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Rose'n Wall

@0 アイサツがわりのプロローグ 『悪夢の Rose'n Wall』

目の前にはイバラの壁。
右を見ても左を見ても、それが ずらぁぁぁーっと続いてる。
高さは見上げるほどもあって、仮によじ登れたとしても降りる頃には
全身キズだらけまちがいなし。

内心『ありえねー』……。

イバラのスキマのその先には、両手剣を抱えて座り込んでる彼。
主職は戦士。ちなみにあたしは二刀流の剣士。
そんな彼にあたしは叫ぶ。 

「ねぇ座り込んでないで手伝ってよ!あたしもそっち行きたい!」

「自分で切り開いて来い」

こっちを見るでもなく言い放った彼の言葉が聞こえた。

「『……っく!』 こんなイバラ!」

持っていた2本の剣……シミターっぽい細身の銀刀で、目の前の
からみあったイバラを斬り開く。
が、斬っていくそばからイバラは急速に修復していく。

「『…な、なんで?!』 くっ、これでもか!これでもか!」

斬っても斬ってもイバラは壁としてあたしの目の前をふさぐ……
かえってスキマが小さくなるくらいに。

 「どーしたらいいんだ…」

途方にくれてその場にへたり込んだところで、

「とりあえず起きろ」

という彼の声が耳元で聞こえて「はっ?!」と起き上がると、
そこはゆうべから泊まっている宿屋のベッドの上だった。

『??』混乱するあたしに、

「もう昼だぞ。さっさと起きろ。とりあえずメシだ」
と言って、彼がかたわらで旅支度を整えている。

「夢だったのか……」
とつぶやくあたしに、

「ああ、だいぶハデに暴れてたな」
と言って彼はにやっとする。
かぁぁっと赤くなってあたしはベッドから飛び起き、

「ばか!!」
と叫ぶとそのままカオを洗いに部屋を出た。

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あとがき

はい。夢に見たハナシを小説にしてみようと思いました。
「ローゼン・ウォール」と読んでください。

もうご覧になってお分かりのとおり、ところどころ脚色してます。
【補足説明】当時、ブログか何かでこの夢のハナシをしていたため。

たしか夢の中では、あたしの持ってた剣はレイピアでしたが、
作中ではシミターにしてます。好きなので。

あと、夢から覚める場面以降は完全に創作です。
こっからふたり(?)の冒険が始まるわけですね。
わくわくしている反面、どうしようかとも思ってます。展開とか。
途中で飽きるかもしれませんが、長い目で見ていただけたら幸いです。
たぶん。     2005.2 みな

@1 祝!?あたしたちの名前・やっと決定! 「Pit Out/Check Out」

ばしゃばしゃ ゜+.(*ノェノ)゜+.゜ごしごし
「ふぅ」 ゜+.(・∀・)゜+.゜さっぱりした

『はぁ……。なんであんな夢を見たんだろう?』
洗面台の鏡に映る自分の顔をみつめる。

「イバラの壁 か……。『なにか深層心理でも影響してるのかな』」

鏡の自分の目の奥まで凝らして見ても、そこに答えは見つけられない。
軽くため息をついて、
「うし、とりあえず行くか!」
鏡の自分と笑顔で別れを告げた。(・∀・)ノ゛マタネ

彼は、窓から街の様子をうかがっていた。天気良さそー♪
「おまたせー」
「おう 行ってるぞ」
あたしの答えを待たずに彼は部屋を出て行く。
「Σ え 待って 待って」
荷造りは彼がしてくれてたみたい。身支度を整え急いでフロントへ。

彼はちょうどチェックアウトしているところだった。
スキル高そうなフロント係(わりとイケメン)が
「少々お待ちください」
と手際よく手続き㊥。ほどなく、
「お待たせいたしました。
シエン・キャデラック様、ミナ・アヴァンツァート様ですね?」
の確認に、ふたりでうなづく。

「おふたりで100Crになります」
 やっすー゜+.ヾ(・∀・)ノ゜+.゜♪ 「Cr」は「クレジット」と読んでね
金庫番はあたし。
「はい 1回で」
とカードで支払いを済ませる。

「ありがとうございます。それと、これをシエン様にと、
お預かりしておりました」
フロント係は一通の封筒を差し出した。
「お名前をお伺いしましたが、『渡せば分かる』 と
おっしゃいまして……」

彼は少し考えてたけど、
「立派な騎士様でした」
というフロント係の追伸に、
「ああ」 とだけ言って受け取った。心当たりがあったみたい。
『誰だろう?』 後で聞いてみよっと。

「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。
実り多き旅になりますように」
と言う高スキル・イケメン・フロント係に、ありがとー(・∀・)ノ゛マタネー
と応えて宿屋を後にした。

Σ ああっ 名前チェックするんだった!(ノω<*)
 忘れ物したフリしてもどr……(シエン:「まて。」)

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あとがき

はい。おまたせしました、
予想外の大反響に急かされupした感も否めない第2回です。

名前決めました。よりによってクルマの名前です。
大好きなドライビング・シミュレータ「GRAN TURISMO 3 A-Spec」、「GRAN TURISMO 4」(以下、グランツ)から、実際に登場するものを
参考にさせていただきました。
「Cr」というお金の単位もグランツで使われてるものです。

ただ、「ミナ・アヴァンツァート」というのは創作です。
正しくは、「ミラ・アヴァンツァート(ダイハツ)」というのが
あるんです。
こっから拝借しました。かっこかわいいんです。

クルマに興味ない方には必ずしも面白いわけではないと思いますが、
『ああ、そんな名前のもあるのね』
程度に軽く流していただければ幸いです。

このことで読者サマが離れちゃいませんように。
逆にクルマ好きが増えてくれますように。

ちなみに名前関連でひとつだけ。
Rose'n Wall の世界では、和名を除き「名・姓」を採用してます。
「ウィル・スミス」=「スミス家のウィルくん」、
「アンジェリーナ・ジョリー」=「ジョリー家のアンジェリーナちゃん」
です。
なので、「シエン・キャデラック」=「キャデラック家のシエンくん」
です。
和名は、「姓 名」というふうに、姓と名を半角スペースで分けようかな
 と思っていますが未定です。2005.2 みな

@2 地名もグランツから拝借 『アプリコットヒルを救え!』

ここは「アプリコットヒル」っていう小さな町。
「スモモの丘」って意味らしい。
あーなるほど、その名のとおり、小高い丘とアプリコット林が、
建物の屋根の向こうに見えたりする。

春になると、アプリコットの白い花々が一斉に咲き誇って
キレイなんだってー゜+.(・∀・)゜+.゜見てみたいなー

名産は言うまでもなくアプリコット製品が中心。
アプリコットジャム、アプリコットキャンディ、アプリコット
アイスクリームなどなど、なんでもおいしそー゜+.(〃ρ〃)゜+.゜
お昼ごはんはもう決めてあるんだ。
アプリコットジャムたっぷりのサンドイッチ!
これのためにここに来たといっても過言ではない!(`・ω・´)ノ 
(シオン:「そんなことはない」)

「はやくはやく!売り切れちゃうかもしれないでしょ!」
「昼まで寝てたの誰だよ」
とテンション低めなシオンをせかし、ホームストレートを横切って、
近くのお店に飛び込んだ。

「すみません!アプリコットサンドください!」
店員さん、あたしのイキオイに一瞬圧倒された様子だったけど、
「い、いらっしゃいませ、すみませんアプリコットサンドは……」
と言いよどむ。Σ まさか!
「も、もう売り切れちゃったんですか?!」
「いえ、じつは……」

店員さんの話によると、ここ最近、アプリコットの林にムシが大量発生
しちゃって収穫もままならず、アプリコットサンドはおろか、名産の
アプリコット製品がほぼ全滅なんだって……。たのしみにしてたのに…… orz

と落ち込むあたしをさておいて、ちょっと考えてたシオンが
店員さんに聞いた。
「じゃあそのムシさえ退治できたら、アプリコットヒルは救えるのか?」
「だと思うんですが、自警団長さんのほうが詳しいと思います。
この道の先、町の真ん中にいると思います」
「わかった、ありがとう。行くぞミナ。
アプリコットサンドが食えるようになるかもしれない」
Σ (・∀・) 「ほ、ほんと?!行く!」

店員さんの言うとおり、ホームストレートを町の中央に向かって
歩いていく。
さっきまでは気が付かなかったけど、なるほど、どの店の看板にも
ノボリにも、『アプリコット』っていう字がない。
せっかくアプリコットヒルなのに、これじゃあ切なすぎるよ!

