【エッセイ】雨と図書館
April 24, 2024
蠍座満月 雨
iPhoneのお天気アプリは断続的に雨を降らせている。
(うちの両親はこのアニメーションを実際のライブ映像だと思い込んでいて、私が他県に住んでいたとき、私の住む地域の天気を見て「今は月が出てるんだね」とか「すごい雨だね」とか気にしていたらしい)
今日は休みなので、ダラダラしたい気持ちもあるけれど、借りていたホメオパシー関連の本を図書館へ返しに行かなくちゃいけない。
期限は数日過ぎていた。
肌寒い。
トレンチコートとエーグルの長靴。
傘を手に向かう。
神社を抜ける道を通る。
雷神を祀る神社。
ご挨拶は帰りにしよう。
梅林はしっとりと緑を鮮やかにしている。
雨粒を纏う翡翠いろのまだ小さな実が黒々とした枝から滴り落ちる宝石みたい。
雨の図書館はそこそこ混んでいる。
ギャラリー展示室で移動博物館をやっていた。
蝶や昆虫の標本、鳥や獣の剥製、鉱物、種子など、少しずつだが、多様な展示物が並べられている。
モルフォ蝶を初めて見た。
レテノールモルフォ。
世界で一番美しい蝶といわれているらしい。
世の中に見えているほとんどのものは、そういう風に見えている、というだけなのかもしれない。
3冊借りて表へ出ると、雨が強まっていた。
芝生の広場で遊んでいた子供たちが、迎えにきた母親と館内へと入って行った。
1人残された女の子が
「このボールどうしよう…」とつぶやいて、傘もささずに
雨の中へ歩いて行く。
しばらくすると、雨足は弱まった。
借りた本
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