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ヨガをしていた有名人①サリンジャー【ヨガ本企画 6/100】

ヨガをしていると、思わぬところで人とのつながりを自覚するようなことがあります。最近、作家のJ.D.サリンジャーがヨガをしていたことを知ったので、書いてみます。

私は10代の頃、反骨精神の塊でした。メラメラと内側から湧き出る反骨精神を抑えられず、反骨精神の化身かのように振る舞っていました。そのエネルギーの一部を勉強に、一部を演劇に費やしたのは我ながら良い判断でした。

だけどちょっと残念なのが「誰もが読む名作」に背を向けすぎていたことです。

サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて(キャッチャー・イン・ザ・ライ)』なんてその典型。みんなが読むし、みんなが「自分のことを書いている」と感じるらしい。それは、決して読んではいけない、ということ。

しかも、サリンジャーは金持ちの息子でイケメン。これは、私の反骨検閲にひっかかっても仕方ない。『ノルウェイの森』が売れすぎたせいで村上春樹も反骨検閲に引っかかっていたので、村上春樹が敬愛する作家となればなおさら。決して読もうとしませんでした。下手に文学部に進学してしまい、身近にアメリカ文学をやる男たちがいたのもよくありませんでした。彼らは、なんだかカッコつけていて、妙にモテていて鼻につき、気に食わなかった。女である私が苦労するのとは正反対に、彼らは苦労知らずで、何もかも飄々とうまくいっているように見えた。これはただの偏見だし、自分が努力不足なのを言い訳しているだけ。

今ならわかりますが、当時はそんなことはお構いなしにズンズン反骨ポンコツ道を突き進みました。

しかし、何もする気が起きずに、気持ちが沈んでいたある日、何気なく映画『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』を観ました。タイトルがダサいが、要するにサリンジャーの伝記映画です。

第二次世界大戦ではノルマンディー上陸作戦に参加したといいます。兵士として戦争に行き、PTSDになった、という話はもちろん聞いたことはありましたが、映像で再現されていると衝撃でした。ユダヤ系の親を持ち、商売に成功した父親に反発していた苦労知らずのお坊ちゃんのイメージを持っていたけど、やはり戦争で大きく変わったところがあったのかもしれない。映画でもそこがよく描かれていました。

戦争から月日が経っても、フラッシュバックに苦しめられて、夜も昼も戦争の光景や人肉の焼ける臭いが蘇り、苦しむサリンジャー。そんな時に彼が出会ったのが瞑想とヨガだったといいます。ラーマ・クリシュナ・ヴィヴェーカーナンダ・センターに通ったらしい。日本だと、インド大使館でヴィヴェーカーナンダ文化センターがよくヨガや経典のワークショップをやっているので、そこでやるような内容に近いのかもしれない。瞑想や、語り合う会みたいなものに重きをおいているような種類のヨガで、ハタヨガ(体を動かすヨガ)もやると思います。映画中でも体を動かすヨガのシーンもありました。

そして、徐々に創作と祈り(ヨガ)が一体となっていき、区別がなくなってくる。そうすると、出版は雑音を産むだけのものになってしまい、人気の絶頂にあって、彼は郊外の自宅に籠り、ヨガと祈りのための創作をするようになって、作品を世に出すことはなくなりました。

若い時だったら、この選択をよく分からなかったかもしれません。
ただ、今の私からみると、なんて理想的な生活だろう、と思います。

朝起きて、ヨガと瞑想をする。そして少しの食物をとって、あとは創作をする。それだけあれば十分幸せだろうと思います。後年はきっと、満ち足りた人生だったのだろうな、と想像します。羨ましい。

まだまだ世間との縁を切っては生きていけない立場の私たちは、いつかそんな平穏な日々を送れることを夢見つつ、今日も短い時間でサクッとヨガをして、元気に社会生活を送りましょう。

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