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ミニ四駆に戻ってみた。7 ミニ四駆3000円対決

「......3000円対決?」

「ああ」

相棒リバティーエンペラーと共に駆け抜けたフラット対決から数日後。

ヒロから告げられた次回のお題が予想外で思わず聞き返してしまった。

へぇ〜3000円対決かぁ。

電話を切ってから『ミニ四駆 3000円』でググってみると……おお、めっちゃヒットする!

なるほど、買ったものを持ち寄ってその場で組むってのがポイントのようだな。

早速UMAとも連絡を取り合い、最終的に以下の通りに決まった。

・税込3000円以内でミニ四駆を作成する
・レシート持参
・製作時間は一時間。完成した者からレーン選択OK
・タミヤレギュレーションに準拠
・ゴミは全て持ち帰る

今回は事前に立体レイアウトである事も確認した。うむ、抜かりは無い。

しかし3000円かぁ。改造はどうしよっかな?

とりあえず思いつくのは4パターンほど。

①ARかMAにファーストトライパーツセット、サイドマスダン等の無難な構成
②敢えてのS1でロマンを貫く
③製作時間の限界に挑むMSフレキ
④3000円で欲しかったレア物を買って素組み

うーむ、どうしたものか。

どうせ3000円使うのなら④かな?

まぁ急がなくても時間はある。もう少し考えてみよう。

んで数日後。

「ふへへへ、買っちゃったぜ!」

リバティエンペラー、プレミアムッ!

真っ白なS2シャーシに跨がったメタリック調の自由皇帝。そのあまりの神々しさに思わず変な声が出た。

おいくらしますの? 1台1800円ですわよ奥様ッ!

「だから後は立体コースの入場料代わりに1200円分のパーツを現地で購入すれば」

「いや、ちゃんと戦おう?」

電話越しの好敵手……独身教授ヒロから冷静なツッコミが入る。

「1000円じゃモーターとFRP着けたら終わるぞ? ブレーキすら買えん」

「俺がリバティエンペラーを組めば素組みでも勝てる!」

The中二病。

良い子のみんな! こんな大人になっちゃダメだぞ!

まぁ冗談は置いといて少し真面目に戦略を練るとしようか。

先程はああ言ったがヒロとUMAは素組みで勝てる相手ではない。残念ながらプレ値のマシンで戦うのは無理だろう。

そもそも知識、技量で負けているのだから予算の使い方で優位に立たねば勝ち目が無くなる。自ら悪手を指してはならない。

まずは情報だ。という訳で購入したのがこちら。

Yes! 超速チューンナップ入門ッ!!!

ミニ四駆の参考書で情報を得る。これが第一段階だ。

ロスチャイルド家の繁栄は情報の速さにあった。情報の速さは勝敗に直結する。なればこそ情報にはお金を掛けていい。

勝利の鍵は勉強だ! 学生のみんな、勉強しよう! 俺はしなかったけどな!

続く第二段階は経験を得ること。

実のところ俺はまだ提灯改造をまともに組んだことが無かった。速度ばかり求めてきたので制御系の改造は手付かずだった。

なのでまずはド基本の「提灯」とやらを組んでみようじゃないか。

提灯と言っても飲み屋の軒先にあるアレではない。ミニ四駆が着地の際に体勢を崩さないよう安定させる為の改造方法の事だ。

組み上がった姿がまるで提灯のような形をしているためそう呼ばれている。

とりあえずやってみよう。今回取り付けるのはリペイントしたアストロブーメラン雪風(S2)。

重たいわ~。

しかし落下テストをしてみるとこれがけっこう良い感じ。着地がピタッと決まる。

それにけっこうカッコ良いぞ?

ううむ。立体コース走らせてみたい!

新潟県新発田市
月岡温泉ラーメン店『きぶん一(いち)』

嫁「うん、美味しい」

新潟市から車で30分。

関東からも旅行客が訪れる有名な温泉街に美味いラーメン屋が存在する。

平日休みの利点の1つがこういった有名店に並ばずに入れる事である。

だがしかし俺の狙いはここからだ。

真の目的地は新発田市内に存在するホビーショップ『ホットボックス㈱萩野玩具店』様。

定期的に公式大会も開催される本格的な立体コースで提灯の効果を試してみたい!

