水曜日のダウンタウンの独特なフードファイターの起用法

フードファイター小林尊は、毎日氷を咀嚼するトレーニングで若くして入れ歯になり、顎関節症で引退するものの、「フードファイト」を余興から競技へと変えた人物である。

小林尊のことを知ったのは、「日本人メジャーリーガーは別に全米を騒がせていない」といった記事内だった。
野茂英雄、イチロー、日本人メジャーリーガーが全米を大騒ぎさせているように報道されるが、実際はアメリカでも野球はアメフト、バスケより知らない人も多いと。
今の大谷翔平はスーパースターだが、それ以前は
「知っている日本人を教えてくれ」
といったら、オノヨーコとホットドッグ早食いの小林尊だった時代があったらしい。

2022年6月1日「水曜日のダウンタウン」は、ネット都市伝説になった2メートルを超える巨漢女性「Kカズミ」を追う特集だった。

主にヤフー知恵袋で話題になっていたそうで、僕はヤフー知恵袋そのものを使ったことがないので初めて聞いたくせに、この手の不思議な話は食い入るように観ていた。

結果はこれから見る人もいるだろうから置いといて、この番組に、K.カズミの大食いエピソードを否定する立場として小林尊氏のツイートが取り上げられていた。

そういえば、水曜日のダウンタウンは、フードファイターをずっと出してる。

それも、アスリートやビックリ人間としてじゃなく、人間としてフードファイターを起用し続けて、ジャイアント白田が途中で食うのを諦めてタバコを吸うカットを挿入する。

食べ物のムダだとクレームが来る大食い企画にアレンジを加えて、行儀の悪いフードファイトという娯楽をコンプラの波にさらわれてたまるかと主張するように、たびたび大食い企画をやる。

ミスターSASUKEの人も、制覇を狙える年齢ではなくなり記憶から消えかけていたのにずっとこの番組だけが、「煮込み続ければまだ味が出るはず」と信じているかのように追い続け、その結果、当初の「理解できない人」から、不器用でどこかチャーミングな人に印象が変わっていった。

番組は終わったけど、アルコ&ピースの「勇者ああああ」が、一世風靡したフォークデュオ「19」の「326(ミツル)」をなぜか呼んでいたのにも似ている。
そういう、通った人は覚えてる、それ以外は絶対知らない人が出てきたとき、番組から
「この人知ってるでしょ? こんな不思議なサプライズいかが?」
とこっそりささやかれている気になる。

伊集院光は大食い番組の生き残り方として、スーパーで廃棄される直前のものを食べる企画なら、これだけの食べ物が捨てられている!と問題提起にもなるのではないかと言っていた。
水ダウでは、あえて食べ物を無駄にすることで、
「本当に問題にすべきことは直視せず、こういう時だけ正義感ぶってクレーム出すんでしょ、ほら来た」
と意地悪く笑っている気がする。

読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。