「でもなんで誰も退治しようとしないのかなームシを」
ほとんど独り言のつもりだったけど彼が応えてくれた。
「さあな。自警団じゃ手に負えないが冒険者にはマズイとか……
そんなとこじゃねーか?いずれにしても、団長サンに聞けば分かるさ」
と言ってさりげなくアゴで指したその先には、それらしい人物が立って
いた。人見知り激しいあたしは彼の後ろに隠れ気味になって観察する。

通りの真ん中に立って、町の様子を見張っている。いかつい表情。
白髪まじりの立派なヒゲ。態度もでかい。
うん、まちがいない。この人が自警団長さんだ。

シオンが声をかける。
「すまない、自警団長というのはあんたか?」

その人は少し怪訝な様子でシオンを見てから答えた。
「いかにも。私が、アプリコットヒル自警団長、モナーロ・ホールデン。
おまえたちは?」

「ああ、申し遅れた。俺はシオン。こいつはミナだ」
ふむ、と言ってモナーロ団長はあたしたちを観察する。

「で?何の用かね?」
「そこの店で、アプリコットヒルを荒らしているムシの話を聞いて、
俺達が退治しようと思ってね。詳しい話を聞かせてくれ」

シオンの言葉に、モナーロ団長は少し目を丸くした。
「おまえたちが?いや、それは嬉しい申し出だ。
では、さっそく一緒に来てくれるかね?」
「もちろんだ。しかしその前に昼飯を済ましたいんだが……」
「そうかそうか。ではそうだな……。今から1時間後に、この先にある、
丘の手前の見張り小屋まで来てくれんか」
「わかった。見張り小屋だな。では1時間後に」

そうしてあたしたちは一旦、団長さんと別れた。
別れて、来た道を引き返す途中。

「あーでも、アプリコットサンドがないとなると、
お昼ごはん何にしようかなー」
「俺はふつーの弁当でもいいな」
「だねー。
他に何も目ぼしいのがなかったら、あたしもテキトーなお弁当でいいや」

と、コンビニを見つけたあたしたち。
「ここでいいよね」
って決めた。
でも思ったとおり、ここも例外なく、アプリコットものは置いてない。

うん……。もうアキラメてたけどねー……(´・д・)
テキトーに、ふたりとも『のり弁当』&『タマゴサラダ』を買い、店内の
お食事コーナーで、せつないお昼ごはんを済ませた。

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あとがき

はい。
一部では『ろーぜんをーる』とかアダナっぽく呼ばれて第3回まで
きました。
こう、アダナっぽく略称が作られるということは、それだけ
親しまれてるんだなーと嬉しく思うのはカンチガイですか?

さて、やっとクエっぽいのを発生させることができて安心してます。
書いてる途中で思い付けて良かったです。
【補足説明】クエ=クエストのことです。

あとはこのクエを成功へ導くのは簡単そうですが、モンダイは
ムシとの戦闘、経験の発生とレベルアップのシステム。
それに、ふたりの本来の目的と、シオンが受け取った封筒。
これらを考えることが大きな山場になりそうです。

今までのよりupが遅れるかもしれません。
いや今までのが早すぎたんです。ええそうなんです。

【グランツ・ミーティング!゜+.(・∀・)ノ゜+.゜】
はい突然今回から始めることにしました。
作中のグランツ関連を紹介していこう!というコーナーです。

さて早速ですが、今回の町名として使わせてもらいました
アプリコットヒル。
正式には、『アプリコットヒル・レースウェイ』っていいます。
もちろんアプリコット製品などは売ってません。コンビニもありません。
そこは完全に創作です。

このコースは、なだらかな丘陵地帯を走る、
連続コーナーが手強いテクニカルサーキットです。
油断するとコースアウトして、ダート(砂場)につかまっちゃいますので
気が抜けません。
レーシング(スリック)タイヤなんか履いてますと、
余計脱出に手間取りますしね。
1周の距離が短めなので、勝負が決まるのも早いです。
作中「小さな町」としているのは、このことを意識してのことです。

あと、ホームストレートというのは、スタート/ゴールがある長い直線のことで、コントロールラインとも言ったりします。
ここでは、町のメインストリートみたいな意味合いで使ってみました。

最後に、自警団長さんのモナーロ・ホールデン。これもクルマの名前です。オーストラリアのです。ご存知でしたか?

というわけで、そのうちあとがきのほうが本文より長くなっちゃわないか
ハカハカしながら、今回はこれで失礼します。2005.2 みな

@3 セオリー?なにそれ。んまー? 『いざ作戦会議!?』

「ごちそーさまでした(・∀・)」
ごくごくふつーの『のり弁当』&『タマゴサラダ』だったけど、
これはこれでおいしかったー゜+.(〃▽〃)゜+.゜♪

おなかもすいてたし、あと、ここって空気もおいしい!
『食事って、周りの空気も一緒にいただくことなんですよ!』
オホホって、ヒラノなんとかいう料理研究家が言ってたし。
今回、身をもって同感(・∀・)

「うし。ゆっくり行けば時間になるだろ」
と彼が立ち上がる。
「うん、だね」
と、あたしも続く。
『見張り小屋』だったよね、この道の先の。
やっぱムシを見張ってるのかな。町の中にまで入ってこないように?

お昼時だけあってホームストレートはさっきより人通りが減ってる。
みんなもお昼ごはん㊥なのね。

それにしてもここは治安イイなー。
警備員ぽいのって、あの自警団長さんくらいしか見かけてないんだもん。
ほかの町と比べたら、ほんとのんびりしてるわぁ~゜+.(・∀・)゜+.゜
あたしごのみ♪シゴトしやs(シエン:「なにがしやすいって?」)

その団長さんも、もうさっきの場所にはいない。代わりの人も立ってないw だいじょぶなの?マジでw 逆に心配になる。
これにはふたりで絶句して、
「……。見張り小屋行くしかねぇ と……」
「うん……w そこで待ち合わせだしね」
だよな と一路、見張り小屋へ。

その辺から、ゆるい上り坂になってきた。ああ、丘に近づいてるんだ。
『アプリコットヒル』に。

民家が途絶えて見晴らしがよくなった。坂の向こうに林が点在してる。
きっとあれがアプリコット林なんだ。
その手前に小屋?が見える。あれかな、見張り小屋って。
それ以外には見当たらないし。

道が、少しずつ砂まじりになってきた。
少しずつ、土っぽくなってきた。野草がぽつぽつ増えてきた。
見上げると、青い空を白い雲が流れていく。(*'▽'*)わぁぁ♪
じわっと浮かんだひたいの汗を、初夏の風がふきとって行ってくれた。
゜+.きもちいいー゜+.゜(〃▽〃)゜+.゜

野草たゆたう丘。しっかりと歩き固められて露出した土が道になっている。そこを上っていく。
彼が無言のまま、あたしの様子をちらちら見てくれながら進んで行くのが
嬉しい。
と、小屋の外に人のシルエット。団長さんかな?こっちを見て手を上げた。団長さんだ!(・∀・)ノおーい キタヨー

そこは、その名のとおりの、まさに『見張り小屋』。
外を見張るための大きな四角い穴……もともとは窓だったのかな……
が開いてて、そっからアプリコット林が望める。

でも、林というより木々。葉っぱがすっかりなくなって、
もう枯れてるように見える……(´・ω・`)
「見てのとおりだよ。ムシどものせいで林は……」
その光景にガクゼンとしているあたしたちの後ろから、
団長さんが声をかける。

一緒に自警団員さんが2人いて、どちらも肩を落としている。
あたしたちも、どんな言葉を返していいか分からず、
ただ黙って目の前のゲンジツを見つめ続けるしかなかった。

でもだんだんガマンできなくなって、シエンが半ギレ気味に言う。
「だが、こうしてるあいだにもムシが林を荒らしているんなら……!」
あたしも同感。今すぐにでもムシ退治しようよ!

