【演劇】『LGBT、治します。』(7/16)

シーン7 3人、ハルカと話して

ハルカはなにかの参考書を読みながら歩いている。スカートを履き、リボンを付け、ヘアピンをつけている。

カナタ: ハルカー!
シュンスケ: やめたほうがいいって。
アカリ: そうですよ。

ハルカは、その声がしたほうを一瞬見て、慌てて参考書に目を戻す。
カナタが舞台に入る。

カナタ: ハールカ。

カナタ、ハルカの前に行くが、ハルカは参考書に夢中のふりをして避ける。
カナタ、再びジャマになる位置へ。

カナタ: ハルカ。

ハルカ、再び避ける。

カナタ: ねえ、ハルカってば~。なんで無視してんのー? ねえ。

カナタ、ハルカの前に立って両肩をもつ。
ハルカ、辺りを慌てて見回してから、カナタの腕をひっぱり、隅の方に連れて行く。

カナタ: うおー、なになになに。
ハルカ: 何の用?
カナタ: いや、ハルカ元気かなあ、どうしたのかなあ、って思って。

シュンスケとアカリ、カナタたちに追いつく。

シュンスケ: ごめん。アカリ: 突然ハルカさんに会いに行くって言い出して、カナタさんが……。

ハルカは、辺りをキョロキョロしている。

カナタ: ズボンとネクタイどうしたの?
ハルカ: なくした。
カナタ: え! どうすんの? スカートとか大嫌いじゃん。
ハルカ: あのさ、三人とさ、接点ないでしょ、私。
カナタ: いや、あるじゃん。 
ハルカ: そういうことじゃなくて。あのさ、わかるでしょ? カナタたちと私は何つながりなのって聞かれたらめんどいじゃん。
カナタ: あれ? ハルカ自分のこと「私」って言ってたっけ? 「自分」じゃなかった?
ハルカ: どうでもいいじゃんそんなの。
カナタ: えー、変なの。
ハルカ: 用はそれだけ?
カナタ: いや、どうして来なくなったのかなって。いつもんところに。
ハルカ: 勉強大変で忙しいの。
カナタ: うそだー。だってこの前イケメンとフードコートでおしゃべりしてたじゃん。僕見たよ。
ハルカ: きも、なんで見てんの!
カナタ: ほらー! 忙しくないじゃん。あとさ、なんでそんな……普通にしてんの?
ハルカ: (ため息)もうさ、いいじゃん。

ハルカ、カナタを振り切って行こうとする。

カナタ: もう来てくれないってこと?

ハルカ、振り返って言う。

ハルカ: 私、もう卒業したの。ああいうの。
カナタ: ああいうのって何?
ハルカ: 傷の舐め合いみたいなこと。
カナタ: なにそれ。
ハルカ: いつまでもうじうじこの4人でさ、オカマって言われたくないとか、外で手繋げないねとか言ってんの?
カナタ: だって他でそういう話できないじゃん!
ハルカ: そんなのさ、我慢すればいいんだよ。
カナタ: なんで?
ハルカ: だってみんな我慢してんじゃん。ゲイだから辛いこともあるかもしれないけど、そんなの普通の人だって辛いことあるし。
カナタ: じゃあさ、ハルカはそんなに普通になりたいってこと?
ハルカ: そうだよ。当たり前じゃん。カナタだってなりたいでしょ?
カナタ: 別に。
ハルカ: ふーん。そう。人来たから、もう行くわ。

ハルカ、走って出ていく。

カナタ: なんなんだろ、ハルカ。
シュンスケ: まあ、本人が行きたくないって言ってるんだったら仕方ないでしょ。ほら、戻ろう。
カナタ: 僕は、4人揃ってるのがいいのに。
アカリ: 何か、私達が嫌なことでもしたんでしょうか……。
カナタ: えー。そんなことある??

三人、退場。

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