てな訳で、嫁と一緒にレッツゴー!

ちりんちりーん

明るい店内は綺麗に整頓されており、目当ての商品を探しやすいレイアウトとなっている。

早速ミニ四駆関連の商品を確認してみるとキットはもちろんパーツもしっかり揃っている。流石の品揃えだ。ラジ四駆が売られているのも初めて見た。

欲しかった商品をいくつか購入し、早速コースを使わせてもらう事にした。

「ラップタイマーもどうぞ使って下さいね」

「ありがとうございます!」

優しそうな女性店長さんに通されると、奥には広くて立派なコースがあった。

ふと壁を見ると、直近の店舗大会の記録だろうか?タイムアタックの結果が貼り出されていた。

一位は13秒台後半、他の方はだいたい14秒~16秒台。はてさて、初めて作った提灯でどこまで行けるか。

まずは充電切れかけのネオチャンプ×アトミックチューン。

ギュイィィィ、ザシャァ

挙動はド安定。さすがは提灯だ、なんともないぜ!

タイムは16秒78。まだまだ行けそうだ。

とりあえずハイパーダッシュで試してみると安定の15秒76。行けるやん! 提灯行けるやん!

どこまでやれるか試すべくパワダを積んで調整開始。ブレーキは弱めで良いと判断しフロントアンダーガードを見直すこと数回。

ギュイィィィ、ザシャァッ!

うむ! 14秒台!

初めての提灯でタイムアタックボードにランクイン!

提灯すごい、てか現代ミニ四駆恐るべし。

やっぱ新しい情報って大事なんだなぁ。

そこから対決直前まで俺の地道な研究は続いた。

アルミベアリング、タイヤ、ブレーキ等......予算内で組めそうなパターンを考慮しつつ購入すべきパーツを厳選していた。

そして本日。

ピンポーン

「印鑑かサインをお願いします」

約3000円分の荷物。この一箱に全ての命運が掛かっている。

ここまで3000円の使い道に悩んだのはいつぶりだろうか。新婚当初の極貧期間以来かもしれない。

ヒロとUMAがどんなマシンで来るかは予想できないが、自分なりに満足のいく買い物が出来たので悔いはない。

後は忘れ物がないようにしっかりと準備しておこう。

そして迎えた対決当日。

「……ん。まさかのフラットって事も無いな。高速立体か」

前回は確認をミスったが今回は下調べをしたので間違いない。うむ、勉強したぞ。

レイアウトはジャパンカップをイメージしてのハイスピードコース...らしい。

というかパッと見て高速だの何だのと判別できるってヤバくないか? 同じ初心者という気がしないぞ。

まぁいい。とりあえずお互いの買い物が正しく行われているか確認することにしよう。

まずはUMA。なんと自前で計画書を作成しての参戦だ。

・ミニ四駆本体…ファイヤードラゴンプレミアム(VS)
・モーター…パワーダッシュモーター
・超速ギヤセット(3.5:1)
・ファーストトライパーツセット
・六角穴ボールベアリング
・オフセットトレッドタイヤ ハード(大径)
・13mmボールベアリングセット
・ブレーキブレーキスポンジセット
計2962円

手堅くファーストトライパーツとブレーキが含まれた組み合わせ。UMAもそれだけ本気という事か。

マシン本体が往年のファイヤードラゴンという辺りは流石というか。彼らしいチョイスだ。

お次は独身教授ヒロ。

・ミニ四駆…ライキリ(MA)
・モーター…ハイパーダッシュモーターPRO
・ファーストトライパーツセット
・ローハイトオフセットトレッドタイヤ (ハード)
・13mmボールベアリングセット
・60mmステンレス中空シャフト
・FRPマルチプレート
・MAシャーシ用サイドマスダンパーセット
計2933円