「ああ、そのとおりだ。だからこそ聞いてくれ」
団長さんに促されるままに、あたしは小屋の真ん中の円いテーブルに
着こうとしたけど。

「いや、俺は行く」 と言ってシエンはスタスタ行っちゃう。
Σ え? ちょっ待っ…… これには、あたしだけじゃなく、
団長さんと団員さんたちも意表をつかれたみたい。

そりゃそうだ。

こんな場面じゃ大抵、その場を仕切っている人の指示に従い、
それなりの知識を得て、対策を練って行くのがセオリー。
そんなRPG小説などにありがちなジョーシキを
ちゃぶ台返ししちゃったわけですよ、彼は。

さっきのは半ギレじゃなくマジギレだったんだ……。゜+.(・∀・)゜+.゜ステキ「待ってーー!」 あたしもいくー♪

そんなあたしたちを見送ってつぶやいた団長さんの声が、
発動させておいたスキル『地獄耳(盗聴)』を通して聞こえてきた。

「ふ……。今まで待ってた私の立場……いろいろ準備してたのは……
ふっふふふ」

狂っちゃったかな(・∀・)アヒャ

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あとがき

はい。なんかさくさく書き上げれちゃいました。
今回は特に説明とかはないですね。
お待たせしました。願わくばご期待に沿っていますように。
あるいは、意外な展開が面白いと感じられる方向に向かっていますように。2005.2 みな

@4 ほんとのムシ退治だ! 『病んだ人の心に殺められた大地』

アプリコットの木々の間を彼はスタスタ歩いていく。
あたしは小走りで付いていく。
見渡す限り、まるで枯れ木のような、葉っぱのない木々。
地面には枯葉が敷きつめられ、ところどころから緑の野草が伸びている。

この辺にはムシらしいものはいないみたい。
そもそも、そのムシの大きさとか全然わかんないよ?
その辺を確認しようとして、
「ねぇ……」
と話しかけたところで、彼は、その歩を止めた。
見張り小屋はもう見えない。

そして、
「ムシなんていない」
Σ ?! 彼のその一言に混乱する。
「だって、あの……え?」 どういうこと?
「断言はできないが、俺の推測はこうだ……」

名産品であるアプリコットを大量生産しようと、栄養促進剤か何かを
林に大量散布。
結果、冬でもアプリコットが採れるようになった。
町民たちは喜んだが、しかしそれも、たった1年ほどの夢でしかなかった。
そんな、自然の摂理も無視した無謀なツケが、

「……このザマだ」

最後には、彼の内なる怒りが、吐き捨てられた言葉にこもっていて、
あたしにも恐怖が感じられた。 ドキドキ
にわかには信じられず、コトの展開の早さを理解したくて、
あたしは その場に座り込んだ。

彼もそれを察してくれて、黙って付近を散策しているようだった。
枯葉のサクサクいう音が聞こえていたから。

「じゃあ……」
あたし的に整理できて彼に話しかける。
「うん」
彼が応えてくれる。あたしは彼の顔を見て続ける、
「じゃあ、この林は、もう?……」
彼もあたしの目を見ながら答えてくれた。

「や、いま周って見てみたが、林は生きてる。土は回復してるよ」
彼の笑顔に、涙がじわっとクるのを感じた。 よかったよー(´;ω;`)
とりあえずまたアプリコットサンドが食べれるようになるんだ。安心した。

彼は推測を続けた。
おそらく実行犯は自警団長。
しかしコトの重大さに気付いて町中に広めた『ウソ』は、
対応としては正しかったと思う。

弁護するつもりはないが、そうすることで、汚染された丘から町民を
遠ざけることができたから。
見張り小屋は、丘に近づく町民がいないか見張るためのものだった。
自分(たち)の過ちまでも隠そうとした行為は許されざるものだが……。

「ここからは俺の意見なんだが」 と言い置いてさらに続ける。
自警団長は充分に反省しているだろう。
だから、あえて町民に真実を知らせることもないだろう。
このまま土が回復していくのを待ち、林が再びアプリコットを
実らせるのを待つだけだ。

「うん。わかった。じゃああたしたちはこのまま丘を下りて
『ムシは退治したよー!』って町の人たちに知らせれば……」

「そうはいかんな……!」
「?!」 万事丸く収まりそうなところにジャマなセリフが!
だれだ!うまく言えそうだったのに!ヾ(*`Д´*)ノ゛彡☆ 
(シエン:「そこかよ」)

そこに現れたのは自警団!(団長と団員2名)
でもなんか様子がおかしい。少し出方を見てみよう。

「くっくくく……笑わせてくれる。誰が反省していると?
ナニも知らせることはない……お前たちはここで木の肥やしになるのだ!」「やだ!」
あたしは有無を言わさず襲いかかっていった!

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あとがき

はい。全国500人の、ろーぜんをーる戦闘シーン待望㊥の皆様。
いよいよ次回です。ええ、有無を言わさずに。先手必勝です。2005.2 みな

@5 悪?正義? んーん、許せないだけ(・∀・) 『後始末』

状況はハッキリ理解している。今何をすべきか分かっている。
目の前のモノたちをどうすべきか分かっている!

テンションは充分に高められていた。
シエンもそれを察していたからこそ、あたしに任せてくれたんだと思う。

とっさの展開に、一番近くまで来ていた団員Aが動揺している。

「ちょっ?! ふつーそっちから来るかよ!」
あたしはそこを見逃さなかった。
声を出せば一時的にチカラは上がるかもしれないけどテンションが逃げる。だから無言で。ためて……!、

スキル『縮地』を発動!ぎゅんっ! 5~6歩の距離を一瞬で走る!

さらに、短いほうのシミターをすらっと抜いて、
そのイキオイのまま柄の底を団員Aのみぞおちに撃ち込む!

「かはっ」っつって団員Aはうずくまり動かなくなった。
 まずひとり。゚*.゚(+・`ω・´)b゚*.゚

「!!」
2歩先まで来ていたもうひとりの団員、Bが目を白黒させている。
そのスキにあたしは、スキル『飛翔』を発動!
ふっ……と、団員Bには、あたしが消えたように見えただろう。

団員Bがあたしを見失ってるスキに、死角から着地。すたっ
背中合わせに背後をとった。
振り向く遠心力を利用して、シミターの峰で首根っこにイチゲキ!

団員Bはそのままヒザから落ちた。あとひとり。゚*.゚(+・`ω・´)b゚*.゚
テンションは70%といったところか。充分かな。

ちょうどあたしは団長に背を向ける格好になっていたけど、
団長がビビりまくっていることは背中で感じていた。
あたしはゆっくり振り向き、ガクブル㊥の団長を上目遣いでにらむ。

団長は少しずつ後ずさりながらつぶやく。
「な……こ、こんな、バカな……」

あたしはシミターをしゃきんと収めて、少しずつ近づきながら、
「今まで、こんなふうにして、他の冒険者も襲っていたのか……?」
って訊いたけど、団長はビビるだけで答えてくれない。
そんな姿も哀しく見えた。涙がこみ上げる。奥歯をぎりっとかむ!

「襲っていたのか!」 ゜+.キィィィ……ン゜+.゜ カッ……!

テンション120%!……パッシヴスキル『オーバーテンション』発動!!

