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ふきだしがかり(4)

漢字のありがたさ。
例えば、ファクスの操作画面に表示する送信ボタンと、送信中に中止する送信中止ボタン。
同じデザインを使い回すのであれば最大幅は、「送信中止」が収まる幅にすれば「送信」「送信中止」どちらの文字も収まるわけですから漢字4文字分になります。表意文字だと必然的に幅が短くなるので、スペースが限られているときには助かります。
これが表音文字を使う英語になると「送信」は[Send]、「送信中止」は普段の仕事の表記ルールだと[Cancel Sending]で一気に伸びます。小説のように多少文字を増やしてもOKであればよいのですが、既に決まったスペースに文字を入れ込む時の英訳は幅との闘いになります。「送信中止」の送信の意味を省いて[Cancel]にしたり[Stop]にしたり。
ラテン系の言語だと、名詞の性で動詞や形容詞の形が変わったり、冠詞をつけたがったりで英語よりも伸びやすくなりますし、これがキリル文字やハングルを使う言語だと(フォントにもよりますが)もっと伸びます。
と、普段の仕事で苦労していたこともあったので、このプロジェクトでお願いしていたのは「翻訳のことを考えて、吹き出しを広めにとって欲しい」ということでした。小さな画面で読まれることを考えるとフォントも必然的に大きくなりますし。
漫画家さんには画の描けないスペースを多めに取ってもらう面倒なお願いですが、そこをのんでもらったので、原文のニュアンスを残しやすくなってるな…と翻訳者さんとの打ち合わせの時に実感しました。

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