「ノンブレで行くよー!」

「の、ノンブレーキだと!?」

いくら何でも無茶だと思うのだが。しかし相手はあのヒロだ、油断は出来ない。

重量のあるサイドマスダンを装備するようだが、それが吉と出るか凶と出るか。

最後は俺だ。

・ミニ四駆本体…エアロアバンテ ゴールドメッキ仕様(AR)
・モーター…パワーダッシュモーター
・MA用ファーストトライパーツセット
・ポールリンクマスダンパーセット
・13mmボールベアリングセット×2
・AR用ブレーキスポンジセット
計2937円

「メッキ仕様だと!?確か高いはず」

UMAが驚くのも無理は無い。本体だけで言えば俺が1番高いからな!

「デザインで選んだ。ぶっちゃけ普通のアバンテの方が安い!」

「ハハッ!」

「お前がそう来ると分かっていれば、俺はブルーメッキの方にしたのに」

謎に悔しがるヒロ。どうやら買い付けのインパクトでは1歩リードしたようだな!

ここからは時間との勝負。一時間で果たして走れるように組まなければならない。

「それでは位置についてぇ、用意ぃ……

ッタッ(⬆)!!!」

「言い方」

俺の雑なボケにコンパクトなツッコミを入れてくれるUMA。ツッコミ役が居てくれると安心する。

今回の対決は3000円で買い揃えたミニ四駆を1時間で作らなければならない。作業効率の良さと手先の器用さが求められる。

ビニールを破りランナーからパーツを取り出す作業が続く。ガサゴソ、パチパチといった音だけが作業スペースに響いている。

やがて訪れる静寂。

聞こえて来るのは店内BGMとゲームコーナーの音、スポーツコーナーの足音くらいだ。

「店員からしたら『あのお客さん達なんで走らせないんだ』って感じだろうな」

ヒロの言葉通り異様な静けさが続く。

俺は自宅から持ってきたパーツクリーナーの入った瓶に13mmアルミベアリングローラーを丸ごと入れる。

そして靴下の中へ忍ばせてから貧乏ゆすりを開始した。

「どうだ、これぞ秘技『作業しながら貧乏ゆすりで脱脂』!」

しーーん

ドヤ顔で叫ぶも完全にスルーされる。切なくなったので静かに作業に戻った。

シャカシャカ、カチャリ。

カチャッ。

作業音だけの空間。

......。

「キミのパンチを、見せてくれ!」

隣のゲームコーナーから、定期的にパンチングマシーンの声が聞こえてくる。

...カタッ......。

「キミのパンチを、見せてくれ!」

……シャァァ…。

………。

「キミのパンチを見せてくれ!」

「………」

だんだん気になってきた。

………………。

「………パンツ(ボソッ)」

おっとイカン。つい口が滑ってしまった。

………………カラッ…

「キミのパンチを見せてくれ!」

「キミのパ○ツを見せてくれ!」

「!!」

言いやがったな、ヒロ!

これは……負けられんッ!

「キミのパン○を見せてみろ!」

「駄目だ、変態過ぎる!」

「俺の○ンツを見せてやる!」

自分から言い出すパターンだと!?

「30連……釘パ○ツッッッ!!!」

「キミのパンチを見せてくれ!」

俺とヒロのバトルに筐体までもが加わりサバトと化した。

「待て、女性店員が来たらどうする」

「キミのパン○を、見せてくれ!(キリッ)」

俺達のバトルに呆れ顔になるUMA。

「いい歳して……」

「30代、恐れるものは何もない」

などと話をしていると時間はあっという間に過ぎていく。

「ほれ、もう15分経ったぞ」

「エエッ!?」

一体いつの間に? 体内時計では5分ほどしか経過していないのに!

「ヤバイ全然進んでない。つかそんなに経過してたのか」

焦った声を上げたのはUMAだが俺もやっとギヤのブレークインに差し掛かった段階。これ完成させられるのか?

