージェネシスGXを宣言できる状態の《ADP》をベンチで待機させたままターンを返して来る場合である。この場合、《ボスの指令》フルメタルウォールGXを《ADP》に当てると相手はi-a.より1ターン分遅れる。i-a.ではフルメタルウォールGXの返しのターンから最短でブレイブキャリバー2回を打てれば決着するが、i-b.ではフルメタルウォールGXの返しのターンからオルタージェネシスGXとブレイブキャリバー2回を要求されることになる。オルタージェネシスGX後に《ザシアンV》を2回通せば勝ちとだけ考えている【ADP】はこのパターンに陥り、こちらが序盤を《マリィ》+ふとうのつるぎで組み立てていく都合上手札が噛み合わず偶然このパターンに突入することもある。


ii. アルティメットレイで《ザシアンV》を育て、次のターンに《エネルギー付け替え》と手貼りでオルタージェネシスGXを狙ってくる
 《エネルギー付け替え》の採用枚数が4枚ではなく3枚のデッキリストが増加傾向にあるという点がねらい目である。アルティメットレイを打った次のターンにオルタージェネシスGX(追加効果込み)を打つには《エネルギー付け替え》が最低1枚要求されている。従って他の場面で使える《エネルギー付け替え》は2枚になる。故に、ターン開始時エネルギーが1枚しかついていない《ADP》がアルティメットレイを打つのはこちらが《マリィ》を連打していることからも容易でなくなり、ベンチの《ADP》に2枚エネルギーが付いた状態でターンが返ってきやすい。この《ADP》を《ボスの指令》で狙ってフルメタルウォールGXを当てることにより、相手にオルタージェネシスGXとブレイブキャリバー2回の最低3回行動及び最低回数の行動で勝利するためには《ザシアンV》を育て切るための《メタルソーサ―》必要枚数分を要求することが出来る。


 Fig.4, Fig.5., Fig.8., Fig.9.のような《ボスの指令》が少ないリストでは《ADP》《ザシアンV》をベンチで育てる動きに対応しきれない場合が多かったが、本リストでは上限枚数採用しておりサルベージ手段もあるため比較的自由に《ボスの指令》を使うことが出来る。また、《マリィ》も同様に上限枚数採用することによって手札干渉も従来のリストより頻繁に行える。そのためバリューの高いフルメタルウォールGXを打ちつつ、手札に干渉して復帰を困難にすることでゲームの主導権を取ることが出来る。


5-D.対【セキタンザン】

 根本は対【ムゲンダイナ】と同じで《ザマゼンタV》を守り切るゲームを作る。但し、【セキタンザン】はコンボギミックを搭載している構築が多く、《ザシアンV》《ルカメタ》の両方をプレイすると《ザマゼンタV》に触られずゲームに敗北する場合がある。故に、対【ムゲンダイナ】以上に《ザマゼンタV》以外のポケモンを出さないゲームメイクに価値が生まれるわけだが、絶対に《ルカメタ》《ザシアンV》の両方を出したら負けるというわけでもないため、本記事では《ザマゼンタV》以外のポケモンを1枚使うパターンと2枚使うパターンの2つに分けて解説する。

i. 《ザマゼンタV》以外のポケモンを1枚使うパターン
 《ザシアンV》を使った場合手札補充が円滑に進む。《ルカメタ》を使った場合相手のエネリソースを止めて《ガラルネギガナイトV》の起動を遅らせたり《マオ&スイレン》込みで《ザマゼンタV》がフォールスターを2耐えする。どちらを置けてもメリット・デメリットがあるため絶対にこちらを使わなければいけないというものはない。そもそもスタート確率が《ザマゼンタV》では1/4でありそれ以外でスタートする可能性が高いため、スタートが《ギルガルドV》以外であればスタートポケモンを使っていくという感覚が近い。スタートポケモンに合わせて使っていくポケモンを変えるように、その後のプレイも確定したこの動きをするべきだというものはなく、状況に即したものを選んでいくことが多い。その例を以下にいくつか列挙する。

・《ザマゼンタV》以外のポケモンを壁にしつつ《ザマゼンタV》を育てる。すると、相手は最初にサイド2枚を取ることになり、こちらが《ディアンシー◇》を取っても《格闘道場》込みのフォールスターでも《ザマゼンタV》に届かなくなる。
・【セキタンザン】は毎ターン好きなカードを自由にプレイ出来ると思われがちだが、理想の動きをするためには確定で手札に加えられるカード以上の要求がある。故に、他のカード(エネルギー、《ポケモンいれかえ》、《ガラルネギガナイト》そのもの等)が要求されているターンに《鋼鉄のフライパン》をプレイするとたとえ《ダンデ》が入っていても1回の攻撃で《ザマゼンタV》が取られなくなる。
・ふとうのつるぎで《ザシアンV》が完成した場合は《ザシアンV》を処理してからでなければ《ガラルネギガナイトV》をプレイできない。
・エネが溜まった《セキタンザンVmax》にフルメタルウォールGXを当てて次のターンからアサルトタックルを《セキタンザンVmax》に当てつづけると《ガラルネギガナイトV》の起動が遅れる

