『孤狼の血』についての感想

映画『孤狼の血』『孤狼の血 level2』を深夜に一気見したので感想を残しておこうと思います。

まず、私はヤクザ映画が好き。ハマったきっかけは『アウトレイジ』。高校生の時に見て椎名桔平のかっこよさにやられてしまってからハマり続けている。
狂ったように『アウトレイジ』と「アウトレイジビヨンド』を見続け親に心配されたほどだ。

基本的にグロテスクなシーンやド派手なアクションに対して興味のない私が、なぜヤクザ映画だけは好きなのかと言えば、アウトローな世界への憧れとそこに通っている人情・仁義のようなものにかっこよさを感じながら、上下関係や理不尽さもある人間見に魅力を感じるからだと思う。

それを踏まえて今作『孤狼の血』の感想を述べていきたい。※ネタバレを大いに含みます

まず、1作目が良すぎる。
なんてったって大上がいるのだもの。
役所さん演じる大上の存在感たるや半端じゃない。圧倒的にカッコ良すぎるのに対し、2作目の日岡が大上の意思を繋いでいったかと言えばそうでもない感じが拭いきれない。

続編となると、どうしたって前作と比べられてしまうのは仕方ないけれど、それにしても1作目がマル暴とヤクザの世界だとしたら、2作目は狂人とダサい主人公でしかない。

1作目ではヤクザ同士の抗争を止めるために、大上は金融会社員失踪事件をいろんな手を使って調べ上げる。「カタギを殺した罪は重い」と五十子を脅す。

なにより大上のポリシーは「一般市民をヤクザから守る」を徹底していてブレがない。
ギリギリの綱渡りをしていたところ、五十子会に潰されてしまう。

それが悔しく、理不尽で。でもそれくらいギリギリの橋を常に渡っていたのだなと辛さが増す。
それだけの覚悟を背負い、身内ですら信用せず一人で戦っていた大上は警官からもヤクザからも恐れられている。まさに『孤狼』の名にふさわしい。

それに比べ2作目は大上亡き後の広島マル暴を引き継いだ日岡の物語。

前作から3年の月日が流れ、ある男が出所してくることによって広島の治安が崩れていく。

このある男とは上林のことなのだが、こいつがイカれ過ぎている。ヤクザというよりは狂人だ。
はっきりいって、私はこの上林が嫌いだ。悪人の魅力というものがまるでない。こいつの過去の辛いエピソードなんて正直どうでもいい。それなら、まだ亡き五十子との熱いエピソードでも入れて欲しかった。

ヤクザといえども、上下関係に従い仁義を重んじる様子がないと冷めてしまう。

そして日岡も大上の後を継いでいるようで、『孤狼』とは言い難い。チンタを利用し、危ない思いをさせ、最終的に殺してしまう。あれはどう考えても日岡が殺したとしか思えない。

最初に起きた「ピアノ教室殺人事件」の犯人が上林だとわかっているのなら、最初からそれを軸に捕まえれば良かったものを、刑事事件の捜索というよりもどんどんスパイ行為と上林の暴走に話は傾いていく。

グロ描写なんてものはヤクザ映画の一部の要素でしかなく、主軸の思いや思想のようなものがあまり感じられず残念。最後の車のアクションシーンはなんだ?あんなもんいるか?なんで都合よく一対一で戦うシーンになるんだよ、都合良すぎだろうが。

そして西野七瀬がスナックのママはあり得ないだろ、どう考えてもキャスティングが無理ありすぎる。どうしても西野七瀬を使うなら、一キャバ嬢として働いているくらいじゃないと違和感がすごい。
貧困をイメージさせるために髪の毛をプリンにしてるのかも知れないけど、商売道具だからそれはないよママでしょ、、、

さらに警察上層部との揉める様子も何ともいえない。あのバディのおっちゃんが裏切り者であったのはびっくりしたけど、びっくりしただけで「え?で?これがなに?」になってしまう。

その結果、こうなりましたよっていうオチが緩い。
最初から筒抜けであったように思えるし、上林を逃がすことで誰が道徳するのかもよくわからない。
そもそも大上が「1番怖いのは警察だ」とノートを作っていたことの教訓を何も学んでないじゃないのよと思ってしまわざるを得ない。

あぁ、大上に会いたい。どうしたってそう思ってしまう。私はまた1作目を見るのだろう。

そんなこんなで私の感想は終わります。
散々あーだこーだ言いましたがこんなに言いたいことが溢れてくるのはきっと好きだからこそなんだと思うので、いい映画なんだと思う。
見たのに内容をあまり思い出せない作品も多いから。

皆さんもおすすめの任侠映画があれば教えてください。ヤクザ映画ではないけれど、私からのおすすめは「青い春」です。

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