うおォン、映画『プロメア』はまるで炎のようだ

もうじき6月とはいえ、異様な暑さに人々が滅入ったこの日。私は異常なまでの“熱さ”に身を焼かれた。今石洋之監督による映画『プロメア』は、まさしく炎そのものであり、2時間後、この身は綺麗さっぱり燃え尽きていた。


うわぁ、なんだかすごい制作陣だぞ

今石監督と言えば『天元突破グレンラガン』でその名を宇宙に轟かせた印象が強い方も多いのではないか。他の代表作と言えば『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』に『キルラキル』と、総じて強烈な個性が強く愛されている。

そして、今石監督とタッグを組む脚本家と言えば誰もがその名を思い浮かべるのが中島かずき氏。昨今では先述した『キルラキル』や『仮面ライダーフォーゼ』などを手掛けたことでも知られ、その王道かつ熱い展開に心惹かれた人も多いだろう。

そう、映画『プロメア』は監督:今石洋之、脚本:中島かずき、アニメーション制作:TRIGGERまさに『キルラキル』の布陣である。源流に遡れば『グレンラガン』の布陣であるとも言え、実際に両作のエッセンスを色濃く感じることができるだろう。

しかし今作の布陣、更にスゴいのはここからだ。
キャラクターデザインは『交響詩篇エウレカセブン』『HEROMAN』で活躍したコヤマシゲト氏、そして音楽は『機動戦士ガンダムUC』『進撃の巨人』を手掛けたあの澤野弘之氏である。そう、『キルラキル』なのである。


……制作陣がいかにすごいのかを語るのは本懐ではないので、とりあえず紹介はこのあたりで一旦区切る。ここからは、今回の主旨である映画『プロメア』のネタバレにならない感想を以って、それでも観るか悩んでいる人への後押しとしたい。

正直な話、これまでに挙げた制作陣を見て「観よう」と思った人には私から言うことは1つだけ。早く劇場に行ってほしい。あなたが期待するものはそこにある。


ネタバレ無し感想、そういうのもあるのか

さて、映画『プロメア』は、制作陣を見て「分かる人には分かる」感じの作品だ。スタジオジブリが作るジブリ作品、富野由悠季監督が作る富野節の効いたアニメ——。この人達ならばこうだ、という具合だ。

そして、今石洋之×中島かずきといえばそれは『王道の熱さ』と私は思う。それはともすればありきたりな脚本、ありがちな展開と謗られるかも知れないが、それは違う。王道は優れているからこその王道であり、王道“だからこそ”良いのだ。

それ故か、鑑賞中私は私の心の声(演:井之○五郎)を聴いた。

「ほー、いいじゃないか。こういうのでいいんだよ、こういうので」
「このワザとらしいキルラキル声優!」
「こういうの好きだな王道で、中島かずき脚本って男のコだよな」
「うおォン、この映画はまるで炎だ――」

そう、炎なのである(唐突)



『プロメア』はとにかく王道で、そして熱い。
今石×中島コンビの集大成であると叫ばれるのも納得がゆく。息をつかせる間もない怒涛の展開、メリハリの効いたテンポに、クライマックスは熱く熱く熱く熱くそして尚熱い

映像表現も感嘆するほかない。3DCGと手描きの見事な融合に、鮮やかで煌びやかな色彩が画面内を激しく踊る。間違いなく、国内最高峰のアニメ作品の1つと言えるだろう。作り手の熱が作品を通じて感じられる。

そして澤野弘之氏の音楽がまたたまらない。グっと盛り上がる部分で突き刺さる劇中曲は炎に対する酸素のようなもの、火の勢いは一気に加速する。そこにキャストの名演が重なれば、もう爆炎である。燃えるしかない


故にこの作品を、私はまさしく“炎”と形容したい。


この映画はまるで炎だ。

炎は私たちの前で燃え盛り、その熱と迫力で見るものを圧倒する。
今にも全てを焼き尽くさんと迫る炎に、誰もがゴクリと息を呑む。

恐る恐る手を出したが最後、私たちの身は炎に包まれ炎上する。
炎と一緒になって燃えるしかない、最早1つの炎に変貌してしまう。
熱い、熱い。喉は焼かれてカラカラで、身悶えることしかできない。
だがそれでいい、それがいい!

そして2時間にわたる人体発火現象はエンドロールと共に収束する。
後に残るのは、何もかもが燃え尽きたような、爽やかな心地だけだ。



そんな炎に、あなたも身体を焼かれてはみないか。
今石×中島コンビ作が初めてでもいい、制作陣も初めて見る人を意識している部分はあると言っているし、話も続き物ではない。

とにかく、熱い作品が好きならばぜひオススメしたい逸品だ。
『グレンラガン』『キルラキル』ファンは既に劇場に出かけているはず、『スクライド』や『トップをねらえ!』ファンも準備をした方がいい。
『スパイダーマン:スパイダーバース』ファンなら、それに比類する今作の抜きんでた映像表現は一見の価値ありだろう。

上記作品のファンでなくとも、少年マンガ的熱血アクションが好きならぜひ見て欲しい。逆に言うと、それらを暑苦しいと苦手に思う人には厳しいかも知れないので、そこは気を付けてもらいたい。

最後に、愛すべき火消し達の活躍は、やはりこの機会に劇場で目の当たりにしてほしい。記事を書いている間に日が変わったが、本日5/24(金)より全国の劇場で公開中だ。劇場で燃え上がれるのは今しかない、燃えろ!

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG






※『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』の公式サイト、何故か葉酸の紹介ページになってました。

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