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【無料】基礎から分かる水産用語<12> 中央卸売市場とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

中央卸売市場とは

 卸売市場のうち、一定以上の面積(生鮮水産物は1万平方メートル以上)を持ち、国が認定する市場を指す。現在は開設者に制限はなく、民間事業者でも開設できる。農林水産省によると、中央卸売市場は全国に40都市65市場(2021年4月時点)あり、そのうち水産物を扱うのは29都市34市場となっている。

 中央卸売市場では卸売業者や仲卸業者に対し、「売買取引の方法の設定」や「差別的取扱いの禁止」の他、地方市場とは異なり「受託拒否の禁止」が共通ルールとして設けられている。また、市場ごとに「第三者販売の原則禁止」や「商物一致の原則」「直荷引きの原則禁止」について、条例や規則で取引ルールを定める必要がある。

 20年に施行した改正卸売市場法では、卸売市場に一律の基準を設けなくなったため、開設者に市場の位置付けなど独自性が求められる。農林水産省食品流通課卸売市場室によると、水産では法改正以降で地方から中央、中央から地方に転換した例は19日時点ではない。

 国の監査対象は開設者のみで、卸は事業報告書を開設者に提出する。国は開設者の報告を通じて卸の経営状況を把握。運営に支障がある場合は開設者を指導する。同省は「中央市場は公正な価格形成の場であり、食の安定供給という機能を担っている。基幹的な役割を期待している」と話す。

みなと新聞本紙2022年4月22日付の記事を掲載