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【第35回】『キリング・イヴ/Killing Eve』第72回エミー賞作品賞8作品まるわかりガイド⑥

【海外ドラマファンのためのマガジン第35回】

「キリング・イヴ/Killing Eve」シーズン3 BBCアメリカ

8ノミネート  IMDB 8.3  Rotten Tomatoes 89%

このドラマ、愛してる!と言うくらい好きです。

『Fleabag /フリーバッグ』のクリエイターでもあり、主演を務めたフィービー・ウォーラー=ブリッジが、企画したドラマ。

今まで、映画や海外ドラマの世界では、女性キャラクターはステレオタイプのものが多かったです。
2000年に入り、少し改善されてきたとはいえ、多くの女性キャラクターは、男性の主人公を引き立てる美女というのが定番でした。

例えば、ホラー作品の被害者は、たいていセクシーな金髪美女で、「キャー!」と叫ぶだけ。

一部の男性を喜ばすだけのようなキャラクターが、定番化してきました。
水戸黄門のように、定番を楽しむのもいいですが、

「もっと魅力的な女性キャラクターを見たい」

と思っていた人は多いと思います。

でも、それを一番感じていたのは、当事者の女優達なのではないでしょうか。

もっと魅力的な役を演じたい、という過去の女優たちの思いが詰まったドラマが『キリング・イヴ/Killing Eve』です。

主な登場人物は、女性3人。
ジョディ・カマーが演じるヴィラネル、サンドラ・オーが演じるイヴ、そして、フィオナ・ショウが演じるキャロリン。

世界的暗殺者ヴィラネルを、MI6のイヴキャロリンが追いかける犯罪ドラマですが、女性が女性を追いかけ、しかもイヴとヴィラネルの間には、愛情にも似た気持ちが発生するという不思議な展開。
そして、暗殺者のヴィラネルは、殺人を重ねていくのに、とてもコミカルなのです。

シーズン3では、優秀な暗殺者で無敵のはずなのに、組織の中で言うことを聞かねばならないという、状況になっていくヴィラネル。

性格や状況、生い立ちなど、ミルフィーユのように幾層にも折り重なった要素が、ヴィラネルというキャラクターを、今までにないほど魅力的な犯罪者として作り上げています。

魅力的な役がなければ、自分たちで作ればいい

優秀な女性クリエイターが、登場したからこそ、作ることができた、新時代のドラマと言えるでしょう。

ノミネート主要部門
作品賞
主演女優賞 ジョディ・カマー 
主演女優賞 サンドラ・オー
助演女優賞 フィオナ・ショウ


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