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考え抜く力

息子が大みそかくらいから第一志望の大学の志望理由書を書きなおしていた。
年末に病気になっちゃって、学校に提出するはずの志望理由書が完成しないまま急な入院となってしまった。(三日後には退院できました)
学校推薦なので願書期日ギリギリにというわけにもいかない。
だからこそ年内登校最終日には提出せねば、というタイミングの1週間前に急に予期せぬ入院。しかも体には肺の装置もついていて、病室も狭く、退院まで結局手を付けられぬままだったそう。

それでもクリスマスにはなんとか書き上げていて第一稿を提出。読ませてもらったけど最初に書いたものは、いかにも作文しました、という理由書だった。
IBで学べたこと、やってみたボランティアから学んだ視点、英検1級を目指してがむしゃらにやったことと、大学ではいろいろなことを学びたいということをむりやりつなげてる感じ。
作文がそこそこ書けちゃうだけに、別に悪くないんだけど、読み手からしたらあなたがどんな人かというのは伝わってこなくてなぁ、というフィードバックをだしました・・。
先生もしっかり見てくださって、ツッコミがかなりある。もっともなツッコミだらけ。
で、そもそもがなぁ・・という感じ。

その日、夜遅くまで夫も交え話したことで息子の揺れる気持ちが吐露された。
「志望理由書書けば書くほど、自分が学校推薦で受験する資格なんてないと思ってきちゃって。英検1級がほしくてがむしゃらにがんばって取れたから志望しただけ。それがなかったら普通に受験してこんな難しい大学受けようなんて思わなかった。ちょっとかっこいいなと思ったし。」」
と本心をあらわにし、志望理由がかけない自分にいら立ってた。

ほんとね、そういう「揺れ」みたいなものがなかったらほんとじゃないだろう?ってくらいよね。むしろそれ、正しい道だと思うよ、そこからでしょと私は思ったね。

どうしてここにしたか、っていうのは結構重要で、なんとなく選んでいるようで、実はちゃんとあると思うんだよね。自分のそれまで育ってきた環境や経験からもらった視点とか、特性とか、思想につながっている。そこを雑に見すぎだと思う。

彼は高3の春に理系から文転したんだけれども、それは自分にとっては大きな転機だったはず。そこを見つめてみると、どうしてそう思ったのか、そのきっかけになった出来事はちゃんと作文に書いてある。

自分の理想や望みみたいなことを正直に書いたらいいのでは?大学に入るのがゴールではないと自分は常日頃思っていて、大学に行かなくたっていいといってるんだからさ。
本当に望んでいることは「世界が平和になること」だけど、そんなこと書くのおかしいとか思ってるのかな?でも、それが本心ならそこからスタートするしかないんじゃないかな。そして、その理想や思想にいまこの機会をいただいて向き合っておくことって、大学の合格不合格を抜きにしても人生にとって役に立つんじゃない?

その願いと自分ができることとの乖離がありすぎて無力感がある。(それはすごく共感できる・・)だからこそ、学んで知識をつけたいし、力をつけたいし、ほんの一筋でも影響力のある人になりたいと考えているのでは?世界のためによりよいことができる人になるためには大学じゃなくてもいいけれど、今のままの自分ではどこにいっても何もできないと思うからこそ、大学に行くことを「選択」しようとしているわけでしょう?そのことを雑に扱わなくてよくて、その進路選択に意味があると強く感じていることを言葉にしてみたら、と。

ほかにもいろいろ夫からも視点をもらって、そういうことだったら自分のことを言えるかも、とはいったものの
「さて、どうやって?」という新たな問いを抱えて(それはわからんwwとしか)部屋にこもること五日かな・・

昨日の夜、夫と遅くまで話していたみたいだった。私は娘との約束が朝早くあるから寝てた。でも階下で聞こえてた。

今日の夕方になって「読む?」と出してきた志望理由書。もう先生に送信した、と言ってたので私のフィードバックはいらないと思うけど読ませてもらえるなら。

理系課題の探求の研究の質疑応答から自分の課題感に気づいたことが文転の大きなきっかけだったこと、今の自分には見えていることは少ないけれど希望も感じたG7ボランティア、知識をつけたい、社会構造を学びたい、社会の構造が変わり、たくさんの人がかかわっていくことで世界の在り方もかわる希望があること、広い視点を得るために日本から出て行く必要性を強く感じているからこそ留学を希望し、英語学習をがんばっていること、というように振り返ってみたらつながっていたな、といま感じているということ、がきちんと書かれていて、胸を打たれるものがあった。

自分の軸と真摯に向き合ったんだな、と感じて、これで落ちても仕方ないなと思った。あとは、先生が添削してくださる。

志望理由書の大きな変更を伝えたとき先生からも「そのほうがいい、書き換えよう」というフィードバックをいただいたたそう。先生も、ご自身のご家族の大変な状況のなか年の瀬に帰省先で電話で朝早くからセッションをしてくださって、ほんとうに感謝しかない。

こんなに応援されて受験に迎える息子は恵まれているとしか言えません。病気があって先生たちにもスケジュールの変更を受け入れてもらって、ほんとうに忙しくさせていること重々承知で、すべて終わったら感謝を伝えてこようと思います。

合格したらもちろんうれしいけど、これで落ちてしまっても、彼の人生の願いを言葉にできたということは価値のあることなので、とてもよかったなと母としては思っているところです。

お読みいただきありがとうございました。

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