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苦楽を共にした地図

私は路線図を見るのが好きだ。
頭の中で路線図を見ながら旅をする。
「◯◯行って、◯◯して。あっ、こことここが繋がってるのか!だとしたら帰りはこっち周りで帰っても…」
0円でできる旅にニヤニヤする。

これで西村京太郎さんのサスペンスもできそうですからね。

韓国の旅行でも、この“趣味”は発揮された。
妹が行きたいところの最寄り駅を言ったら、
「1号線で2駅、4号線に乗り換えて3駅で行けるよ。」とガイドブックの付録の地図を見ながらすっと答えた。

地図を見るのも苦じゃないから、その地図は私がずっと持ち歩いていた。
韓国でグーグルマップはあまり発揮されないらしい。妹は別のアプリで地図を見て、私は紙の地図を見て一緒に歩いた。

しかし、最後の最後に私はその地図をトイレに忘れてしまった。気づいたのは仁川国際空港へ行く電車を待っている時のホーム。

「あぁ!苦楽を共にした地図が…!」
と私が呟くと、妹は
「もうそれなくても空港まで1本だから、取りに戻らないよ」
ちょっと冷たく答えた。

私はひどく後悔した。
帰りの飛行機で地図を見ながら行った場所を辿ってまた旅をする。
そこまでが私の旅行なのに……。
ごめんね、苦楽を共にした地図くん。

また韓国旅行に行く時に路線図や地図を買おう。
また路線図で旅をして、地図にチェックを入れて、ちょっとボロっとしたものをしっかり持って帰ろう。
そう決心したのだった。

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