カネコアヤノ単独演奏会「さいしん」@ザムザ阿佐ヶ谷ーー酔おてて覚えてへんVol.1

せっかく立ち上げたnoteにだらだら書きます。題して「酔おてて覚えてへん」。どんなにええもん見ても忘れることが多くなってきたので覚書。

2018年1月15日カネコアヤノ単独演奏会「さいしん」。2daysの1日目に行ってきました。

カネコアヤノさん2014年の1st『来世はアイドル』からずっと好きですが、ライヴを初めて見たのは昨年、2回見た。手帳見たら10月4日の下北沢THREE、すばらしかを見る機会を伺ってるとカネコさんも対バンで出るとのことで。あと10月21日のボロフェスタ。どちらも弾き語り。

どちらもお客さん集まっていたけど、会場全体が騒がしく。静寂を引っ掻くような獰猛な歌の力で周り巻き込んでいこうとするカネコアヤノさんにとって両現場とも正直アウェーだと思った。いや、というよりこの人は極端にホームとする範囲が狭い人なんだ。でもだからダメなんじゃなく、逆境に燃える様がたまらなくよかった。ガヤガヤしている会場の中で髪をかきあげ、手の甲で汗を拭き、でっかい目をひん剥きながら懸命にアコギをかきむしる彼女の歌は迫力があるし、最後にケッと唾を吐き捨てるように「とがる」をやって帰る姿がたまんなくかっこよかった。

そんな中で今日のバンドセットを含む単独公演。ザムザ阿佐ヶ谷公演は昨年も1月にやっていて、それはライヴ盤『LIVE AT ZAMZA ASAGAYA
JAN.31,2017』としてリリースされている、この時は全編弾き語り、アットホームな空間が伝わってくるよい録音盤。彼女にとってのいわゆるホームな環境で見るのは初めてだった。仕事退勤して阿佐ヶ谷移動。ちょっとだけ間に合わなかった。受付してたら粟生田さん(カネコアヤノマネージャー)が忙しそうにしたはった。ソールドアウトとあって人びっしりですもんね。

この日は冒頭の弾き語りパートで早々と披露された「とがる」。これまで2回見た時の唾吐き捨てるような歌唱から一転、変わってく覚悟としての”とがり”をみんな分かってくれてありがとうと言うような勇ましく、ザムザに凱旋する歌として響いていた。

後半のバンドセットも大満足。ベースのGateballers本村拓磨さん、一昨日のゆうらん船と連続で演奏を見ることとなりましたが、グラサン、髭、サスペンダー、ベレー帽とキャラが渋滞しまくっている感じ、でもその中でちゃんとベーシストとして卓越しているテクニックを見せつけているのが素晴らしいですね。この日突如リリースが発表されたカセットテープ収録の新曲「序章」、「カーステレオから」。どちらもキャッチーで母音が果てしなく伸びていくようなメロディと歌唱はカネコアヤノ印なのですが、バンドでやることを前提にしていて、オールディーズっぽいアレンジになっているのが印象的でした。「序章」にはちょっとビートルズの「タックスマン」を感じたり。またそれに伴ってこれまでの曲にそもそも備わっていたオールディーズの部分が炙りだされるようなアレンジが素晴らしかった。「春」を始め音源では弾き語りで収録されていた曲も新鮮に聴けたし、1st『来世はアイドル』から演奏された「さかな」「スイミング」はトロピカルな仕上がりになっていた。曲は生み出してからも成長する。カネコアヤノ自身も終始ごきげんで本村さんをかわいいといじったり、グッズやカセットテープを紹介する姿はたどたどしくも饒舌。バンドメンバーに支えられ、開放的になった彼女の歌は音源作品とより印象が近く、素朴な愛らしさを放っていた。見るタイミングと時期、環境、編成で露骨に印象が変わるカネコアヤノ。「生々しい」というのが一番大きな感想です。明日行かれる方、大阪公演行かれる方、楽しんでください。

帰り道カネコアヤノ、平賀さち枝、あいみょんを今の立ち位置が近く、女性弾き語り最前線と括ってみてApple Musicで聴いていた。三者三様の「とがり」があるけど3人ともちょっとベクトルが違うなと思った。

あいみょんにとっての「とがり」は”誰しもが少しは持っている部分”ととして共感できるものとして歌っている。「貴方解剖純愛歌~死ね~」だって表現こそヒステリックだが、男に逃げられた女の感情を現実離れしないぎりぎりを狙って沸騰させるカタルシスがある。加えて昨年の『青春のエキサイトメント』はその共感の部分にフォーカスした作品で、あいみょん自身の「とがり」は徐々に鳴りを潜めている印象もある。

平賀さち枝にとっての「とがり」は感受性を機敏にすることであり、その微々たる違いをセンシティブに理解し、歌にする、”情緒”として。人の心に一番距離を近くし優しく包み込むような彼女の歌は、操縦を間違うと自身の曲に飲みこまれる危険性をはらみながらも歌い続けている。

カネコアヤノにとっての「とがり」は周りからの情報を遮断し、あえて近視的、箱庭的ともいえる鋭利でぶれない自らの世界を歌っている。そんな私の歌を黙って聞けというような、シンプルで男前な「とがり」の現れ方のように思える。

そんなことを考えながら阿佐ヶ谷駅に向けて歩いていたらレイザーラモンRGが酔っぱらいサラリーマンインタビューロケやってた。東京や。そうでもないか。大阪におった時の方がよく見てたか。クヮンガクッ!(1999年~2001年MBSテレビ)。あーあるある言いたい。

時にはこんな選択もあるって言いたい。

ってそれ女性シンガーつってもYeYeの曲。





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