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映画「30S」タケル&蔵野の激熱トークショーと、私の好きなシーンベスト3 


 映画「30S」は、シネ・リーブル池袋で5週目の上映が決定しています。

■「"Sho&Sho"コンビ」によるトークショー

蔵野役の窪田翔さん(左)とタケル役の小野匠さん(右)


 9月3日、上映後に小野匠さん&窪田翔さんのトークショーが開催された。
 
 トークショーに初めて登壇された窪田さんは、終始ニコニコして盛り上げ上手な面白い方だった。っていうか映画内ではあんなに売れないバンドマン然としていたのに、髪型もすっきりされてきれいめの恰好をするとまるで別人のようだった。小野さんももちろんイケメンだし、背が高くスタイルがいいお二人が並ぶと、俳優というよりモデルみたいだった。

 台本では、蔵野は関西弁の役ではなかったそう。また窪田さんはタケル役での応募だったが、オーディションで蔵野役を演じてみてと言われやってみると制作サイドにピタリときてしまったのだ。窪田さんはずっとタケルがやりたかったと言っていたけれど、窪田さんが蔵野を演じたからこそタケルとの再会シーンは、温かみのある素敵なものになったのだと思う。

 窪田さんはとにかく口を開けば笑いを誘っていた。「10年やってて、路上ライブの観客が4人しか居ないんだよ?ヤバくない?」自分の出演シーン以外で印象に残っているシーンを聞かれると、レンカが高来さんに食ってかかるシーンを上げて「いやわかるけど、あんなん言われたら怖いわ」時折客席に同意を求めながらのトークは、終始笑いに包まれた。

■私の好きなシーンベスト3

①タケルと蔵野の再会シーン


 路上ライブから場所は居酒屋に移り、タケルが10年前にしていた約束の話から、蔵野はなぜ今頃タケルが自分に会いにやってきたのかを悟る。蔵野がテーブルに肩ひじ付きながら言う「俺はしんどいわ」の名セリフからの、世界の中心ではいられないことに抵抗しているだけという話。関西弁が心地よい。
 そして、トークショーで窪田さんも触れていたが、蔵野がタケルを連れガレージに帰ってくるシーンである。シャッターが開き二人の靴の爪先が映るところ、まるで正義のヒーローが登場するみたいな演出で最高です。部屋全体が見えて、10年前の光景がフラッシュバックして、思わず涙ぐむタケルに向かって笑いながら言う「お前、それどういう涙やねん」でこっちまで涙腺崩壊します。

②誕生日当日、天文台で迎える幻想的な一夜


 運転席に座るタケルが、「月が出てる!」と言ったときに映る月。あれはきっと、公式Xでも言及していた、「2022年10月31日」の月なのではないだろうか。クリアで、きれいな月だった。


③御手洗の出演シーン全部


 何度も見るにつれ、御手洗の存在が切なくなる。甲の誕生日を、ガリレオの地動説が認められた話を添えて「特別な日」と教えてくれた児童施設のシスター。甲もその日をとても大切に思っていて、同じ日に生まれた二人を心友のように感じていることが伝わる。
 家族の居ない寂しさから妹が居ると嘘をつき、明るい未来が必ず訪れると信じて疑わず、希望を抱いて生きてきた御手洗は、約束の30才が近付いて、願っても手の届かない夢があることを理解できただろうか。自分が中心でいられなくなることをちゃんと受け入れられたんだろうか。最後まで抵抗しているのが御手洗だから、その行方はやっぱり気になる。どのシーンから幻になっているのかと夢中で見るうち、いつの間にか映画の世界観に引き込まれているのである。