見出し画像

先生の「目」を使う。【ヨガ本企画 3/100】

YouTubeでは、ヨガに関する動画が爆発的に増えている。
私自身、ここ2年ほどはYouTubeを見ながらヨガをしたり、トレーニングをする機会が増えた。

YouTubeのレポートによると、「ヨガ」や「マインドフルネス」の視聴回数が、2020年の1年間で約3倍に増えたという。ステイホーム期間に家で体を動かしたり心身を整えたりしたいというニーズが爆増したことがわかる。

動画を見ながら、自宅でヨガをするのは気楽で良い。
着替えもせず、10分くらいでできるものが多く、日々の生活に取り入れやすい。在宅で仕事をしていて「ちょっと集中力が切れたな」というときに、サクッと体を動かせるのは良いものだ。

実際にスタジオに行くとなると、準備も移動も大変だ。着替えやマット、汗拭きタオルや水などの準備をして、一応メイクもして、わざわざ出かけないといけない。移動に時間もかかるし、工程がめんどくさい。リモートで仕事をするようになった人は特に、外出すること自体のハードルが上がってしまい、よっぽど楽しい集まりや必要に迫られた場合以外の外出がしにくい方も多いのではないだろうか。

さらに、ヨガの初心者だったらなおさら、ヨガスタジオに行くハードルが上がっているかもしれない。人にポーズができないのを見られるのが恥ずかしいというのもあるだろう。ちゃんと出来るか、やってみないとわからないし、そのレッスンが自分に合うかどうかもわからないのに「わざわざ出かける」というのが億劫に感じたとしても、仕方ない。

だけど、私はヨガの練習はなるべくスタジオでしたいと思う。
初心者の人にも、積極的にスタジオに行くことをお勧めしたい。

スタジオに行けば、先生とちょっと話ができる。なじみの仲間にも会える。家族を気にせず練習に集中できる。それに、私は気弱になっている日が多く、家だと最後まで練習ができなかったり、苦手なポーズから逃げたくなってしまう。
1人で取り組むときは「もうやめよう、まだできないや」と諦めてしまうポーズも、スタジオでの練習だと、もう一歩深く取り組める。家で練習するのに比べて、スタジオで練習する方が良い点がたくさんある。

一番大きいのは、「先生の目」だ。
先生の目を使って練習する、と捉えてみると、スタジオでの練習がもう一歩楽しくなる。

ヨガスタジオには、鏡がないことが多い。ダンスを習ったことのある人や、ジムでのスタジオレッスンの経験がある人は、ヨガスタジオに行ったときになんで鏡がないんだろう、と疑問に思うかもしれない。ヨガでは(基本的には)鏡でポーズを確認する、という習慣がない。意識を内側に向けて、内観しながら、呼吸の通り方などの感覚で体の内側を探る。体の隅々に意識を向けて、ポーズをとっていく。意識の向け方や呼吸の意識で、ポーズから感じ取るものが変わり、体の使い方も全く違うものになる。

自分の体を、自分の目で見ることはできない。

呼吸に意識が行きすぎて足の踏み方が疎かになっていたり、いつの間にか反り腰が悪化して出っ尻になっていたり。そういうことにはなかなか気づけない。

そこで、「先生の目を使う」ということになる。

ヨガクラスでは、時々、先生が体に触れたり、声をかけてくれて調整してくれる。自分のとっているポーズがどうなっているのかは、外から見ないとわからない。だから先生の目を頼り、指導してもらうのだ。それによって、できていなかった体の使い方に気づいたり、自分の癖を自覚できたりする。体の使い方の癖は、マットの外にも影響する。

例えば私は反り腰で、肋骨が開きがち。普段も反り腰の姿勢でいると、太ももが太く、お尻とお腹が大きくなり、スタイルが崩れる。それに、腰を痛める原因にもなる。今はまだ大丈夫でも、40代、50代になってくると、積み重なった体の使い方の癖が痛みになって出てきやすくなるだろう。腰痛にもなるだろうし、普段使えていない胸椎のあたりに不意に刺激が入って背中を傷めることもあるかもしれない。