『……あれ、叫んで上がることもあるんだ?』

と思った次の瞬間には、グーで団長のアゴをクリーンヒット!
カオが ぐりんと回って、白目をむいて大の字になった。
あとでこのワザの名前・考えなきゃ(・∀・)

「ふー」
高まっていたテンションを、深呼吸して落ち着かせる。

「おつかれ」
シエンが、あたしの髪をくしゃってしてくれた。
「ありん」 ゜+.(〃▽〃)゜+.゜

「で、」
と言って彼は、伸びている3人を見ながらあたしに訊く。
いたずらっぽい笑みを浮かべて。

「こいつらどーするよ?」 (①∀①+)キラン

△▽▲▽△▼△▽▲▽△▼△▽▲▽△▼△▽▲▽△▼△▽▲▽△

ざわざわ……
「これ、自警団……だよな」
ざわざわ……
「どうしてこんな……?」
ざわざわ……ざわざわ……
その日の朝早く、あの、自警団長さんが立っていた場所は、
アプリコットヒルで一番にぎやかな場所になった。

あの後あたしたちは夜を待ち、3人を縛り上げてそこに運んでおいたのだ。
使えそうなものだけもらって、こんな立て札を残して。

『アプリコットヒルを食い物にしていたムシたちです。
 どうぞ煮るなり焼くなり好きにしてください。
 P.S. アプリコットサンドいーっぱい作っといてね(・∀・)ノ゛マタネ  』

△▽▲▽△▼△▽▲▽△▼△▽▲▽△▼△▽▲▽△▼△▽▲▽△▼△▽▲▽△

アプリコットヒル・ハイスピード・ファイナルラップ
 『アプリコットヒル編・高速エピローグ』

次の目的地への道中。

「ねーねー。あの封筒、誰から?」
「ああ、家から」
「なんだって?」
「次行くとこで頼みごとがあるらしい」
「(・∀・)!シゴト?」
「まーな」
「わーい♪」 ゜+.ヾ(・∀・)ノ゜+.゜

「ところで、さっきのワザの名前、考えたのか?」
「アプリコットヒルの怒り」

彼はまぶしそうな顔をして
「ああ……いいね」
と、にって笑った。あたしたちは拳と拳でカンパイした。
この道は希望へと続いている。

……あれ。結局、もともとの目的…… まいっか(・∀・)→[ GO NEXT ]
 (アプリコットヒル・ゴールイン)

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あとがき

はい。なんかスキル祭りになっちゃいました。
狙っていたことなんですけども。
ミナの持っているスキルの紹介を兼ねてみました。

【スキル説明会はこちら!ヾ(・∀・)ノ】
作中のスキルについての詳しい説明をしてます。
【補足説明】この あとがきのすぐ下にあります。

【今回のレース用語】
エピローグのところの「ファイナルラップ」。
これは、レース終了までの最後の1周のことです。
本作はグランツを強く意識しているので、このような表現をしてみました。

今回、シエンの戦闘シーンがなく、全国200人のシエンファンの皆様には本当に申し訳なく思っています。
しかし、次に訪れる地で、必ずやシエンに活躍してもらいます。
どうやらキャデラック家にかかわるエピソードになりそうなので。

とともに、謎のベールに包まれた彼の能力も、
いくつか明らかにされることでしょう。
それまでお付き合いいただければ幸いです。2005.2 みな

【スキル説明会はこちら!ヾ(・∀・)ノ】

『縮地』の説明は要らないですね。ダッシュですダッシュ。
『飛翔』はハイジャンプです。

パッシヴスキル『オーバーテンション』。これが一番謎ですね。
これは、「秘められたスキルの目覚め」を促す、才能的なスキルです。
パッシヴっていうのは、ある一定の条件がそろっていれば常に、
自動的に発動するものです。
中には、単純に、キャラレベルが10以上なら、いつでも攻撃力10%
アップとかいうものもあります。

さて、今回の『オーバーテンション』っていうのは、テンションが
100%を超えたときに発動するものです。
発動するごとに、そのときに使用していた戦闘スキルの、敵への攻撃力を10%ずつアップさせるものです。

作中では、発動した瞬間「120%」となったように書いていますが、
実際には段階があるんです。

残るは団長!時「72%」→叫び時「102%」→
オーバーテンション発動時、ミナの素手スキル追加パーセンテージ「110%」→スキルアップによる10%アップで「120%」

※この間およそ3秒。この途中で通常ダメージを受けると、
オーバーテンションによるスキルアップ失敗。
その時点のパーセンテージ積算による通常攻撃になる。
(例:上記、オーバーテンション発動時に通常ダメージを受けた場合、
敵への攻撃力=通常攻撃力×110%)

今回は無事にスキルアップ成功!
なので、次回から素手スキル使用時、110+10=120
ということで、常に120%が積算されます。

もし、このときにシミターで斬っていれば、剣スキルが上がっていた
ことでしょう。

ちなみに、ミナが最後のほうでワザの名前を考えていましたが、
これはミナの趣味です。公式的には特に何も反映されません。
(ミナ: Σ )

お帰りはブラウザの「戻る」よりお帰りください。
ご利用ありがとうございました。
【補足説明】ホームページ時代の名残、いわゆるブラウザバックです。

@6 前回の補足も兼ねたふたりのなれそめ? 『風の声』

「ねぇシエン」
「んー?」
次なる目的地への道中。
ずーっと気になっていたことを訊いてみることにした。

「なんでムシじゃなく、自警団の仕業ってわかったの?」
「風の声 聞いた」
「(・∀・)!ああ」

そういえば……。
あー、せっかくだから、今回はそんときのハナシをしよっかな(・∀・)b

△▽▲▽△▼△▽▲▽△▼△▽▲▽△▼△▽▲▽△

∵∴scene1 雪山へ行こう!∴∵

あれは今から4~5年ほど前。
あたしがまだ冒険者ライセンスを取って間もない頃のこと。

舞台はシャモニーの村。あたしの生まれ育った故郷。
雄大なモンブラン山麓に囲まれた、それは静かな北の村。

春。すべての生き物たちの解放。
雪解け水が、小さいながらも豊かな耕地に潤いを与えてくれる。

夏。あまりにも短い季節。
貴重な熱を逃がすまいと、生き物たちは生を謳歌する。

秋。収穫と備えの時。
山々の色づきは、あたしたちへの、その年最後の贈り物。

冬。支配者・シヴァの目覚め。
時間さえも凍らせて、永遠の美を得ようとするのだという。

そんな、厳しい冬が去って、日に日に春の訪れを
肌で感じ始めていたある日。

その日は朝から天気が良くって、あたしは山のほうへ行ってみたくなった。別に何するってのはないの。あえて言うなら散歩?

村の辺りの雪は、日陰以外はもうすっかり消えたけど、
きっと山のほうには まだあるよ。

んで、この陽気にキラキラ輝きながらすこーしずつ消えていくんだよ。
すんげーキレイで好き゜+.(・∀・)゜+.゜

あとあと、せっかくライセンス取ったのに、
家じゃむやみにスキル使っちゃいけないの。

ほら、冬の間は雪に閉ざされちゃうでしょ。
シゴトといったら家事手伝いがメインになっちゃうの。こんな北国じゃ。
だからもう早く使いたくて!(ちなみに、主職:剣士、副職:盗賊)

山の動物相手に、とりあえず剣士のスキル・試したい゜+.(・∀・)゜+.゜
オオカミくらいならきっと平気!

とりあえず……。(盗賊スキル『無断借り』発動/テンション:平常)

●家宝刀【シミター・オブ・アヴァンツァート“銀月”
(グレード:S)装備。
≫市販品シミターより、市販品ダガー1本分ほど刀身が長い。
≫白銀の刀身には読めない文字が刻まれ、
 柄の部分には家の紋章が埋め込まれている。
≫代々の言い伝えによれば、モンブラン山麓の永久凍土から
見つかったものらしく、属性は氷。
≫常に冷気をまとい、刀身の表面には、うっすらと露が浮いている。
≫ほかにもなんかのチカラが備わってるっぽいけどよくわかんない(・∀・)

あとはー。着るもんはふつーのでいっかな。
●正真正銘自分の【フード付き・雪原迷彩ダッフル】(グレード:C)装備。≫氷点下5℃の吹雪時、3時間は耐えられる防寒設計。
迷彩はデザイン重視。カモフラ度・中~低。

下は、動きやすいように、
●正真正銘自分の【雪原迷彩アーミーパンツ】(グレード:B)装備。
≫ブーツはパンツとセット。
≫軍隊でも採用されている本格派。カモフラ度・高。

あとは……、
●【ライセンス・カード】(グレード:A)
≫冒険者ライセンスカード。
≫身分証明、料金の支払い、パラメータや所持品の確認などができる
万能カード。お出かけの際は忘れずに。

