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【無料】基礎から分かる水産用語<194> しけとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


しけとは

 強風のため海上が荒れること。気象庁の公式ホームページによると、波の高さが4メートルを超え6メートルまでを「しける」、6メートルを超え9メートルまでを「大しけ」、9メートルを超える場合は「猛烈にしける」と定める。対になる言葉として、海面に風波が少なく穏やかな状態を指す「凪(なぎ)」がある。なお、台風や低気圧などにより、しけの直前に漁獲量が増える魚を「時化(しけ)魚」と呼ぶ。

 しけが起きると漁船が操業できず、水揚量や浜値、市場への入荷量、卸値などに影響が出る。東京・豊洲市場の卸筋は「特定の地域でしか獲れない魚はしけが起きると単価が高くなる」と説明。しけで市場への入荷がない場合は出荷者に対して入荷する日程を変更する他、「生鮮物の代わりに冷凍物に切り替えるケースもある」と話す。

 反対に凪が続く場合は水揚げが多くなり、卸値が安くなる傾向がある。そのため「入荷量が多い時と少ない時の需給バランスが重要になる」(卸筋)と説明する。

 なお、千葉県漁業協同組合連合会によると、しけに伴う出航基準は漁船の大きさや漁法、漁業者の自己判断などで異なるため明確な決まりはないという。その上で、「前日までに天気予報を確認し操業を決める場合が大半。ただ、一部の漁業者は長年の経験に基づいて判断するケースもある」と説明する。

みなと新聞本紙2024年3月19日付の記事を掲載