酔おてて覚えてへんVol.4

18日発売。河内音頭取り、山中一平師匠6年ぶりの新作『雷電』。いちばけいさんからいただきました。

30分超えの「河内音頭雷電」今まで聞いたことない発声・節回しのオンパレードで全く長く感じない。ポピュラーミュージックとしての河内音頭。またいちばけいさんの重厚なライナーノーツが凄い。曲解説と共に今の河内音頭の現状、勉強になる。

22歳まで過ごした大阪。河内音頭に触れた記憶はほとんどない。テレビに出ている河内家菊水丸くらい。イヤコラセ~ドッコイセ。同んなじように手締めに”大阪締め”があるのも知ったのはハタチ超えてからやった。

おなじみ3本締め:パパパン パパパン パパパンパン×3

大阪締め:(うーちまひょ)パンパン

     (もひとつせっ)パンパン

     (いおうてさんど)パパン パン

と掛け声が入る。

最初に知ったのは多分2013年に月亭文都さんの襲名披露で繁昌亭行ったとき、中入り後の口上。ずらっと並んだみなさまの最後に司会してはった桂春之輔(現四代目春団治)さんが「お手を拝借」言いはったもんやから自分も両手を胸の前に持っていったのですが、掛け声で「うーちまひょっ!」っていいはった。なんじゃこれ。

パンパン

(なんじゃこれ)

パンパン

(パンパンってやればええのんか)

パパンパン

(パパンパン!!??)

とキョドって終了したのです。締めれず。

話が逸れました、河内音頭。

大阪市でも淀川超えた北の方出身、昔で言えば摂津国ですな。河内ではおまへんもんで、河内音頭に触れる機会は少ない。

そんな薄ぼんやりした河内音頭の初体験が春一番で見た山中一平師匠なのでした。

あと2013年6月29日には大阪宗右衛門町にかつてあったニュー楽々堂で見てる。

AZUMI meets 山中一平名義で「河内音頭あべのぼる一代記 不常識」を出しはったときのレコ発。

その時のライヴレポを当時のTumblrに書いたのでした。

それをいちばさんが見つけてくれはってブログに乗せてくれたんです。当時22歳なったばっか上京までラスト1年。うれしかった。

http://blog.livedoor.jp/ondotec_555/archives/52029345.html

松井文さんも出てた気がする。この時やっけな1stアルバム『あこがれ』を物販から一枚とって「聴いて、書いて!」って渡してくれた。嬉しかった。

ほいで書いた。2014年に発刊しました「現在関西音楽帖」で書いたディスクレビュー。以下に転載しておきます。4年前の文章。

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 文と書いて「あや」と読む。24歳の女性シンガーソングライター。2008年の閃光ライオットに横浜代表PiggyHedgehogのフロントマンとして出場も果たしたが翌年解散、野外イベント祝春一番にスタッフとして参加し、10年より大阪に移住。その後出演も果たしている。春一番界隈のおっちゃんたちに可愛がられながらライブハウス、バー、呑み屋で弾き語ってきた。
 本作はAZUMI(G,Vo)をプロデューサーに、バックもベーカー土居(Dr:exソー・バット・レビュー)や伊藤せい子(Cho:夕凪)ら大阪名うてのミュージシャ
ン、またベン・ハーパーとの共演盤で知られているトム・フロインド(G)も1曲ゲスト参加している豪華な1stアルバム。シンプルなメロディに乗る声は中性的と言ってしまえばそれまでだが、時に二階堂和美のような底抜けに純真無
垢な幼児性、時に森田童子のような影のある思春期の少女性、時に浅川マキのようなたばこの似合う大人の女性と曲によって全く違って聴こえてくる。またどの一面でもそれがちょっと不器用に響くから堪らなく愛しい。
 2013年8月より“大阪留学終了”として拠点を東京に移している。3年半の大阪生活だったが他のミュージシャンにはなかなか見えない粋なナニワの心意気(ソウル)をレジェンドたちから直接受け継いでいる貴重な逸材である。
(峯大貴)
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なかなか拙い文章やおまへんか。

またそこから3年経って去年リリースの文さんの『顔』のレビューをOTOTOYで書いた。そういうのもおもろいね。

「街から街へと旅する現代の流れ者たちのための歌──SSW・松井文、5年ぶりとなるアルバムをリリース」

https://ototoy.jp/feature/2017042601

あ、文さんの話してもた。河内音頭。

なので河内音頭を身近に感じるようになったのは東京来てから。いちばけいさんがやっているイヤコラセ東京の活動が大きいです。

https://www.iyakorase.com/

山中一平師匠とお2人で東京で河内音頭教室もやられている、また毎年の錦糸町河内音頭の総本山で普及に努められている。

大阪のように南の方でやっている菊水丸さんのやつという無意識的で当たり前にある存在よりも、東京で河内音頭やりますって情報がTwitterで流れてくる方が反応してまうというのはなんかある気がしますな。こっちにおると関西人の結束は強くなるし。だから大阪よりも反響は大きいんかもね。