●【グリップ・グローブ】(グレード:C)
≫すべり止め付き手袋。盗りたいモノをがっちりキャッチ!あたし御用達。

●【偏光サングラス】(グレード:C)
≫直射日光を受けても視界が悪くなることはない。
いちおう、『ガルム』ブランド。

●【モンブランの護符】(グレード:D)
≫モンブラン山麓にある寺院で売られているお守り。価格は300cr。
≫所持者の信仰心に応じてグレードが変わるらしい。

お昼までには帰ってくることにして、お弁当なんかは要らないかな。
よし、行くか!゜+.(・∀・)ノ゜+.゜

∵∴scene2 エモノ∴∵

山へと向かう村の一本道。
川にかかる木の橋を渡ると、すぐ目の前は残雪に覆われた
モンブラン山麓への入り口。

冬でも、猟師や木こりなんかは山に入ったりするから、
ずーっと奥のほうまでケモノ道のように、雪の道ができている。
その道を足元に注意しながら、ざくざく進んでいく。

左側が山の急斜面。
ところどころ、積もった雪が自然にくるくる転がってできた
『スノー・バームクーヘン』ができている。               ※食べてもいいけど、基本・雪だよ。

右側が小さな谷になっていて、下のほうを小川が流れているのが見える。
雪がなければ、何事もなく降りてまた登ってこれそうだ。

゜+.(・∀・)゜+.゜わぁぁ♪
雪の上に、キツネかなにかの足跡が点々と、こう、あたしが歩いている
雪の道をナナメに横切った跡がある。

「さすがにキツネ相手じゃチカラ試しにもなんないよね。
ケガさせるだけだろうからかわいそうだし」
自分でそう納得しながら、オオカミくらいのエモノはいないかと
見ながら歩く。

進むにつれ、木々が多くなってきた。林に入ったようだ。
さっきまでは日当たりであったかかったけど、日陰に入るとさすがに寒い。この辺りから狩猟区になる。
戦闘スキルを持たない者の立ち入りが禁止されている。

ここで盗賊スキル『警戒』を発動させておく。
これで、仮に先手を取られても、すかさず回避して反撃できる。

反撃には、剣士スキル『刀剣』を設定。
装備㊥の“銀月”が、必然的に活躍することになる。

スキルだけに頼ることはせず、五感によっても、周囲への警戒は忘れない。危険な動物系の足跡などはないか、
木の幹にナワバリのサインなどはないか。

葉ズレの音、不自然に落ちる雪の音、あたし以外に雪を踏みしめる音。
風に乗って運ばれてくる木や雪以外のニオイ。

こういったことは小さいときから父さんに教わっていたことだ。

と、さらに1歩進んだところで男の悲鳴が!!゚*.゚(+・`ω・´)゚*.゚むっ
ちょうど左手・急斜面の、丘状になっているその向こうからだ。
急いでよじ登る!状況は分かんないけど間に合って!

登りきると、そこは少し開けた場所だった。

『!?』
悲鳴の主は、その姿から猟師。
しかしその相手を確認してアセった!

正式名【コヤマシロウサギ】!
山に生息する小型の白いウサギとかじゃないよ?
小山ほどもあるでっかいウサギ!
【補足説明】モデルは、ONEPIECE のラパーンです。

かわいいカオして性格は極めて凶暴!
例えて言うならウサギの姿をした白いヒグマ……別名【オニウサギ】!

熟練猟師でも、こいつの気配を感じたらまず逃げることを考えるという……ガクブル

まずオニウサギがこっちに気付いた。
しかしここはとりあえず冷静に猟師を呼ぶ。
「はやくこっちへ!」

猟師はあたしに気付き、慌てふためきながらも、四つんばいになりながら、ひぃひぃ言ってあたしのうしろに隠れた。
あまりの恐怖に顔は引きつっている。

『うん……ムリもないよ。それにしても……』
あらためてオニウサギを見上げる。そう、見上げる……。
こんな間近で本物を見るのは初めて。もちろん戦ったことなんてない。

『よりによってこんな……』
こんなヤツとこんな時に遭遇するなんて夢にも思ってないよ……。
無感情な赤い目があたし(たち)を射抜く。

『ヤバイ』

あたしの中での戦闘シミュレーション結果が出た。
ターン1:オニウサギ、飛んであたしたちの目の前へ。
ターン2:猟師は丘の下へでも蹴飛ばしとくか。あたしは防御の一手。
ターン3:オニウサギ、渾身の一撃!
ターン4:一応、回避を試み、ダメージを最小限に見積もっても、
今の防具状態ではゲーム・オーバー……。

∵∴scene3 ワイルド・ファイト!∴∵

あたしは半ばカクゴを決めた。
猟師はガクブル㊥。
オニウサギは飛ぶ構えをはじめた。

まさにそのとき!

オニウサギの後ろのヤブがガサガサしたかと思うと、
一人の男が飛び出してきた!

一同「Σ ?!」

その姿から察するに、戦士?
ここはどこだ?みたいにキョロキョロしていたが、

「いた!」

とこちらを指差し叫んだから、再び一同「Σ ?!」

そして彼がこっちに向かってこようとしたとき、

「うがーーー!!」

みたいな感じでオニウサギが叫んで、ドスンドスンと彼に突進!
そのまま渾身の一撃を見舞うも、彼はそれを受け止めた!

その反動で彼の脚がスネくらいまで雪に埋まる!
次は彼の番だ!

なんて叫んだんだろう?
「グリズリー・ブロー!」?
あたしにはそう聞こえた。

今度は彼が、オニウサギに渾身の一撃!
それはオニウサギの、胸のところで×に組まれたごっつい腕の防御に
はばまれた!

「すげぇ……」
あのオニウサギと対等だよ……!
ああっと!、オニウサギ高く飛んで、
ひとつに組んだ拳を彼の脳天めがけて振り下ろーす!

しかしこれは彼の、頭の上で×に組んだ腕で防いだ!
でもノーダメージではなさそうだぞ!わりと効いているかー?!
おおっと! 今の攻撃で、オニウサギのフトコロがガラ空きだー!
彼はそこを見逃さなーい!

少し後ろに跳びすさるとー、助走をつけて飛び込むー!
こう、ヒジを、オニウサギのミゾオチに向けてー!

「ユニコーン・ホーン!」
これは深々と刺さったー!! オニウサギ苦しそう!
ミゾオチを押さえて……

おおっとダウン!オニウサギ、ダウンだー!!
そのままうずくまったぞー!!゜+.ヾ(・∀・)ノ゜+.゜わはー

しかし、やはりさっきの攻撃が効いていたのだろう。
彼は首の辺りを押さえてその場に片膝を付いた。

「だ、だいじょぶ?!」
あたしはすかさず走り寄る。

「あ、ああ……」
よかった。たいしたダメージじゃなかったみたい。(・∀・)

彼はフトコロからライセンスカードを取り出し、
なにやらチェックしている。なになに?

「【タイタン・ハンマー】……。よし、ゲットだ」
どうやら、さっきオニウサギが使ったワザの名前らしい!

「え、なに? こう、倒すと、もらえちゃうわけ?! てかお名前は?」

∵∴scene4 シエン・キャデラック∴∵

「ああ。俺、サバイバーだから」

なるほど!

サバイバーというのは、今のように、
敵のワザを受けてから倒すことによって、
それを自分のものにしちゃうスキルをもつ職業なのだ。

たしか、調教士と格闘家と、あと、風水士だったかな……。
それぞれをそれなりにスキルアップさせてなれる上級職なのだ。

「いいなー!」
「大抵、痛い思いしなきゃなんないけどな」
ああ……。それはイヤかも……。

「そして待て」
ん?と思ったら、あの助けた猟師が、そーっと居なくなろうとして
「Σ」してたとこだった。

シエンはすかさず、恐れおののく猟師のところへ行き、
首の辺りを手刀でチョン。猟師はそのまま気絶した。

「その人何かしたの?」
「ああ。密猟だ」
「へぇー……。あ、じゃああなた、役人さんかなんか?」
「いや、とある街のクエストになってた」
「なるほどー」

ってハナシしてる脇で、密猟猟師が3Dホログラム化して消えていく。
あたしたちはその様を見送った。
シエンがクエスト終了報告をしたのだ。これもカードでできる。

どんな人も、お尋ね者として賞金が懸けられると、
クエスト・センターに登録されちゃう。いわゆる賞金首。
そして賞金稼ぎに狩られると、今のように、センター送りになるのだ。

「もう悪いことしないでね」
気絶してて聞こえてなかったと思うけど、あたしの声、届くといいな。

「よし、次行くか」
「次?」
「次のワザ・ゲットしに。それとクエスト」

そっか……。なんかイイな。本格的に冒険者してる。

「また会える?」
「そうだなぁ……、会いたくなったら、風に想いを託すんだ」
「風に?どうやって?」
「こう、強く願う感じか? そうすれば、俺、風の声・聞けるから」
「風の声?!」
「ああ。これは属性スキルのひとつで、
正確には【シルフ・ウィスパー】って言う。俺、風属性だから」

「属性スキル?!」

初めて聞いたよ?!

