見出し画像

青のえんぴつ

さく あかねさん

この本は青のえんぴつが主人公としてお話する物語です。

クラスの子たちがぼくのことをこう言っていたんだ。

「そのえんぴつ、空の色だね!」
「いや、海の色だよ。」
「いやいや、雨の色だよ。」
「いーや、涙の色だ。」

「わたしの好きな色!」

そうこたえた女の子はとてもキレイな瞳をしていた。
そして二つに結ばれた髪の毛を縛っていたのは青のリボンだった。

ぼくのことを好きと言ってくれて思わずドキドキした。

僕の持ち主は少年。少年は顔を赤く染めていた。
少年は女の子のことが好きだ。
持ち主と持ち物はよく似ていると言われるけど本当にそうだ。

女の子は1ヶ月前にこの学校に転校してきた。そしてぼくと少年は女の子に一目惚れした。

女の子はぼくのことを
「きれいな青だね!」
と褒めてくれる。

そのたびに少年は嬉しそうな顔をする。
そして女の子に
「ありがとう。」
と頭をかきながら言うんだ。

照れてるんだろうな。ぼくも同じ気持ちだけどね。

たまに少年はぼくのことをまじまじと愛おしそうに見てくる。きっと女の子のことを考えているのだろう。

ぼくと少年は女の子と一緒にいる空間が好きだ。
少年は女の子の前だと自分の好きな話をするんだ。

「ぼくは建築家になって自分の家を建てたいんだ。ぼくは青が好きだから青色の家を建てたいなあ。空の色と同じくらいに優しい青色にしたい。」

「ふふふふ。ステキな夢ね。わたしも家を建てるなら青色がいいなあ。」

「君も青が好きだもんね!青を見てると落ち着くんだ。空も海も青色だろ?雨は実際には青色ではないけど絵を描くときは青色で描くだろ?青ってどこまでも続いてる気がする。」

「ふふふふ。意外とロマンチックなことも考えているんだね。」

「話さなきゃよかった。。。」

「わたしは意外な一面が知れて嬉しいよ!」

ぼくは少年の話を聞きながら優しい笑顔を浮かべる女の子が可愛くて可愛くて、一緒にいられるだけで嬉しかった。

女の子は僕のことを、
「青のえんぴつっていいなあ。見ているだけで優しい気持ちになる。たまに悲しい気持ちにもなる。そんな時でも青のえんぴつは寄り添ってくれそうね。」
と言った。

「君は悲しい気持ちになることがあるのかい?」

女の子は黙ってしまった。そして話題を変えた。

いろんな話をぼくと少年と女の子はしていた。

それから1ヶ月後。
担任の先生から
「みなさんに大切なお話があります。」
と言われた。
女の子が前に出て行った。

「わたしはまた転校します。今日でお別れです。今までありがとうございました。」

「・・・・」

放課後、ぼくは少年に忘れられた。

女の子がぼくを見つけてくれて、涙を流していた。

タタタタタタタタ!!!!
ガラガラガラガラ!!!!
はぁはぁはぁはぁ!

少年がやってきて、ぼくと女の子を見つけた。

そして女の子に向かって、

「あの!!転校すること言ってくれてもよかったじゃないか!ぼくたちは青のえんぴつを通していろんな話をした!学校の昼休みの時間にもたくさん一緒の時間を過ごした!たくさんドキドキした、、、!僕は君が好きだ!」

「、、、、っ!!わたしもあなたが好きです!」

女の子が僕の色を好きで繋がった気持ち。
少年が勇気を出して女の子に伝えた気持ち。
その気持ちと一緒だった女の子。

なんだかぼくは青い恋のキューピッドになったみたいだ。

おしまい。

この記事が参加している募集

創作大賞感想

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?