大阪で河内音頭は定例やけど、東京で河内音頭は物産展化する。

おーそれでいうと東京で大阪のこの音楽熱いねんでっていうのは、おもろいかもしれへん。エッジィが効いているように見えるかもしれへん。

弊社のエグゼクティブマネジャーかなんか知らへんけど、執行役がこの前演説してはって兵庫県出身やのに「関西の人って関西が絶対一番っていうでしょ?あれが嫌で」って言いやって、あぁこんなんがほんまに魂捨ててるってやつなんやなってむっちゃ腹立った。関西の文化を、アイデンティティを東京にぶつけたらええのに。のこのここっちおったら東京の思うつぼやで。自分も東京来て丸4年で棚上げしてると思われるかもしれへんけどやっぱちゃうかな。

…ということで2013年6月29日(土)AZUMI meets 山中一平 NEW ALBUM 河内音頭あべのぼる一代記 不常識 発売記念ライブ ライブレポートをここに復刻しておきます。

あーとりとめなく、22の自分に頼る駄日記。22の自分はこんな呑んでなかった。焼酎の美味しさなんか知らへんかった。知らん方がよかったこともある、知ってよかったこともある、それでええんちゃうかな。

それではどうぞ。

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 前回のライブレポEspeciaの一日前6月29日(土)は宗右衛門町にあるMusic Bar NEW楽楽堂で行われた「AZUMI meets 山中一平 NEW ALBUM 河内音頭あべのぼる一代記 不常識 発売記念ライブ」に行って来ました。関西が誇るイタコブルースシンガーAZUMIさんと河内音頭の音頭取り山中一平さんが組み、あべのぼるをトリビュートしたアルバムのレコ発。お二人の共演は今年の春一番でも見ておりますがその模様については「春一番で見た美しい風景③~供養編~」をご覧ください。春一番で見たステージ、また後からアルバムを聴いた時の衝撃は今年ダントツ一番であり、周りの友達と音楽談義をするともれなくその場でyoutube検索をさせ、「アルバム貸す!いや買え!聴かぬなら関西から出て行け!(そこまでは口に出して言ってないです)」と脅迫するほどに感動したのです。

 という訳でライブも参加いたしました。楽楽堂に着くとそこは大人の雰囲気、もちろんバーですから。福岡風太さん始め春一番でお見かけした方もたくさんおらはりました。初めに登場したのは風太さん曰く、「何のために家賃払ってんのかわかれへん。」というほど全国行脚でライブをしておりようやく大阪に帰って来たAZUMI。アルバムにも収録されている「踊る踊り子」からスタートし、鈴木常吉(セメントミキサーズとして7代目イカ天キングにもなっている)の「アカヒゲ」、春一番でもおなじみの光玄の「6月25日」のカバーを含む5曲を披露。ギター一本での演奏だがAZUMIのステージは「歌う」というよりも「曲に導かれる」という方が適切な表現だろう。曲がAZUMIに乗り移り正にイタコ状態で放たれる曲はその日によって表情を変える。それは類稀なるブルースギターテクを持つからこそなせる技なのだが、この日の「踊る踊り子」はやけに情念の籠ったレクイエムのように聴こえ、「6月25日」は曲前のMCでアコギの弦を切ったこともありエレキで披露、いつもよりタメの効いたブルースフレーズが炸裂していた。AZUMIパートのラストは山中一平を呼びアルバムにも収録されている「今日を生きよう」。音頭ではない曲を歌うのは久しぶりだという一平さんだが音頭で培われたヴィブラートの効いた独特の発声と声質は「くよくよしても仕方ないさ」という直球すぎるとも言えるOnce Againの歌詞もとてつもない説得力を持って胸に響いてくる。

 続いてステージに登場したのは松井文(あや)。横浜出身、現在大阪在住24才のシンガーソングライター。春一番には以前はスタッフ、今年はアーティストとして関わっており今年初めて演奏を見た。と思っていたのだが実は2008年の閃光ライオットにPiggy HedgehogのVo,Gtとして出演しており、ここには私の高校の軽音楽部の先輩little beansも出演している。当時先輩が高校3年生、私が高校2年生でまだ在学中であったことから特別記憶に残っているイベントであった。その関係で所有していたコンピレーションアルバムを先日聴いていたところ「ん?なんかこの声聴いたことが…?いやでもこんな声日本に一人しかいねぇだろ」となり点が線となったのである。彼女の魅力は何と言ってもその5年前の音源を聴いても「松井さんやん!」と気付いてしまう声の「響き」。「女性にしてはハスキー」と言ってしまえばそれまでだが、時に森田童子のような影のある思春期の少女性、時に二階堂和美のような底抜けに純真無垢な幼児性、時に中島みゆきのような少しやさぐれた大人の女性と曲によって全く違って聴こえてくる不思議な響きだ。途中MCで8月から東京へ活動拠点を移すという発表し、AZUMIを呼びこんで「そこにあるところ」。3拍子で刻まれるリズムの上、彼女の声の余韻がいつまでも漂っていた。

