カッコいい妹
韓国旅行に行ったときのこと。
インチョン空港でスーツケースをゴロゴロしていた。
エスカレーターで下っていた時に事件は起きた。
ガタガタ!!
音のする方を振り返ると、スーツケースが転がってきていることに気づいた。
スーツケースの持ち主は慌てていた。
私も「え?どうしたらいいの?」と立ち尽くしていた。
目の前を通るスーツケース。
一番下まで行っちゃうのかな。
妹を見ると、妹はパッと手を伸ばしていた。
スーツケースを獲物のようにじっと捉え、ガシッっと掴み、グッと踏ん張る。スーツケースの落下を防いだ。
私は思わず、
「ナイスキャーッチ!!」
と妹を讃えていた。
スーツケースの持ち主も
「Thank you,thank you!!」と大いに喜んでいた。
妹は右手を挙げて答えていた。
すごいじゃん!と言うと、
『なんか、いけるかなって思ったんよ。』
そんな風に言っていた。
何とかしないとと思っても、なかなかできることじゃない。“どうしよう”と考えている間にスーツケースが通り過ぎていることの方が多い。
キャッチできるイメージよりも前に、体が動いてたんじゃないかなと私は思った。
エスカレーターに“スーツケース注意”の貼り紙を見た時に、この話を母にした。
「妹、カッコいいやん。」
そういう母に、そうだ。カッコいいとはこういうことを言うんだ。と私は思った。
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