2017備忘録:大企業の意思決定が遅れる理由

(神戸製鋼所スキャンダル始め、企業統治が脚光を浴びた年と思われるので、下記他サイトでの投稿ですが、転載致しました。)

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重要原因は3点と思われます。

1)株主に指名された取締役会による一元化された統治が出来ていないこと、その背景として依然銀行依存で株式と債券による「直接金融」が不十分であること(金)

2)社内各級役職の権限・責任、特に情報報告の流れが、制度化されていないか、制度が形骸化していること。背景として社長などトップ層の任期が短いことも関係する(組織)

3)転職市場(特に中間管理職以上の)が整備されておらず、「抵抗勢力」の出口がないこと(人)

会社が、集めた「金」を、「組織」という枠組みの中で、「人」が運用する場所、という大枠の認識から見れば、この3点が重要と認識できるかと思います。

前述の3点が「意識決定が遅れがち」につながるメカニズムは下記と思われます。

1)最高意思決定機関であるはずの取締役会が、各事業部門(派閥となりやすい)ヘッドやOBによる合議・追認の場となっており、主要議題である予算配分や業績目標、事業の集中と選択はなどはもとより部門間の軋轢やOB既得権の損害につながりやすい為、対立により決定が長引く。

2)情報がトップに一元化されず、各部門ヘッドやOBに分散して報告され、かつ共有の義務化が徹底されていない為、共通認識に基づいた決定が出来ない、又は誰の許可を得れば最終決定と見なされるかが明確でない。特に、トップの任期が短い場合、全社人事・情報を把握する時間が足りず、権威も低い為さらに深刻化する。

3)トップが強力に意思決定を行なっても、対立する事業部門ヘッドや各担当者が面従腹背な場合危害が大きい。欧米型の場合、不服者は転職しても他社で高待遇を得られる為、比較的スムーズに変革ができるが、日本の場合は長期雇用を前提にしている為、「抵抗勢力」から見た場合、社内の立場を守ることがより死活問題となる為、抵抗が大きく、慎重にならざるを得ない。

もちろん、この議論は「意思決定が遅れがち」という事実がある前提でお話ししていますが、この命題自体が明確な基準を持って検証されたものでない為、要因の分析と同時に、事実把握も必要になると思いますね。

https://jp.quora.com/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%A4%A7%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E6%84%8F%E6%80%9D%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E3%81%8C%E9%81%85%E3%82%8C%E3%81%8C%E3%81%A1%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%A8%E6%80%9D%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%8B/answer/Maxim-Mingxi-Chen?share=1d104fe3&srid=5an7Y

https://jp.quora.com/日本の大企業ではなぜ意思決定が遅れがちになると思いますか/answer/Maxim-Mingxi-Chen?share=1d104fe3&srid=5an7Y

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