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【無料】基礎から分かる水産用語<59> 商業捕鯨とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

商業捕鯨とは

 営利を目的した捕鯨。鯨肉や鯨油などが商業利用され食品、製品として流通する。日本は2019年、31年ぶりに商業捕鯨を再開した。一方、鯨の生態や資源量などを科学的に調査することを目的とした捕鯨を調査捕鯨という。

 資源減少などで世界的に捕鯨規制の機運が高まる中、国際捕鯨委員会(IWC)は1982年に商業捕鯨の一時停止を採択。日本も88年に商業捕鯨を停止した。以降、IWCの管理下で調査捕鯨を行い、調査の副産物として得た鯨肉を流通させてきた。しかし、長年の反捕鯨国との対立を解消できず、商業捕鯨の実現は困難として2019年にIWCを脱退。商業捕鯨を再開した。一方、ノルウェーとアイスランドはIWCに加盟しながら商業捕鯨を行っている。

 操業は日本の領海か排他的経済水域(EEZ)で行い、捕獲の上限は国が決める。沖合操業は山口県下関市、沿岸操業は北海道釧路市などを基地と位置付けて再スタートを切った。ニタリ、ミンク、イワシの3鯨種を捕獲している。

 再開から3年が経過したが課題は山積み。国内の21年の鯨肉消費量は約2500トンと最盛期の1962年度の約23万トンに比べて大幅に少ない水準だ。供給量も再開前より少なく、関係団体は鯨種や捕獲枠の拡大などを国に要望している。消費拡大や単価回復、流通増加に向けた模索が続く。

みなと新聞本紙2022年10月18日付の記事を掲載