「あたしにもあるの?それ!?」
「さぁ……? でも教えてくれる人がいる。行くか?」
「行きたい!……って言いたいとこだけど、今はまだムリ(´・ω・`)」
いろいろ事情があってね……。

「そっか。じゃあいつでも行けるようになったら風に……な」
「うん!゜+.(・∀・)゜+.゜」

△▽▲▽△▼△▽▲▽△▼△▽▲▽△▼△▽▲▽△

……とまぁ、その後もいろいろありまして。現在に戻ってくるワケですよ。その「いろいろ」なハナシはまた今度(・∀・)

「アプリコットヒルの風は、なんて言ってたの?」
「ん? こう、丘が泣いてるって……
丘が『自警団に傷つけられて死にそうだよ』って言ってる ってさ」「へぇぇ」 ゜+.(・∀・)゜+.゜

と青空を見上げたあたしの髪を、一陣の風がすいていった。
「ねぇねぇ、今のはなんて言ったの?」
「んー。……ああ」

シエンの表情が変わった。 (・∀・)なに?
「『嵐が来る』」

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あとがき

はい。大変お待たせしました?
さらに、こんなに長いエピソードになる予定ではなかったです。
いろいろな設定やら説明書きやらまでをも盛り込んじゃったから
でしょうか。
※これらは後日、【ろーぜん・データベース(仮称)】として
別に作っちゃう予定です。

しかも後半、もう、駆け足です。手抜きにもほどがあります。
ハナシ始めのキッカケである『風の声』のイイワケだって、
コジツケっぽくなった感も否めません。反省しきりです。

【今回のグランツ】
舞台となったシャモニー。
モンブラン山麓のスキーリゾートを1周するスノーステージです。
しかし実は筆者、まだ走ったことがありません。
なのでイメージ自体、創作です。

というより、地元の山周辺をモデルにしてます。
そこに、シャモニーの名を拝借した格好になってます。

そして、サングラス・ブランドとして登場させたガルム。
これは、フェンリルと同一視されることがある、
北欧神話に登場する番犬のことです。
実在するブランドではなく、Gulf ガルフという実在する石油会社をベースに、Agip アジップという同じく実在する石油会社の、ヘルハウンドっぽい
ロゴ・マークをお借りした創作です。
【補足説明】2社のロゴマーク

最後に。
仕事をイイワケにしない主義ですが、事実上、そうなっちゃってます。
月イチくらいのペースでupできれば と思っています。
お付き合いいただけたら幸いです。2005.3 みな

@7 新生活応援キャンペーン!? 『嵐の前の……』

まもなく風が凪ぎ、生暖かい空気が辺りを満たした。
体中にねっとりとまとわりつく。

あ゛ー、ヤな感じ!めっちゃ気持ち悪い!
ヾ(*`Д´*)ノ゛彡☆んもうイライラするっ!

てかここどの辺だろう?なんかおっきぃ岩山に囲まれてる風景。

「ねぇ、ここどの辺?」
こう、手でパタパタと顔をあおぎながらシエンに訊く。
「エルキャピタン」
たいして変化の無い彼の様子に少し安心しながら、ふーん とだけ答える。うん、知らない場所だ。

「この、風が止んだのってさ、やっぱさっきの
『嵐が来る』に関係してるの?」
「たぶんな。だがわからん。なんせ風がいなくなったからな。何も訊けん」
「なるほど」

そんなようなハナシをしながら、あたしたちは前へと進んだ。
初めのうちは この、無風+ハンパサウナ状態で、ちょっと歩いただけで
汗がにじみ出てた。
なんっかゴツゴツした石とかそこらに転がってて歩きにくいしさ!

それがだんだん慣れてきて、やがて汗は引き、
歩き方もコツをつかんじゃったらたいしたことない。
鼻歌まじり とまではいかないものの、
まぁまぁふつーに歩けるようになった頃。

ゴゴゴゴゴゴ・ドン……ゴゴゴゴゴゴ・ドン……

なんか遠くで雷が鳴ってるような音。それが近づいてくるのが分かる。
「Σ ななななに?!」
「あわてるな。精神を集中させとけ」
シエンの冷静さで、あたしも不安を軽くすることができた。
いつもどおり『警戒』を発動させておく。 ゚*.゚(+・`ω・´)゚*.゚

『雷』は尚も近付いている。その音もだいぶ変わってきていた。
『雷』というより、なにかの重機?
ゴゴゴゴゴゴの BGM で、突き上げるような ドン!っていうのが
規則正しく繰り返され、もう すぐそこまで来てるっぽいよ!

ほどなく『それ』は、すぐそこの岩山の陰から現れた!
と同時にゴゴゴゴゴゴ・ドン!の音量が1段階ほど UP!
となりにいるシエンとさえ、もう叫ぶくらいでないとハナシができない!

『それ』の正体は、その姿から一目で分かった。ロック・ゴーレム!!
今まで図鑑でしか見たことなかったのが目の前に!
キャー!゜+.(・∀・)゜+.゜ステキスギ
「おい、キラキラしてる場合じゃねーぞ。アレはオマエに任せた」
「Σ えっ、なんで?!(やるけどさ)」
「アレのワザ・もうゲット済みだし」
「……はい」

そこで見ててやるよ
と言い残し、シエンは背後の岩の壁に腕組みをしてもたれかかった。

んー、さて……。
ざっと見たところ、“銀月”では刃が立たなそう。なんせ岩だしね。
刃こぼれさせるのがオチだ。
かと言って素手じゃ、ねぇ……。岩山・素手で殴りますか?
何をとち狂ってますか?……うん、どうしよう。

「来るぞ」
後ろからシエンの声がしたと思ったら、目の前に岩のカタマリが!
あぶっ! とっさに飛んで回避した。

それはゴーレムのパンチだったみたい。
『そっか。無機物だから気配しないんだ。ちょっと厄介だな。
でも目を離さなければ平気かな』

ゴーレムのパンチは、あたしが立ってたとこを粉々に粉砕!
ちょっとしたクレーターを作った。
まともに喰らってたらコレ 死んじゃうかも……?(・∀・;

でも、あんな目の前まで来てたやつを回避できたくらい、スピードは遅い!そこは・あたしが有利!゜+.(`・∀・´)v゜+.゜
でも逃げ回ってるだけじゃ、いつまでたっても終わらない。んー、困った。

とりあえず、攻撃されない距離を保ったまま、ゴーレムを観察し続けた。

……ちょっと待って?
攻撃されない距離保ててる=わざわざ倒す必要無い!
゜+.ヾ(・∀・)ノ゜+.゜わーっ?

「いいだろうw」
シエンが笑いながら岩の壁から離れて側まで来た。
「(・∀・)?」 いい?ってなにが?
「じつは アレ、ここの番人でな……」

シエンによると、ムカシこの辺りに町があって、
その当時に番人してたのがアレなんだって。
もう町は無くなったんだけど、今でもああやって
町を守ろうとしてるらしいの。

ちなみにアレは、例え倒せても、何度も復活するんだって。
ほら、この辺 岩には不自由しないでしょ。
だからこの辺を通る常連冒険者には、いい腕試しになってるらしい。

「なるほど……。わかった。じゃあ、いつかあたしにも倒せる条件が
そろったらリベンジだ!」 (`・ω・´)ノ
「だな。スキル上げにも使えるし。ちなみに、“銀月”でも倒せるぞ。
それなりのスキルレベルは必要だがな」
わぁぁ♪゜+.(・∀・)゜+.゜ステキスギ
ってやってるとこに、ぶんっドガッ! Σ あぶっ 彡サッ ふー。
油断もスキも無いよ。
今ので回避スキルが1コ上がったけどね!ヾ(・∀・)ノんまー♪
とか してるとこに突然

「ふふふ……甘いな!シエン・キャデラック!」
Σ な、だれ?!ステキキブンに水を差してくれたのは!!