焦りつつもギヤ慣らしとボディのステッカーチューンを同時進行で勧めていく。

ゴールドメッキのアバンテ。こいつに今回の勝負を託す。

その後も必死で作業する3人。

しかし俺達は気付いてしまった。

「いやマジで無理じゃね?」

製作開始から30分が経過。

ヒロは順調に組めているようだが他二人はタイヤすら付いていない。普通に無理。

そしてFRPとブレーキを貼ったところで俺の手は止まった。

「タイヤ買ってねぇ」

タイヤを取り付ける段階になって初めてノーマルタイヤしか持っていない事に気がついた。

他の二人はハード系のタイヤを購入していたはず。流石にこれはマズイか?

いやしかしその分ボールベアリングの数が2個多い。コーナーリングで勝てるはず。

うむ、行ける!

何とかタイヤまで付け終わった時、新たな問題が問題が浮上した。

「リヤローラー取り付けられねぇ」

ローラーは13mmで統一したいのだが、その為に必要なスペーサーが足りない。こいつは困った。

「くっそスタビが欲しい! キノコが欲しい!」

後ろからヒロの困り声が聞こえてくる。恐らくはキノコの形をしたスタビポールが欲しいという意味だろう。

「ほーれほれーキノコだよぉー」

とりあえず手持ちのキノコを見せびらかす。

いや、そんな事をしているヒマは無い。何とか取り付ける方法を考えないと。

「………デゲデゲデデッ、デゲデゲデデッ」

キノコ繋がりでマリオ1-2面のBGMを口ずさみながら解決策を思案する。

ふと、ポールリンクマスダンパーの基部に目が止まった。

そうか! ネジ止め出来るんだからスペーサー必要ないじゃないか!

「アイデア来たー! テェテェテェテッテッテレッテッテッテェテェテェテッテッテレッテッテッ」

今度は無敵スターのBGMを鳴らしながら作業を進める!

「止めろ、手元が狂う」

「大丈夫、俺もだ」

自爆したため作業が滞る。

そんな俺達を尻目にUMAが慣らし運転を開始したようだ。

ギャギャギャギャ!

いくら慣らしとはいえ音がひどい。

「軸受けくらいはグリス塗ろうよ」

「大丈夫だ。軸受けは別に買ってある」

そういう問題なのか?

「そういやVSは例の場所にブレーキ付けなきゃ異音が……」

「なにッ! どこだ!?」

「フハハハ」

「教えてくれ!」

そんなこんなで時間は経過していく。

というかこれ無理じゃね? 明らかに時間が足りないぞ?

タイムリミット3分前。

ヒロはきっちりと時間内に完成させて試走を始めていた。

ギュイィィィ、がしゃんっ

しかし走りがイメージと違うようで本人はご不満の様子。もう走れているだけでも充分ヤバイのだが。

俺はというと未だリヤローラーと格闘していた。取り付け位置を間違ったらしくFRPがわずかにはみ出してしまう。

取り付け直す時間は無い。仕方なく余り部分をカットする事に。

間に合え、間に合えっ!

「おいほっと、UMAから延長申請が出てるぞ」

見ると俺と同じくローラーセッティングの段階のようだ。これでは勝負どころではない。

「多数決を取ります。延長オッケーの方〜」

「「はーい」」

「延長しまーす」

てな訳で、一時間以内に完成させられたのは教授だけでした。

「すまんなヒロ、待たせる事になるが」

「いや、俺も調整するからいいよ」

だがその調整がまずかった。

「うおっ、タイヤが抜けた!」

数回目の試走にてコースアウトの拍子に両輪がすっぽ抜けた。

しかし様子がおかしい。

「タイヤが抜けやすくなった。割れてる」

「あ〜」

ホイールの根元が割れている。そして残念ながら予備も瞬間接着剤も無い。

「ほっとくぅぅん。俺もうこのまんまでいいやぁ。下手にいじるとまた抜けそうだしぃ」

「お、おう」

ヒロ、心折れる。

可哀想に。

仕方がない。誰もYスポークホイールの予備なんて持っていないのだ。すまん。

「でけた!」

なんとか完成!

