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10月音楽鑑賞日記

心が張り裂けそうだ。

大きな出来事があったわけではない。
水滴が滴り落ちて小さく波紋を描くような、そんなことが私の心の中で次々に起きていて、味わっているのに精一杯。
こんな時に存分に書くためにこのnoteを始めたのに、なかなか書けないでいる。

それはともかく、いい音楽をたくさん聴いたので、書き残す。

・チャイコフスキー国際コンクールのガラ・コンサートを聴いた(10/8)

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目当てのドミトリー・シシキンはオケと噛み合わず精彩を欠いた印象。でもまだ聴くよ。
ドガージンのヴァイオリンが非常に滋味に富んで熱がこもっており、泣いた。この人は8年前のこのコンクールで2位、今回優勝している。誠実な研鑽の日々が伝わってくるような演奏だった。

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「ラ・モリナーラ」どうやって弾いてるんだろう、あんなの。

そして私はやっぱりチャイコフスキーが一番好きだ。

・藤田真央くんのピアノリサイタルを聴いた(10/14)

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シシキンと同じ、今年のチャイコフスキー国際コンクールピアノ部門2位。
現場で聴衆の心を鷲掴みにしたというモーツァルトを聴いた。
あまりにモーツァルトだった!
モーツァルトをモーツァルトとして弾いているのを初めて聴いたような気がする。
最初の音が鳴った瞬間の「モーツァルト」感、こんなの本当に聴いたことがない。
きらめくせせらぎを、光がはねるような軽やかで美しい音。

ベートーヴェンもショパンも素晴らしかった、アンコールは4曲もあって、ラストのドビュッシーの「月の光」はあまりに美しくて泣いてしまった。
真央くんは、弱音がとてつもなく美しいと思う。柔らかに雲が月を隠し、また流れていく。それをただただ美しいなあと無心に眺めている、そんな演奏。

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彼の演奏を生で聴くのは今年3回目だったけれど、これまではあどけない印象だった。彼自身の言葉による楽曲紹介もとても良かった。成長が凄まじかったと思う。

シシキンと真央くん、今回は真央くんに感動したな。

・ドリーマーズ・サーカスのコンサートに行った(10/15)

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デンマーク発の男子3人バンド。3人で10の楽器を奏でてました。木靴のかたちのフィドルめっちゃ可愛い。
https://youtu.be/XQTcP_4Q1lk

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冒頭、「人魚姫」の朗読が流れ出した時点でもうこれたまらんなってなった。
アンデルセン童話の残酷な無垢さ、かじかむ寒さの中の暖かさ、素朴な美しさ、そういうのに満ちた音楽だった。
武蔵野市民文化会館はガラガラ、半分しか入ってなかった。
でもオーストラリアのオペラハウス満員の聴衆を虜にするグループだよ。これ好きな日本人大量にいるよ。宮崎駿からお花が贈られていた。わかるー。ラピュタやハウルで流れても似合いそうなエモーショナルな音楽だよ。って思ってたらアンコールでトトロのフレーズがちらり。

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・ヴィジョン弦楽四重奏団のコンサートに行った(10/21)

ベルリン拠点の若手男子4人によるカルテット。
http://www.musashino-culture.or.jp/eventinfo/2019/06/post-929.html

ヴァイオリンのふたりもヴィオラの奏者も知的で魅力的だったけど、チェロのイケメンぶりに当てられてしまった。
なんてセクシーなんだ!
前半はクラシック、後半はノンジャンル。
最初に演奏したバツェヴィチという女性作曲家の作品が素晴らしい奥行きの名曲だった。チェロが牽引し、ヴィオラが迸る。芍薬や牡丹のような多層の花びらの大輪の花のような。
続くハイドンの「ロプコヴィッツ」はヴァイオリンの上手さにうっとり。
それと、アンコール曲ね、全員ギコギコ弦を鳴らしまくりのドライブ感のすごい曲。パンチ効いてた。スタンディングオベーションした。
あの曲収録されてるCDあるなら聴きたい。
12月12日のNHK-BSプレミアム「クラシック倶楽部」で放送されるようなので、観られる方はアンコールまでみてください。ほんとすごかった。

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良い月でした。

#クラシック #チャイコフスキー国際コンクール #藤田真央 #ドリーマーズサーカス #ヴィジョン弦楽四重奏団

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