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【無料】基礎から分かる水産用語<168> 赤潮とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


赤潮とは

 珪藻類や渦鞭毛藻類、ミドリムシなど植物性プランクトンが異常繁殖して、海水が変色する現象。プランクトンの種類で異なるが、主に赤褐色や茶褐色に変わる。これらプランクトンが一斉に呼吸したり、死後に海底に堆積・分解されたりすると、海水中の酸素を大量に消費するため、周辺にいる魚介類が呼吸できなくなり、へい死する。

 赤潮の発生は水温や日射、栄養塩との関係が密接。窒素・リンの増加に伴う富栄養化、陸水や降雨による塩分低下などが原因として考えられているが、完全な解明には至っていない。内湾や内海で起こりやすい。

 赤潮発生を防ぐには、人工構造物を海底に沈設して沿岸生態系を豊かにすることも有効な手段である。珪藻類を食べる小動物などを蝟集(いしゅう)させる「誘導礁」や「魚礁」、光合成で炭素の吸収と固定化を繰り返す藻類を増殖させる「藻礁」の設置が全国各地で進む。

 長崎県では2023年夏、赤潮で100万尾以上の養殖魚がへい死する被害が発生。県は被害を受けた養殖業者が代替魚を購入する際に必要な費用を補助する事業や、事業継続に必要な借り入れに係る利子・保証料の負担を軽減する事業の拡充などを行った。浜と行政が緊密に連携し、赤潮発生の予知や予防、防除技術の開発・実用化に取り組むことが求められる。

みなと新聞本紙2023年12月1日付の記事を掲載