この瞬間の為だけに持参した岡田先生の単行本と並べてパシャリ。

見た目だけで言えば大満足の出来。

まだミニ四駆に戻っていない全国の皆さん! 3000円でもここまで出来ますよぉ!! 早くミニ四駆にぃ、戻ってこぉぉぉぉぉい!!!

ハァハァ…フフフ、後はレースに勝つのみ!

だが。

ギュイィィ

「あれぇ?」

遅。

「なんでだ! リアにもベアリングローラー仕込んでるのに!」

とか言いながらも『タイヤが悪いんだろうなぁ』とは気付いている。

しかし問題はそれだけじゃない。

「完走できない」

全くもって謎だがポールリンクマスダンパーの効果が全く感じられない。ポンポン弾む。これじゃあレースどころじゃないぞ?

「うーむ、なんでだ〜」

「うーむ」

声の方を見ると、UMAも首をひねっている。マシン自体は何とか完成させていたようだ。

マシンを前にして悩み顔になるのはいつもの事だが、今日は何だか様子が違う。

なんというか、困っているというよりは戸惑っているような......?

しかしその疑問はファイヤードラゴンの走りを見てすぐに解けた。

ギュイィィィィ!

「速ッ!?」

UMAが速い!?

いつも速度不足に悩んでいるUMAじゃない! とんでもない速さのファイヤードラゴンを操っ

がしゃんッ!

いや、操りきれていない。

「どうしてもコースアウトする」

「速すぎだろ」

いつも速度に悩んでいたUMA。自分のマシンが制御しきれないくらい速いという経験が乏しいのだろう。まさに未知との遭遇。

なんだかんだで結局完走出来なさそうな3人。この勝負、どうなってしまうのか。

PM0:15
新潟市江南区 マクドナルド横越店

「ありがとうございましたー」

前回に引き続き、今回もみんなの昼食をパシる。

俺のマシンはブレーキの見直しで完走するようになったがとにかく遅い。

UMAはコースアウトばかりでレースどころではない。

ウンウン唸っている2人にヒロが一言。

「とりあえずメシにしよう」

「おう。じゃあ、レースは午後からでもいい人ぉー」

「はーい」

とまぁ、そんな訳で買い出しに来ていた。

『一時間で組む』とは何だったのか。グダグダである。

パシリを終えて店内に戻ってみると、ヒロが別のマシンを走らせていた。

今話題のMSフレキ。俺の知るものとは違うらしく軸受けが独立したタイプらしい。

ギュイィィィィ

「やっぱりプラウドちゃんの方が速いな」

愛ゆえに自分のマシンに『ちゃん』付け。ごく自然な事なので問題ない。

ホイールの破損したライキリは迂闊に走らせられない為、代わりに持参したマシン達による1人レースを始めていた。

「うおおおプラウドちゃんよりSFMが速いだと!?」

ヒロの走りも気にはなるが、俺ものんびりはしていられない。

手早くチーズバーガーを胃袋へと流し込んでマシンと向き合う。折角作ったゴールドアバンテだが何故にこうも遅いのか。

試しにポールリンクマスダンパーを外した状態で走らせてみると。

ギュイィィィィ

あ。少し速くなった。

しかも別段マシンが暴れるような事もなく安定している。

これポールリンクマスダンパーの分をタイヤに回せたんじゃないか?

いや、今更悔やんでも仕方がない。現状でのベストを尽くそう。

UMAはというと相変わらずブッ飛んでいる。

VSシャーシに大径オフセットトレッドタイヤのハードを内側履き。更にそれをパワーダッシュでブン回す。

ギュイィィィイ、カッ!

うん。すげぇ飛ぶよね。

幾度もトライを繰り返した後、彼は英断を下した。

「これしか、無いのか!」

そう呟くとオフセットトレッドタイヤを外し、付属のイボイボタイヤへと付け替えた!

