もう恋なんてしないなんて

これまで生きてきた中で、告白されたことの方が多かった、というと見栄を張っていると思われるかも知れないが、小学生時代を含めるとそうなる。

ではそれを大学時代以降にすると、圧倒的にフラれたことの方が多くなる。かなり非道いフラれ方もした。女性が信じられなくなったことも少なくない。その証拠に、まだその時どのように扱われたかを覚えてる。

こちらの勝手な言い分をさせてもらえるなら、どれほどの勇気を振り絞って、そして成功することを望んで告白したか、彼女達は全く考慮しない。女性とはそういう生き物らしいと後で聞いた。でも男性も大して変わらないかも知れない。

歌にあった通り、もう恋なんてしないなんて、言わないよ絶対。確かにね。後で思い返せば、それほどこだわるような相手ではなかった、というようなケースも多い。

一方で、日々残りの人生が少なくなって行く。年齢が上がるほど失恋のショックは大きくなる。また、尾を引く。それを短くするには、やはりその女性をつまらない相手だったと自分に言い聞かせるしかない。そして今、それに成功しつつある。あんな非道い女を、一時の感情とは言え好きになった自分を責めたくなる。

見た目はそこそこ。悪くないけど、好みというわけでもない。正確に言えば好きな方だが、諦めるためにはそれを認めてはならない。そして何とか認めない方向で心と相談している。

ただ1つだけ注意しなければならないのは、実際の好みとかはあるものの、やはり自分が好きになった事実まで否定することは出来ないということだ。

愚直なまでの愛は急速に醒めつつあるが、それが果たして良いことなのかどうか。このままでは、本当に苦い思い出の1つになってしまう。なっても良いが、彼女が気の毒になってしまう。後何年、彼女は咲き続けられるだろうか? 自分のことのように心配だ。今はそれ程でもないにしろ、一度は前後不覚になるほど好きだった女性だ。憎しみの感情は残っているが、それは忘れてあげるべきだろう。何故なら、彼女の方が、必死に生きているから。

応援なんてしないよ。彼女も望んでないだろう。何事もなかったように、互いに忘れ去られるべき事だ。勝者のいないゲームは、エンディングに近付いている。この心境の変化は、疲労から来るものだろう。あまりに下手な恋をしてしまった。

今はもう、彼女を思い浮かべても胃液は出ない。完全に忘れられた訳ではないが、昨夜の自分と比べても、明らかに違う。たった1日でこんなにも違ってくるのか。

昔話もそろそろやめるとするか。このフリースペースに救われた。文字にせず、心の中だけで暗算を続けていたら、まだ戦闘モードだったと思う。

終わりだ。何もかも。そしてフェードアウト。たぶんこれが、エロスなのだと思う。彼女の見立て通り、俺の心は始めから別の方向を向いていた。それに気付かなかっただけのことだ。

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