声のした方を見ると、真っ黒な雲がまっすぐこっちに広がってきてた。
ところどころ光る。本物の雷だ。
その黒雲を従えたかのように立つ、ひとつの人影があった。

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あとがき

はい。お待たせしました。新エピソードのスタートです。
どうにか新生活エイプリル㊥に間に合えてほっとしています。

【今回のグランツ】
ロック・ゴーレムが守る、エルキャピタン。
ここは、カリフォルニアの緑と巨岩の中に作られた
高速コーナー主体のサーキットです。

見事な自然の造形美に見とれていると、突然現れる
ブラインド・コーナーで、文字通り痛い目を見ます。
ブラインド・コーナーというのは、例えば、上り坂のあとの
コーナーを言います。

見通しが利かないため、その先にあるであろう急カーブを
あらかじめ想定した、そんな高度な走りが求められます。
実際のコースは、ロック・ゴーレムに守られたりしてませんが、
そんな緊張感をオーバーラップさせてみたつもりです。

あと、『ムカシ町があった』 というのも創作です。
リアルの歴史とは必ずしも一致しません。

さて、これからの展開ですが、「嵐」にふさわしいものにしていきたいと思っています。
とともに、あるひとつのテーマも織り込んでいこうかと。
それは次回以降 明らかになる予定です。
ここんとこ周囲で実際に騒がれていることです。
カンのイイ人ならこれで気付いたかもしれません。
筆者なりの考え・怒り・悲しみなどを、うまく・ミナのテンションに
シンクロさせたいです。2005.4 みな

@8 世界(レベル)が違うよ! 『嵐来たりて』

空は あっという間に真っ黒な雲に覆われた。
まだ昼間のハズなのに、もうすっかり夜のよう。

ぽつりぽつりと大粒の雨も降ってきた。
装備品には防水加工が施してあるから、そっちは問題ナスィンだけどね。
でも大雨になったら視界に影響するから、それはちょっとヤかも。

ロック・ゴーレムは、シエンのスキル『ツタ地獄』っていうやつで
ガンジガラメになってる。しばらくおとなしくしててね(・∀・)b
そんな状況を待っていたかのように、ステキキブンに水を差してくれたヤツが
近づいてくる。

あたしはシエンに確認してみた。
「ねぇ、知り合い?」
「……あぁ。俺の人生の汚点だ」
むぅ。
シエンの何もかもを知ってるワケじゃないけど、たいてい自信たっぷりな
このヒトに、こんなセリフを吐かせるなんて……。

やがて、
「待たせたな」
いや別に待ってたワケでもないけど、……デカイ(・∀・;;
あのゴーレムに負けず劣らずなくらいデカくてゴっツい。

「初めましてお嬢さん。俺はストーム・リスター。お見知り置きを……」
とジェントルマンぽく、うやうやしくお辞儀してくれたところへシエン、
「気安く声かけんじゃねぇよ」

ピキン! 一気に空気が張り詰めた(ノ∀`) こえぇ……

一瞬カオをこわばらせたストームだったけど、ため息混じりに、
「相変わらずだなシエン。そんなだからオマエ、裏切られるんだぜ……!」

最後の言葉と同時の殺気!あたしは咄嗟に後ろに跳ねた!
目の前を刃が、あたしの残像を横斬っていくのが見えた。
シエンは背中の両手剣を抜いて縦にした。
ガキン! 火花まで散らしてストームの剣を受けた。

ちょっとちょっと!失礼っていうか!なんなの!?
死んじゃうじゃないのよ!(ノД`*)ノ゛彡☆ 混乱するあたしは置かれ。

「相変わらずなのはお互い様か」

よくわかんないんだけど嬉しそうに笑ってるよふたりとも!
(ノД`) まじこえぇ

「言っとくが……」
縦に受けた剣をゆっくり引いてシエン、
「俺は裏切られた覚えはないね……!」
バットのスイングのように横斬り返し!

ビィィィ…ン それはストームの剣で受けられた。
「ほぉ……。少しは変わったらしい」
ストームは、右手を剣から離して、軽く振る仕草を見せた。

雨が、少し強くなってきた……!

--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--

あとがき

4ヶ月もお待たせしました。
できれば梅雨の時期にupしたかったエピソードです。
でも考え方を切り替えて、今、この時期、雨乞いの意味も込めまして、
四国の水不足で苦しんでいる人たちに捧げます。

【今回のグランツ】
シエンのライバル?として登場のストーム。
イギリスのクルマで、正確には「リスター ストームV12 レースカー '99」といいます。
「ストーム」とは「嵐」のこと。レース仕様ながら、600PSオーバーというパワーは まさに嵐そのもの。

参考までに、普通の軽乗用車で64PS、
公道走れて車検通れるスポーツ車でも280PS。
ちょっとイジってても400PSそこそこ?ということからも、そのパワーの
ほどがうかがえるというものです。

今回のようなシチュエーションのために登場させようと、
前々から思ってました。
ちなみに、筆者のGT4のシエンのパワーは965PSですがなにか?2005.8 みな

@9 因縁の対決に終止符?! 『風の子』

ぬるい雨が、灼熱の大地を叩きつける。
乾ききった大地は見る見るうちに潤っていく。
と同時に、地上には、うっすらと白い霧が立ち込め始めた。
雨が地面の熱で蒸発したんだ。

そこに気流が生まれた。風の赤ちゃんだ。
シエンはそれを捕まえたっぽい (・∀・)!
彼は風属性だからそういうワザもあるんだろうけど、
一応・強敵?との戦闘中にそんな余裕があるなんてね!でも……、

「うわ……、こいつめちゃめちゃ元気無ぇ……。ミナ、おまえ面倒みてやれ」

ぽい って
ふつーに何かのアイテムでも投げるかのような仕草を見せたけど!
「え?え?!」Σ(('д';三;'д')) たしかに何かが手元に飛んできた!
「うわっ、うわっ、……゜+.(*'▽'*)わぁぁ♪゜+.゜」
妖精が存在するとしたらこんな姿してるんだろうな~♪
半透明な、全体的に白で統一されたデザイン。
顔を近づけると、このコの周りには常に風が巡っていることがわかった。

「でもその風が弱えーんだ。だから、なんかおまえの装備品に、
一時的に入れてやってくれ。要領はわかるな?」
うん、それはきっと装備品のパワーアップなんかのときに
アイテム使うのと一緒だ。
でもどれに入れてあげようかな……。 あ(・∀・)!

このコは風の子だから、入った装備品は風属性になるよね たぶん。
銀月はもう氷属性だからパス。たぶん重複できないから。
じゃああとは着てるもんとか?もう1本のシミターとか?
うーん、よし! ……と、

その様子を、アクビをしながら待ってたストーム。
「用は済んだか?物好きコレクターさんよ」

ピキッ

「ああ待たせたなエセジェントルマン」
全部奥歯を噛みながらシエンが返す。

2人の間の緊張が高まっていく!

「エセは無ぇだろ?コトが終わるまで待っててやったのによ……!」
組み合った剣と剣を、ワザなしの100%パワーだけではじく!
そのイキオイで2人とも後ろに跳んだ。

「よっく言うぜ。手のシビレはもういいな?待ってやったのは俺の方だ」
次の瞬間。
ふっ とシエンが消えた!

ガキン!!
「?!」
音のした方にはストームひとり。
でも彼の様子は明らかに、剣で攻撃を防いでいる感じ。

ストームがひとりで剣の向きを変えて、その剣からは火花が散っている!

ガガガガ!キンッ!ガガガガガガガガ!!!

と、ストームが体勢を崩した!
その、空いた肩口のところから鮮血が上がる!