 ここで中入りを挟み登場したのは沖縄出身女性シンガーソングライターHIRUGI.co。今回唯一初めてお目にかかる方でした。近年の女流オキナワンポップスとしては上間綾乃が脚光を浴びているが、彼女が正統派の沖縄民謡に裏打ちされているのに対してこのHIRUGI.coは沖縄色が全面的ではない。しかし地声から裏声に変わる時の発声や、歌詞の中でもひと際耳に残る「島」という言葉にやはり沖縄音楽の遺伝子を感じる。MCの端々やステージ上の所作、音の一つ一つが非常に丁寧で人との繋がりでもって音楽をしているということが伝わってきた。「カナスムス」ではツインテールの三味線弾き虹友美を迎えたのだが、「燃える仏像人間」というアニメ映画作品の声優として舞台挨拶の仕事を終えてから来たというMCで爆笑を取る。確かにその甲高い声は声優に向いているが、また山中一平のステージで聴けるお囃子も一級品であった。

 そして最後は山中一平師匠の登場。まずはAZUMIと二人で韓国の民謡「恨 五百年」。AZUMIはギターではなくアルミ箱に木のネックを取り付け1弦だけを張っているオリジナル弦楽器CANJOをボトルネックで演奏する。一平師匠が一節歌えば、AZUMIさんの1ストリングスが暴れ出す。迫力の掛け合いである。お待ちかねは今日の出演者全員揃いアルバム表題曲「河内音頭あべのぼる一代記不常識」である。春一番では演者・観客入り乱れて大きな輪になり踊るのが恒例となっているが、ここはミュージックバー、さてどうなる。すると一人の観客の女性が踊りだした。お!この人いつも春一番でも踊ってはる人だ!客席前方のテーブル・椅子をみんなで端に寄せてステージの前にもう一つダンスステージが出来る。福岡風太もずっと見よう見まねで踊っている。あべのぼるで構成された歌詞だ、当然風太さんも登場する。一平師匠が「風太サイテー、俺サイアク」と歌うと風太さんがニシシと照れ笑う。最後は会場全体であべちゃんの曲「オーイオイ」を讃頌し、大団円。インプロビゼーションであり、ダンスミュージックであり、アンセム。生前あべのぼるをよく知る人も知らない人もこの場にいる全員が彼の元で一つになった。

 ステージに一人残ったAZUMI。「いつ終わるかわかりませんが」といって始めた「あべのぼる物語」。アルペジオに乗せてあべのぼるの名言・迷言・エピソードが「語られる」否、「演じられる」名曲である。その場その場で構成されるので演奏されるたびに歌詞は変わりAZUMI本人も演奏している時は何を言ってるのかわからないようである。

「俺の嫌いなもん言うたろか、男をバカにする女、女をバカにする男」

「真面目に働くな言うとんねん!!金はあるとこから取れぇ!!」

「ソー・バット・レビュー…最低のバンドやったわ」

「アズミ、あんな感じでギター弾けんか?あれでいけあれで…カーチス・メイフィールド」

「先輩ミュージシャンに気ぃ使うな!!最初っから思いっきりいけ!!歌えアズミ!!」

時に優しく語りかけ、時にマイクの音が割れてしまうまでに怒鳴りちらす。どんどんあべのぼるがAZUMIに乗り移り、演奏に熱が帯びる。何度聴いても新しい発見、新しい感情・笑いが生まれてゾクゾクしてくる。こうなれば何でもアリ、自分が座っていた椅子を持って踊り、途中でカーティスの「People Get Ready」を挟み、あべのぼるの歌い方をまねる。続けようと思えば何時間でも出来てしまうフリースタイル。決まった終わり方もないので20分を過ぎた辺りから客席から「終われ!もう終われ!」と野次が飛ぶ。最後は会場の楽楽堂のデビーさんが見かねてAZUMIさんの目の前で手刀を振り下ろし終わりの合図、CD収録verでは10分ほどだが、この日は25分にも及ぶ名演だった。

 宗右衛門、バー、河内音頭と10,20代の夏フェスを心待ちにしているような音楽好きの方にとっては馴染みの薄い要素かもしれないが、ひとたび入ってみれば大阪の音楽が濃厚に生み出されている見逃せないイベントであった。(二段落目から敬称略)

セットリスト(うろ覚えや曲名不明などで誤記、漏れがあると思います。覚えている限り列挙)

AZUMI

・踊る踊り子

・アカヒゲ(鈴木常吉カバー)

・朽ちていく

・まぼろし

・6月25日(光玄カバー)

・今日を生きよう(with 山中一平)

松井文

・風の向く方へ

・そこにあるところ(with AZUMI)

他1曲

HURUGI.co

・いつからか

・名もなきうた(with 渡辺サトル)

・カナスムス(with 渡辺サトル、虹友美)

山中一平

・恨 五百年(ハノンベニヨン)(with AZUMI一弦ギター)

・京葉水滸伝(以下出演者全員)

・浪曲 春一番

・河内音頭 あべのぼる一代記 不常識

AZUMI

・あべのぼる物語


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