それを事前に知り、体の使い方を調整できるのはいいことだと思う。

先生にポーズを指導されると「間違えた」と思ってがっかりしてしまう人もいるかもしれない。キリッとした感じの先生だと、叱られているように感じてしまう人もいるかもしれないし、ポーズを完璧にできていないことを恥ずかしく思ったり落ち込んでしまう人もいるかもしれない。

だけど、先生に指導してもらうのはいことだ。「教えてもらえた!ラッキーー!」くらいで喜んでいいことだと思う。できないことに気づき、やってみて、最終的に体の使い方が変わったり、取り組む姿勢が変わったり、意識面の変化が出たり、そういうことのためにヨガをやっているはずなので、自分ができていないことにはどんどん気づいて、調整していくのが良い。

あまりヨガの経験がないと、「スタジオでは上手に完璧にやらなくては!」と気負ってしまうかもしれない。だけど、ヨガスタジオはあくまで練習の場所。そこは宝塚の舞台ではないし、フィギアスケートの決勝でもない。点数もつかないし、上手く行ったからといって、給料も上がらない。完璧にやる場所なんかではない。できないことを通して、知らなかった自分の姿を知れる、貴重な場所だ。

YouTubeでの動画で練習するのももちろんいい。
だけどそこには先生の目がないということは、知っておいても良いかもしれない。最近はオンラインヨガもあるので、カメラをオンにして、しっかりとポーズをみてもらうのも良いと思う。

私は元々運動に縁がなくて、自分の体への解像度が荒い状態だった。普通の人が当たり前にできることが自分にはできないのだ、とすっかり諦めてしまっていた。

「自分には、運動ができない」
「自分には体を動かすことはできない」

という、自信の無さがそのまま放置されていて、自分のできなさと向き合うことができていなかった。

だけどヨガを深めていくと、「自分には運動ができない」が、もっと細かい課題に分解される。例えば「股関節を活かしきれていない」になるとする。

「じゃあ、股関節の伸展の動きを深めてみよう」
「伸ばせるようになってきた。今度は外旋をやって、頭の後ろに足をかけてみよう」

なんてやっていくうちに、それまで骨格の問題だと思って諦めていた内股が治った。スタイルが悪いのは生まれつき、と諦めていたけど、お尻や腰回りが分厚い体型だったのが、細くなったりした。骨のせいや遺伝子のせいにしていたことが、単に体の使い方の問題だったのだ。

体型が細い人を見ると心の中がチクッとして「遺伝子の違いだ」「私にはどうせ無理」と目をそらしていた。だけど、単純に「体をうまく使えていない」ということでしかなく、使い方を覚えていけば整えていけるのだった。

ヨガインストラクターの講座では、解剖学を勉強する。そうすると、骨の数や形、筋肉の数やついている場所には、個人差があまりないということがわかる。

「あの人はすごい」
「私はできない」

そう思ってきたけど、私がすごいと感じる「あの人」も、骨の数も、筋肉の数も、私と大差ない。使い方の問題が大きいのだ。

骨も、筋肉も、ちゃんと持っている。
自分で意識して、動かすこともできる。
だったら、ちょっと動かしてみよう。

人と比べてできなくても、先生の指導がちょっぴり怖くても、
大したことじゃない。今の自分の体を知って、先生の目も活用しながら、意識して動かしてみよう。

********************

このnoteは電子書籍にしてkindleで出版予定です。
100本書いて出版する予定なので、ぜひ応援のほどよろしくお願いいたします!

また、ヨガに関する疑問や質問、つぶやきを募集しています。
ぜひお気軽にこのnoteへのコメントや、マシュマロを投げかけていただけると嬉しいです。

マシュマロはこちら

この記事が参加している募集

最近の学び

読んでくれてありがとう! ぜひ、下の♡をポチッとしていただけると、とても励みになります。noteに登録してなくても押せます。