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年末年始、実家の家族や親戚とストレスなく過ごす方法

元ハーバード大学の教授でアメリカの思想家/ スピリチュアルリーダーのラムダス師が生前にこんなことを言っていたそうです。
Think you are enlightened, go spend a week with your family.
「自分は悟りを開いた人間だと思っているなら、家族と1週間過ごしてみることだ」

私は母に会う時にいつもこの言葉を思い出します。ラムダスのこの言葉は、どんなに精神的な修行を重ねた人でも、実家に1週間も帰れば昔と同じように感情的になるだろうという意味に捉えています。

マインドフルネスの練習を始めて8年半。学びが進み、気づきの力も育まれ、ストレスフルな状況や苦手な人への反射的な反応をコントロールできるようになりました。しかし、母と長い時間を過ごすとつい感情的になってしまう自分がいて、そんな時、いつもこの言葉が頭によぎりました。

年を取って忘れっぽくなったり、不平不満が多くなった母。もっと優しく接しようとしても、反射的に「何度も言ってるでしょう」とか、「どうして、文句ばかり言ってるの?」と母を責めてしまう私。何で母の話にきちんと耳を傾けて、まずは受け止めてあげれないのだろう、何のための瞑想なのかと、母と別れて自宅に戻ると自己嫌悪に陥るというパターンを繰り返していました。

しかし、母も高齢で一緒に過ごせる時間も限られているということをここ半年で強く自覚し、これから紹介するいくつかのプラクティスを実践するようになったことで、随分と自分の態度が変わってきました。


意識的に呼吸をする

ネガティブな感情に気づいた時は、いつでも意識的な呼吸に帰ることができることを覚えておくために、顔を合わせる直前に意識的に呼吸をしてみます。自分がまた感情的になってしまうのではないかという不安な気持ちを和らげる効果も。

他者とよりよい関係を築く瞑想をする

前にこちらで紹介したgoogleのサーチインサイドユアセルフのプログラムで採用されている瞑想を実践します。他者の部分を母にして心の中で以下のように唱えています。

1. まずは目を閉じてリラックスします。
2. 最初の呼吸で心を落ち着かせます。心の中で「息を吸って、息を吐いて」と言いながら呼吸してください。
3. 2つ目の吸う息と吐く息の呼吸で、母を思い浮かべながら、「私と同じように母も幸せになりたいと思っている」という、相手(母)との共通点を言葉にして心の中で唱えます。
4. 3つ目の呼吸で「母が幸せになりますように」と相手対する優しさの気持ちを言葉にして心の中で唱えます。
5. 以上を自分が好きなだけ繰り返します。

相手の話をマインドフルに聞く

思い込みや偏見を捨てて、まずは相手の話をよく聞きます。「マインドフルリスニング」と呼ばれ、マインドフルネスの練習の一つでもあります。離れて暮らしている時間が長いほど、価値観の相違が生まれ、一緒に暮らしていた頃のようには真意を読み取れないことも多いかと思います。自分の意識をしっかりと相手に向けることによって、相手の気持ちや望んでいることなどを理解できるようになります。これをするとお互いに感情的になることがほとんどなくなります。

寝顔を見つめる

前に別の記事で紹介した、マインドフルネスの教えを世界に広めたベトナム出身の僧侶、ティック・ナット・ハン師の愛に関する教えを編纂した本『愛する』(愛を育むレッスン)に、以下のような文節があります。

「愛する人の寝顔を見つめていると、その人の幼さ、辛さ、希望、悲しみが見えてきます。15分でも30分でも、ただそこに座って、愛する人の寝顔を見つめてください。理解と慈悲があなたの心に生まれ、愛する人のためにあなた自身が何をしてあげれるのか、はっきりとしてくるでしょう」

実家や一緒に旅行に行った時に、母の寝顔を見つめていたら、産んで育ててもらったことに改めて感謝の気持ちがわき、一緒に居られる限られた時間を大切しようと心に誓いました。

自分を責めない

前述したように、以前は何で母の話にきちんと耳を傾けて、まずは受け止めてあげれないのだろう、私はダメな人間だと自分を責めてしまうことが少なくありませんでした。自分を責めることになるのが嫌で、母に会うことを回避していた時期も。しかし、セルフコンパッション = 「困難に直面した時、自分自身の肯定的、否定的側面の両方を優しく理解し受け入れ、その苦しみが人類共通していることを認識し、感情のバランスを取れる特性」を持って自分に接すると、すぐに気持ちを切り替えることができるようになりました。

悟りを開いたラムダス師でさえ、1週間も家族と一緒にいることができないのだから、これは多くの人に共通の悩みなんだ! と自分を納得させています(笑)。


最後に、母に会いに行かなければならないというプレッシャーを自分に与えないようにしています。弟からもっと頻繁に実家に行くようにと言われるのですが、それを義務として行うと辛くなります。空いている時間を見つけて、1、2時間くらいの短い時間で滞在するようにしたら、不思議なことにこれまで以上の頻度で会いに行くようになりました。無理をしないのが大事ですね。

同じような悩みを抱えている方の参考になることを願っています。

みなさま、良いお年を。