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【無料】基礎から分かる水産用語<183> ワムシとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


ワムシとは

 世界中に広く分布する主に淡水性の動物プランクトンの一種。うち、シオミズツボワムシは種苗生産の初期餌料として使われる。水産総合研究センター(現水産教育・研究機構)のホームページ(HP)によると、ワムシの種類は約2000種類に及ぶ。また、ワムシの寿命は7~14日間で、その間に20個前後の卵を産む。

 ワムシのうち種苗生産の初期餌料として、形態的に異なる「S型ワムシ」と「L型ワムシ」が用いられている。大きさはS型ワムシが80~220マイクロメートル程度、L型ワムシが130~340マイクロメートル程度。千葉県のHPによると、ワムシは雌だけの単性生殖によって急激に増殖する他、雄の出現で始まる両性生殖により耐久性に優れた休眠卵がつくられるという。その上で「海産魚の大量種苗生産にはワムシの安定した供給が重要」としている。

 水産総合研究センターのHPでは、ワムシが海産魚の種苗生産に用いられる理由として、大きさが0・1~0・3ミリで運動性があること▽大量培養ができること▽培養用飼料によって栄養価の改善ができること▽消化能力の低い仔魚でも消化吸収ができること-と説明する。

 その上で「世界をリードする日本の海産魚の種苗生産技術には、小さな動物プランクトンが大きく貢献した」とする。

みなと新聞本紙2024年2月6日付の記事を掲載