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【無料】基礎から分かる水産用語<28> 底引網漁業とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

底引網漁業とは

 漁船から伸ばしたワイヤなどの引網に連結した漁網をえい航し、魚を獲る漁法。このうち代表的な漁法として、沖合底引網漁、以西底引網漁、遠洋底引網漁、小型機船底引網漁などがある。

 底引網漁業のうち、大臣許可は沖合底引網(総トン数15トン以上)、以西底引網(同)、遠洋底引網(同)。総トン数15トン未満の小型底引網は、知事許可のうち特に調整が必要な「法定知事許可漁業」に指定されている。「2そう引き」「1そう引き(トロール)」「1そう引き(かけまわし)」の3つの操業形態に分類され、魚漁種類により操業する隻数や使用する漁具などが異なる。

 底引網漁は都道府県により異なる魚種が豊富に漁獲されることが特徴。全国底曳網漁業連合会(全底連)によると、北海道や三陸周辺ではスケソウダラやマダラ、日本海北部ではハタハタ、北陸や山陰ではズワイガニやホタルイカ、アマエビ(ホッコクアカエビ)などが漁獲される。各地の基幹産業として発展し、食文化などを育んできた。漁業者による自主的な資源管理の取り組みも行われている。

 大臣許可の底引網漁業のうち、中核を担うのは沖合底引網漁業。水産庁によると、2021年1月時点の隻数は266隻となっている。21年の漁獲量は約23万8000トンで、海面漁業全体の約8%を占めた。

みなと新聞本紙2022年6月24日付の記事を掲載