【演劇】『LGBT、治します。』(6/16)

シーン6 3人、ハルカをめぐって

いつもの空き教室にて。カナタ・シュンスケ・アカリはすでに集まっている。
カナタは、シュンスケに教えられながら問題集を解いている。
アカリは『それでいい。自分を認めてラクになる対人関係入門』という本を読んでいる。

カナタ: え、なんでそーなるの?
シュンスケ: ここはこうじゃん? っていうことはこうなって、解けるじゃん。
カナタ: え、でもこの条件だとこうなってるよ?
シュンスケ: いや、でもそれ定義域の外だから。ほら。
カナタ: はぁー?(立ち上がって)つまんなーい!(シュンスケの髪をぼさぼさにしながら)アカリ何読んでんのー? ってまだ読んでんのそれ。
アカリ: はい。
カナタ: なにー、何か辛いことでもあったの?
アカリ: いや、ちょっと……。
カナタ: 言えないこと?
アカリ: 少し。
カナタ: え、もしかしてアカリとハルカ、復縁しちゃったとか!?
シュンスケ: カナタ。
カナタ: え、あ、ごめん。
アカリ: 別に大丈夫です。全然ちがいますけど。
カナタ: あー、でも懐かしい! ハルカとアカリが付き合ってすぐ別れちゃったの。あれいつだっけ。
シュンスケ: まだほじくり返すの?
カナタ: だってあれも青春ーって感じがしたじゃん?
シュンスケ: なんでも青春じゃん。
カナタ: そうだよ。青春だよ。
アカリ: あれは黒歴史なので。
カナタ: そうなの?
アカリ: いや、まあそうでもないですけど……。
シュンスケ: あれっていつだったっけ?
カナタ: ちょうど一年前くらい?
アカリ: 夏休みですね。夏休み始まって付き合って、夏休み終わりくらいに別れました。
カナタ: あー! あれはウケた!(笑)
アカリ: まあ、あれはあれで良かったんじゃないかって思いますけどね。
シュンスケ: 自分がトランスって気づけたもんね、ハルカが。
アカリ: (うなずく)
カナタ: ってかさー、ハルカ最近来てなくねー?
シュンスケ: 忙しいんでしょ、勉強で。
カナタ: えー、でもー、ってかそういえばハルカ見た!?
シュンスケ: いや、見てない。
カナタ: こないだハルカのクラス覗いたらさ、知らない女子がいるーって思ってよく見てみたらハルカだったんだよね。
シュンスケ: いや知ってるじゃん。
カナタ: いやそうじゃなくてー、スカートも履いてたしリボンもつけてたし、しかもヘアピンもつけてたの! 僕がクリスマスにあげたヘアピン!
アカリ: あのピンクのですか?
カナタ: そう! だから最初、あれ? ハルカの双子? って思ったんだけど、やっぱりどう見てもハルカだった。
シュンスケ: へー。どうしたんだろ。
カナタ: これはみんなで密着取材するしか!(スマホをマイクのようにして)「ハルカさん、どうしてそんな格好してるんですか?」
シュンスケ: やめときな。
カナタ: じゃ、ハルカ探してくる~。

カナタ、出ていく。

シュンスケ: カナタ。カナタ!
アカリ: 追いかけたほうが、いいですかね?
シュンスケ: うーん……。

シュンスケ、出ていく。
アカリ、読んでいた本を置いて、そのあとをついていく。

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