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【ゲーム日記】「ハイウォーター」に出てきたチャップリンの映画

いろんなゲームで権力者に「とおせんぼ」されてきた。
関所を越えたければゴールド持ってこいだの、門を開けてほしければ秘薬を持ってこいだの。

でも「ハイウォーター」というゲームで要求されたアイテムは、始めてのケース。

舞台は、温暖化による海面上昇で住めなくなってきた地球。
人は食料をめぐって争いつつ、それぞれの情報源であるラジオを頼りに生活している。
住人は争いはするものも、マッドマックスみたいな荒れかたではなく、ある程度の秩序がある。
この星で主人公たちは、富裕層だけが載れるとウワサの火星行きロケット搭乗を目指してあちこち冒険する。

ターン性での戦闘はあるけど、なんとなくみんなの会話がクールというか、「火星行っても苦労はするだろうし、不便だけどしょうがないから遊ぼうぜ」的に、諦めムードなのが今っぽい。

このゲームにも目的地への道中を塞ぐ権力者が出てくる。
その男が要求するアイテムが、チャップリンの「キッド」のオリジナルフィルムなのだ。

資料館に忍び込み、映画クイズに負けて戦闘の末に「キッド」のフィルムを入手する。背景にも観るひとが観れば一発でわかりそうな古い映像が流れている。

主人公たちは先へ進むけど、道をふさいでいた男は、海面上昇で先の見えない地球に残り、チャップリンの映画を観ながらとっておきの葉巻を吸う人生を選ぶ。
なんなら主人公よりかっこいい人に見える。

主人公が映画好きとか、いろんなパターンでゲームと映画はかかわってくるけど、キーアイテムとしてこんな使われ方したのは初めて見た。
単に著作権が切れたから選んだだけじゃなくて、チャップリンの「キッド」というチョイスは、それだけで単なるとおせんぼイベントを印象的にしていた。

ゲームのボリュームもこじんまりしているけど、3~4日で見て回れる、インディーズゲームっぽい適度なサイズ感。
出てこない場所や登場人物の過去未来は描かれなくて、大胆にプレイヤーの想像に任せてくれていて嬉しくなる。


読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。