「「マジで!?」」

そしてそのままスタート!

真っ先に驚いたのは、その走り……ではなく、音。

フオオオオオオオオッ!!!

あの雄叫び、間違いない。

HK、変態仮面だ!!

いや、怪しいのは音だけではない。イボイボタイヤを履いたVSは軽快に走り着地も難なくこなす。

コーナーで僅かに減速するものの、モーターのお陰かすぐにスピードを取り戻す。

フオオオオ、ザシャァッ

そのままゴール!これは速い!

「このタイヤ、行けるじゃないか!」

がしゃんっ

「あっ」

直後にコースアウト。安定感は微妙だ。

だがとりあえずこれで全員が完走した事になる。

「で、やるのか? やらんのか?」

「おう、5分後にレースしよう」

全員の準備が整った事を確認し、それぞれのレーンへとマシンをセットする。

いよいよだ。誰が一番3000円で速いマシンを組めるのかが決まる。

安定感はバッチリだが速度不足の俺。

タイヤに不安を抱えるノンブレーキのヒロ。

マシン自体は一番速いがイボイボタイヤの性能は未知数のUMA。

なんて微妙なマシン達なんだ! 全く読めんッ!

とにかく始めてしまおう、レースの時間だ!

「位置について!用意……

っタッ(⬆)!!!」

各車一斉にスタート! まずリードするのはどのマシンか!?

フオオオオオオ!!!

怪しいげな初速でイボイボUMAがリード! ヒロがすぐ後を追う展開になる。

ギュイィィィ、がしゃんッ

「!!!」

ヒロのライキリが下りスロープで体勢を崩す!

大きく跳ねて車体がフェンスに乗り上げてしまうが、ギリギリのところで何とかコースに復帰した。

しかし他の2台とは大きく遅れてしまう。ここから巻き返す事は難しいか?

ギュイィィ、ザシャァッ

俺のゴールドアバンテは安定した走りを見せる。このまま行けば完走は確実だろう。

だがしかし。

フオオオオオオ!!!

やっぱり怪しい。

UMAのファイヤードラゴンがやたらと速い。既にコース4~5枚分は引き離されている。

だがUMAのマシンはまだ不安定さが見られた。最後まで勝負は分からない。

ギュイィィィィ

ラスト1周!

「どうなる!?」

「………!」

「イボイボ速ぇ!」

ファイヤードラゴンの速度が増してきたのか、ジャンプ後の着地がほとんどコーナーギリギリだ。

これは、ヤバいか!?

フオオオオオオ、ザシャァッ!

「な、なにぃ!?」

通過した!

そのままゴール!!

結果は......?

「ふはははは!」

1位:UMA(VS)
2位:ほっと(AR)
3位:ヒロ(MA)

「優勝はUMA!!!」

最終的には大径イボイボタイヤをパワーダッシュモーターでブン回したUMAの勝利!

全国の皆さん。3000円で高速立体マシンを組むならファイヤードラゴンです! イボイボタイヤを信じましょう!

ぐぬぬぬ、なんか納得いかねぇ!

「くそぅ、なんで俺は本番に弱いんだっ!」

立体コースではUMAに2連敗中のヒロ。

だが気にする事は無い。俺なんてこれで7連敗だ……。

【 次 回 予 告 】

打倒ヒロを合言葉に毎日のように打ち込んできたミニ四駆。しかしここに来て大きな壁に突き当たってしまう。

マシンを組めるようになったせいか、相棒のS1よりも他のマシンの方が速くなってしまったのだ。

好きなマシンで走りたい。だがどうしたらいいんだ!?

そんな時、思い悩んでいた俺の前に一人のレーサーが現れた。

次回、ミニ四駆に戻ってみた。

「ベテランの衝撃」

これが、本物のカツフラレーサー......!!!

ほぼ毎夜10時頃~YouTubeにてゲームorミニ四駆の生配信を行っています!お気軽に遊びに来てください!https://www.youtube.com/channel/UC38sxZzD1yC-rTQzTaS7h5A