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【無料】基礎から分かる水産用語<137> GIとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


GIとは

 ジオグラフィカル・インディケーション(=地理的表示)の略称。日本をはじめ各国に地域の特徴的な産品の名称を知的財産として保護するGI保護制度がある。水産品は「みやぎサーモン」や「越前がに」「下関ふく」などが登録済みだ。

 GI保護制度に登録すると、産品の品質や評判、物語などの強みや魅力が分かりやすくなる。効果的・効率的なアピールや取引での説明などに役立つ。不正使用を行政が取り締まるため、訴訟のコストをかけず、模造品を排除できる。日本は欧州連合(EU)や英国と経済連携協定(EPA)に基づき、相互にGI登録品を保護する。

 名称を保護する産品「特定農林水産物等」は特定の場所や地域などを生産地とする。その上で、生産地特有の条件が産品の「品質、社会的評価その他の確立した特性」と結びつく必要がある。特性を判断する際は客観性や生産実績も検討する対象になる。

 生産地特有の条件には気候や地形といった「自然的要因」や史実や製法といった「人的要因」がある。2023年7月20日に登録された「長崎からすみ」は登録簿によると、1673~81年に現在の長崎市の魚屋が製造方法を発明した。長崎奉行の目に留まり1712年に将軍徳川家宣に献上して以来は、大政奉還まで将軍家への献上を続けてきた。

みなと新聞本紙2023年8月4日付の記事を掲載