 以上の様に盤面によって《ガラルネギガナイトV》で《ザマゼンタV》を取られないようにする動きを選択していく。


ii. 《ザマゼンタV》以外のポケモンを2枚使うパターン
 前述の通り、コンボギミックの存在から《ルカメタ》《ザシアンV》両方を取られることは多くの構築において敗北を意味する。そこで、i.で紹介した有効なプレイに加えて《ルカメタ》《ザシアンV》どちらかは守るプレイをする必要がある。

 ここで、《ルカメタ》の素のサイズが260であることに着目する。《鋼鉄のフライパン》フルメタルウォールGXで合計-60の被ダメージ減少と《マオ&スイレン》の120回復の下では、《セキタンザンVmax》にキョダイガンセキを2回使われても《ルカメタ》は気絶しない(260-(240-60)+120-(240-60)=20, 20>0)。

 実際に《ディアンシー◇》や《格闘道場》のダメージ追加がないキョダイガンセキを2回《ルカメタ》に打たれるかという話もあるが、そもそもキョダイガンセキは1ターン目から打てる技ではなく、この《ルカメタ》の耐久力も相まって相手はサイドを取り切るまでに時間がかかるということを意味している。ターン数が伸びれば伸びるほどアサルトタックルによって相手の場の特殊エネルギーをトラッシュ(キョダイガンセキ連打には手貼りが要求される、《ガラルネギガナイトV》の起動が遅れる)でき、《セキタンザンVmax》にも無視出来ない打点が与えられる。多くの場合、《セキタンザンVmax》の体力、《ボスの指令》、キョダイガンセキのために必要なエネルギーが足りなくなるターンが発生し、そこを境に有利な試合を運ぶことが出来るようになる。


5-E. 対【ピカゼク】

 最初にフルドライブを使用した《ピカゼク》にフルメタルウォールGXを当てることさえ出来れば容易に勝利できる。フルメタルウォールGXに《マリィ》や《無人発電所》《ワンダーラビリンス◇》を添えてバトル場の《ピカゼク》の棒立ちを狙ってもいいし、そこまで出来なくても-30のダメージ軽減が入るとフルドライブのダメージを《マオ&スイレン》で相殺、《エレキパワー》も1枚分は《鋼鉄のフライパン》で誤魔化せる。

 【ピカゼク】で強い技はパラライズボルトとタンデムショックであるという意見も耳にするが、この2つの技に対しても耐性がある。パラライズボルトは-60のダメージ軽減で素点0にすることが出来、タンデムショックは同じようなダメージ軽減が入るとこちらのポケモンを倒すのに3回の攻撃が要求される(《エレキパワー》除く)。《エレキパワー》込みのタンデムショックを当てて2回で倒すことを狙ってきても、こちらには3枚の《ポケモン入れ替え》、4枚の《タッグコール》、2枚の《マオ&スイレン》が存在し、あまりマヒに悩まされることがない。


5-F. 対【マルヤクデ】

 《コーティング鋼エネルギー》《鋼鉄のフライパン》によってこちらのポケモンの弱点を消していくことが対等な試合をするための最低条件である。弱点が無くなったこちらのポケモンを1回の攻撃で倒すことが出来るのは《マルヤクデVmax》キョダイヒャッカと《ヒードランGX》ヒートボンバーGXのみである。《マルヤクデVmax》は《ザマゼンタV》でシャットアウト出来ることから、最終的に目指すべきは《ヒードランGX》を倒す或いはGX権を使わせた後に《ザマゼンタV》を通すということになる。

 《ファイアローV》の攻撃を-60出来ると《ザマゼンタV》が2回耐えることからフルメタルウォールGXは使いたいゲームである。ではフルメタルウォールGXをどこに打つべきかというと盤面次第であり難しい問題である。《マルヤクデVmax》はエネルギーをトラッシュしても回収し、ダメージ自体は《ザマゼンタV》でシャットアウト出来ることから候補にならないと思われがちだが、気絶させるのに《ザマゼンタV》で3回攻撃する必要があることからヒートボンバーGXのためのエネタンクとして非常に優秀である。とはいえ、《ザマゼンタV》にダメージを通すことが出来るポケモンのエネルギーを割ることは言わずもがな有用である。
 