ぐらっ とストームが傾き、さっきシエンが消えた場所にまたシエンが、
着地したようなカッコウで現れ、ストームはそのままうつ伏せに倒れるか……と思ったけど、そこはこらえた。

「くっ……!」
ストームは肩口のとこを手で押さえて苦しそうにしている。

シエンは着地したようなカッコウから立ち上が……らない?!
足元に血がしたたり落ちてる!!Σ
シエンは苦しそうにつぶやく。
「あ、相打ちか……」

あたしは急いで彼の元に駆け寄り応急処置を施す!
「しっかりして!」
「ああ、命に別状は無いよ」
よかったー(ノД`) ……ハ! ストームは?
と、そっちを探したけどどこにもその姿は無い。
血痕だけが、雨に打たれてにじんでいた。
雨がもうすぐやみそう。風上の空が明るくなってきてるから。

--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--

あとがき

台風14号すごかったですね。
四国の水瓶を一夜にして満水にして行ってくれました。
爪痕もヒドかったようです。
不謹慎かとも思いましたが、そこをシエンの負傷と重ね合わせました。
しかしミナの応急処置で彼は見事に立ち直ります。だいじょうぶ。

当初の予定では、「あるテーマ」を盛り込むことにしてましたが、
ごめんなさい。次回以降に持ち越します。
今回の展開が、入り込む余地を与えてくれませんでした。

代わり、ではありませんが、今回から「風の子」が仲間入りです。
まだ名前もありません。チカラもありません。元気も無いようです。
このコの行く末を共に見守っていただけたら幸いです。2005.9 みな

@10 風の子たちの休息 『望まれざる扉』

近くの岩壁に都合よく横穴を見つけた。
シエンに肩を貸し、入って休んだ。
雨は、だいぶ小降りになっていた。

傷口は、ちょうど心臓の辺りだった。あと少し深かったら……。
ストームのチカラの恐ろしさが今頃、実感となってよみがえる。
あたしの残像をためらうことなく横斬ったあの剣……。

シエンは、だいぶツラそうにしてたけど、
だんだん呼吸とか落ち着いてきてるみたい。
自分で傷口に右手をかざし、

「ユグド=ラ=シール」

こう唱えると、手がぼわっとした光を帯びて、傷口がキラキラ光るのだ。
これを10分くらいの間隔で繰り返している。

これはサバイバーのスキルのひとつで、
「望まれざる扉を封印する」みたいな意味なんだって。
望まれざる扉=キズのことらしい。
つまり治癒の呪文なんだ。なるほどね~

「もっと知力が高くてMPも多かったら、もっと早く治せるんだがな……」
彼は自嘲的にそうつぶやいた。
それはまるで、ココロのキズ・過去のキズのことも重ねて
言ってるようにも聞こえた。

けど、それはたぶん、あたしの考えすぎ。
こんな重くて湿っぽい空気を換えたくて、
「それでもすごいことだよ!
あたしなんてそんな呪文知らないしね!」(`・∀・´)b
少しオーバーにおどけてみせたら、彼が少し笑ってくれた。
よかった (〃▽〃)

「あ、あの風の子、どこに入ってるんだ?」
Σあっ、そうだった
「ここ、ここに!」 ゛ヽ(・∀・)
と、右腕のガントレットを示す。

それは元 極々ふつーの『スチール・ガントレット』。
その名のとおりの鋼鉄製で、サビにも強い市販モノ。
それが、風の子が入ったおかげで『風のガントレット』として
生まれ変わった!

属性が変わったのは言うまでもなく、何より劇的なのが重さ!
今まで1kgくらいあったのが半分だよ!軽い軽い゜+.ヾ( ´▽`)ノ゜+.゜♪
「なるほど、イイ選択だったな!」
ホメてもらった゜+.(〃▽〃)ゞ゜+.゜♪
そう、これで武器を振り回すにも、何かを無断借りするにも
有利になったのだ!゚*.゚(+・`ω・´)b゚*.゚

「あとはそのままそいつの回復を待てばいい」
「うんわかった」
あたしは愛しそうにガントレットをさすり、顔を近づけたら
かすかに風を感じたよ ゜+.(〃m〃)゜+.゜

それでちょっと安心したら、そのまま眠っちゃったみたい。

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あとがき

5ヶ月もゴブサタしてしまいました。大変おまたせしました。

さて、今回でてきた呪文「ユグド=ラ=シール」。
ほとんどの方がお気付きだったでしょう。
「世界樹」として有名な「ユグドラシル」から拝借しました。

これは、筆者が大好きな北欧神話に登場する、
「世界」をあらわす大樹です。
また、これも筆者が大好きな、BUMP OF CHICKEN の
アルバムの名前にも使われています。

これらのことから本作では、
「世界と結ばれる」→「エネルギーを得て復活する」=「癒される」
といった意味合いで使ってみました。

なお、「望まれざる扉を封印する」という意味を
当てたことについては創作です。
たまたま、「シール」=「ふさぐ」のような意味になるので、
都合が良かったためです。

ゆえに必ずしも、「ユグド」=「望まれざる扉」ではありません。
念のため。

しかし、「ユグドラシル」=「恐ろしい者の馬」という解釈がされている
こともあり、強引に解釈すれば、
「ユグド」=「接触してはならないもの」=「望まれざる扉」と
捉えられなくもありません。

「ユグド=ラ=シール」=「恐ろしいものを封印することによって、
それは回復に向かう」と。

さて、異常気象甚だしい昨今。
リアル・ユグドラシルに「ユグド=ラ=シール」を。2006.2 みな

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あとがき '22

なんと今から 16~17年前!いや若かったわぁ。
『@10』のあと、もう少しだけ続くのですが、キリの良いここまでで。

まぁ全体的にテンション高い高い!
私自身がオーバーテンション発動しとったんやろなぁ。
好きなように書きたい放題ですわ。顔文字たくさん取り入れて、ね。

ああ、Godius ハマってたなぁ。実は今も稼働中なの知らんかった。
あの頃同じギルドだった子ら、今もプレイしてはるんかな?
このゲームの職業システムの、主職・副職っていうの、小説に使える
って思って、そのまま持ってきたんだった。
ミナのように剣士と盗賊など、自由に組み合わせられる。
戦士+魔法使いというのもできる。
これプラス、ドラクエとか、タクティクス系、Wizardry のスキルシステムも
取り入れた。
職業は変わっても、過去に覚えたスキルの一部は使えるというやつ。
ちなみに、ミナの銀月、今のクリスに受け継がれてます。
師匠のガタンにもらったやつね。

世界観は北欧神話をベースに、GT(グランツーリスモ)を持ってきた。
地名はコースの名前を、登場人物はクルマの名前に。
これが今、FORZA HORIZON 5 になり、ベントレーとか出そうとしてる。
速いクルマは美しい。
【補足説明】下の画像は、Rimac Concept 2 です。大好きです✨

このあとの展開は、漠然と自分の頭の中にはあるけど、言うたら
ありきたり。いや、こんなん、世に出せんわ。って正直思ってた。

そんな中、この、昔の作品たちを見つけた。正直忘れとった。
ゆうべ遅くまで起きて全部読んで、ずいぶん気持ちが楽になった。
「そうやん、好きに書いたらええんやん😆✨」

「それでイイお話になったらいいけどな。」(Σ・おわり)

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あたしはシミターをしゃきんと収めて、少しずつ近づきながら、
「今まで、こんなふうにして、他の冒険者も襲っていたのか……?」
って訊いたけど、団長はビビるだけで答えてくれない。
そんな姿も哀しく見えた。涙がこみ上げる。奥歯をぎりっとかむ!

「襲っていたのか!」 ゜+.キィィィ……ン゜+.゜ カッ……!

テンション120%!……パッシヴスキル『オーバーテンション』発動!!

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「よし、次行くか」
「次?」
「次のワザ・ゲットしに。それとクエスト」

そっか……。なんかイイな。本格的に冒険者してる。

「また会える?」
「そうだなぁ……、会いたくなったら、風に想いを託すんだ」
「風に?どうやって?」
「こう、強く願う感じか? そうすれば、俺、風の声・聞けるから」

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