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【無料】基礎から分かる水産用語<199> 半成貝とは

みなと新聞で毎週火曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


半成貝とは

 養殖ホタテガイの生産において、採苗してから1年半ほどで出荷されるもの。国内の主要産地は青森県陸奥湾で、同湾で生産されるホタテ総生産量のうち、7~8割を占める。小売店では“ベビーホタテ”の名称で流通することが多い。流通形態は冷凍ボイル製品主体で、同湾周辺は加工業者が多く立地する。

 同湾のホタテ養殖はラーバと呼ばれる幼生を採捕して稚貝に成育、約2~3年かけて成貝まで育て上げる。出荷は採苗から2年目のタイミングでスタート。2年目の7月までに出荷されるものが半成貝に当たる。水揚げ期間は4~7月で、青森県漁連(青森市)主催の入札を通じ、加工業者が買い付けた後、市場や商社に流通する。

 半成貝のサイズは直径6~8センチほどと成貝よりひと回り小さく料理に使いやすいのが特徴。同湾産ホタテの消費振興に取り組む青森県ほたて流通振興協会(同市)はウェブサイト上でベビーホタテを活用したレシピ動画を紹介している。

 半成貝は育て方の特性上、次世代の幼生を生み出す成貝(親貝)を意識的に生産する努力が欠かせない。同湾は慢性的に親貝が不足する中、近年平均水温の高まりで稚貝のへい死率が上昇。親貝の不足が加速し、生産量減少が課題になっていることから、県漁連などが親貝の積極的な確保を呼び掛けている。

みなと新聞本紙2024年4月9日付の記事を掲載