 相手が使った《溶接工》の枚数やスタジアムの枚数(多くのスタジアムを吐いている場合こちらの《無人発電所》により《マルヤクデVmax》がエネタンクとして機能しないことがある)を確認して場面ごとの最適解を模索していくゲームになる。


5-G. 対【超ミュウミュウ】

 時間さえ許せばゲーム開始と同時にLOを狙いに行く。相手は《カラマネロ》ありきのデッキであり、ポケモンを逃がすグッズが《ポケモン入れ替え》4枚と《ふうせん》2枚の6枚採用がほとんどである。また、立ち回りを理解しきってはいない相手の場合《カラマネロ》の展開やエネルギーのトラッシュを優先して前述のグッズ6枚のうち1枚か2枚は無駄に使ってしまう。こちらは《ボスの指令》を最大6回使用でき、またこちらの手札を妨害できるナイトウォッチャーも《ルカメタ》が抵抗フルメタルウォール《鋼鉄のフライパン》込みで3回耐えるためプランを通しやすい。故に、《ふうせん》を《ツールスクラッパー》で剥がしつつ《ボスの指令》で《カラマネロ》を始めとする逃げエネが重いポケモンを呼んでふとうのつるぎを打っているだけで勝てることが無視できない程度にはある。

 もし単純な殴り合いをする場合は、超エネルギーが4枚付いたフォトンゲイザーを《ルカメタ》に当てられないようにあるいは当てられたら相手の次のアタッカーが続かないように、ということを意識すれば勝利することが出来る。


6.結び

 この度は本記事をご覧いただき誠にありがとうございました。今回は採用決定カード0枚から理由ある60枚丁度に収めるまでの過程、並びに実際に使っていてこれは具体的なルートを最初から提示された方が使いやすいと感じた対面ごとのプレイングに重きを置いて記事を書かせていただきました。私自身胸を張って強いと言えるプレイヤーではないのですが、自分的に「最近調子が良いな」と思うときは採用理由からプレイングまで言語化してある時のように思えます。本記事の言語化によって読者の皆様が「最近調子いいな」と思えるような、そんな助けになれていれば幸いです。



謝辞(順不同とさせていただきます、ご了承ください)

 この構築の着想から完成まで有益な助言をいただき、プレイングの向上にもご協力いただいた調整グループの皆様に厚く御礼申し上げます。またうぇぶりお氏、purin氏の両名にはこの構築を完成させる際に非常に重要なご意見を頂きました。感謝いたします。ヨネダタクヤ氏には環境予想について彼のnoteを参考にさせていただいた他、リンク掲載による紹介を許可していただきました。厚く御礼申し上げ、感謝する次第です。


引用元・参考文献

・TSUTAYA伊奈店 トレカ・イベント情報(Twitter)
2020年12月19日17時48分のツイート
(https://twitter.com/tsutaya1492/status/1340217413804183552/photo/1)
最終閲覧日 2020年12月22日

・タクヤ@チームアチャモ(note)
「【デッキ解説】コズガ」
(https://note.com/takuya_pcg/n/n6991d90ceb65)
最終閲覧日 2020年12月21日

・ポケモンカードゲームトレーナーズウェブサイト
「「チャンピオンズリーグ横浜 2021」上位選手のデッキリストを大公開」
(https://www.pokemon-card.com/info/2020/20201009_002630.html)
最終閲覧日 2020年12月21日

・ポケモンカードゲームトレーナーズウェブサイト
「カード検索」
(https://www.pokemon-card.com/card-search/)
最終閲覧日 2020年12月21日

・ポケモンカードゲームプレイヤーズクラブ
「シティリーグ シーズン1 【シティリーグ シーズン1】」
(https://event.pokemon-card.com/prior-reception-gym-events/877/)
最終閲覧日 2020年12月21日

・トレカショップ KCC(春日部カードセンター)(Twitter)
2020年11月28日16時55分のツイート
(https://twitter.com/KCC2019615/status/1332594065087479809/photo/2)
最終閲覧日 2020年12月22日

・バトロコ川崎駅前店(Twitter)
2020年12月26日16時49分のツイート
(https://twitter.com/batoloco_kawas/status/1342739398807306241/photo/1)
最終閲覧日 2020年12月26日

・カードショップ竜星のPAO立川店(Twitter)
2020年12月26日18時5分のツイート
(https://twitter.com/PAOcard_tati/status/1342758439039070208/photo/3)
最終閲覧日 2020年12月26日




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