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「デス・ストランディング」20時間ぶっ続けプレイ中!(ネタバレなし)


他人のことを気にしてストレスに感じやすい体質だ。
オンラインゲームの中でもその傾向がある。オンゲーHSPとでも言うか。
世界の人と戦うことが楽しくないわけじゃないけど、
勝ってしまったら、「世界のどこかで、今、僕にイライラしている人」が生み出される。

知らない人と協力してコミュニケーションするのもいやだ。
これは、現実で電話が異常に嫌いなのと関係ある気がする。あれだけ市民権を得たモンハンに乗れない時点で、ぼくには最新ゲームは向いてないと思っていた。

では、ここに、「デス・ストランディング」というゲームがあります。じゃじゃーん!中盤あたりまでの感想を描くゾ。

どんなゲームかというと、崩壊したアメリカの配達人になって、荷物を運ぶゲームだ。
果てしない山道を、転ばないように一歩づつ歩いていく。渡れない場所や崖には、うまくハシゴやロープを使って道をつくる。

小島秀夫さんという、カリスマ的クリエイターが作った。
「メタルギア」シリーズで、敵に隠れて潜入する「ステルス」要素は、世界中でマネされて、もはやありふれた要素になっている。

その後ゲームのトレンドは「死にゲー」で、とにかく強い敵を倒して達成感を得るようなものになってきたけど、それもそろそろ「またこの系統か」って思われているような気もする。

その「次」が求められている中、カリスマクリエイターがどんな要素を入れてくるかと思ったら、
「デススト」は、観光地の行商の人みたいに荷物を背負ってテクテク転ばないように歩くゲームだった。

とぼとぼ転びそうになって歩いていくと、荒れた川や崖がある。
だけど、よく見まわすと他のプレイヤーが接地した橋がある。
直接、他のプレイヤーの姿は見えないけど、建築物や危険を知らせる看板はネットを介して見える。
ひとりだけど、誰かの存在を感じながら、広大な土地に荷物を届ける。
やがて、資材を運んで道路を作っていくことになる。

「メタルギア」が軍人になって国の争いに巻き込まれるストーリーだったけど、今作は肉体労働者になって、分断したアメリカをつなぎ直そう、って話になっている。地をはう者の目線だ。

荷物を奪いにくる「敵」のような集団と戦ったり、バッテリーのなくなった乗り物や、持ちきれなくなった荷物が転がっている。
旧世代の本、玩具、薬、資源。交流のない「誰か」の落とし物を背負って背中に積み、ルートと重量からやりくりして歩く。
自分は、ひとりじゃない。普段歩いている現実の道路も、たいへんな思いをして作った人がいる。
そこまでプレイを通して想像させる。

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主人公(ウォーキングデッドの人ね)は、疲れたら立ち止まる。横になる。シャワー。温泉。トイレ(しかも大小別)。
いろいろ休憩する手段がある。
労働者だからだ。
俺たち、労働者のゲームなんだ。
死が解明された世界で、向こう側からやってくる謎の敵などSF要素もあるが、楽しみの根本は、こつこつ荷物を運んで道を開拓する、人間の根っこの部分に訴えかけるものだ。

作った橋は「いいね」をしあうことができて、自分が誰かの役に立ったことが何となく伝わってくる。「よくないね」はできないので、人の善意しか見えないシステムだ。見えない交流で厳しい自然を探索する。

「ブレードランナー」をリアルタイムで観た世代は、毎日通る横丁が未来都市に見えて、少し気分が浮き立ったらしい。
「デス・ストランディング」をリアルタイムでやった自分は、日々の仕事を少し楽しく感じて、胸を張り、他人にねぎらいの声をかけようかと思っている。
強い音楽や映像は、現実にマジックをかけてくれる。

読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。