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【無料】基礎から分かる水産用語<188> ネットとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


ネットとは

 商品の品質を保つため使われる梱包(こんぽう)や氷の重さを除いた、現物そのものの重量。総重量を意味する「グロス」と対になる考え方で、この重量に基づき、設定される金額をネット価格・グロス価格と表す。複数の卸売市場や加工メーカー関係者によると、業界全般で広く使われる用語というよりはカニやホタテガイ、エビなど特定の商材を取り扱う場面で使われることが多い。

 青森市中央卸売市場の卸関係者によると、慣習で使われている側面が大きく「取引先によっては使わない」と使用場面は流動的という。ただ、ボイルの陸奥湾産ベビーホタテは「主流の規格である1キロのうち、現物が800グラム、氷が200グラムを占める」という意味合いから「ネット800グラムでいくら」と一つの単位のように使われるケースも多く「ホタテなどの品目に携わる人は覚えておくべき言葉だろう」と指摘する。

 特定の品目以外ではほとんど使われることがないため、卸売市場や水産加工メーカー関係者からは「これまで業務では使ったことがない」との回答が大勢。冷凍加工食品を取り扱う、ある加工メーカー関係者は「当社は取引する際、蔵前価格を用いる」と話す。特定の商材を取り扱う事業者の中にも「明確な定義がないため、あまり頻繁には使っていない」と話す人もいる。

みなと新聞本紙2024年2月27日付の記事を掲載