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ゆがんだミニマリズムは摂食障害に似ている

先頃、BBCのニュースで、「連続返品魔」の問題について報道されていました。

なんでも、買い物をしては返品を繰り返す、ひどいケースだと、洋服などを着用したあとでも返品してくる消費者が増えているらしいです。イギリスでの統計によると、女性客にこの傾向が強いと言われています。

返品される商品の中には、店頭に再度並べられない状態の物もあるそうですが、店側としては、顧客を満足させるために返金に応じざるをえない状況らしいです。

なんだか、むちゃ食いしては嘔吐をくり返す摂食障害と共通するものがあります。症状の出かたが違うだけです。

実際、不安障害の傾向がある人は、不安から逃れるために過食や買い物依存という行動にでます。

一方、ある一定の物事を極端に拒絶するのも表裏一体で、根底にある問題は同じです。

ところで、日本で「ブーム」になるものは、本来のものが何かしら歪められていることが非常に多いのですが、昨今の日本でのミニマリスト・ブームにも、摂食障害に通ずる危うさを感じます。

物に対する考えがバランスを欠いている

よく知られているように、拒食症と過食症はセットになって交互に起こることが多々あります。

これを買い物に置き換えてみると、買い物依存や過度の所有欲が「過食症状」ならば、極端な断捨離や捨て魔は、「拒食症」に似ています。

どちらも、根底にあるのは、不安やストレスなどの精神的な問題である可能性があります。

「捨てすぎる」人

不用品はある程度処分したのに、もっと捨てなければ、という強迫観念にかられたりする場合は、それは断捨離でもミニマル化でもなく、心理的な面で何かがバランスを崩しています。

充分痩せた女性が「まだ痩せなければ」と思い込んでいるのと同じ精神状態です。

以前書いたように、ミニマリストとは、余計なものをもたない、ということであって、もの捨て競争ではありません。

「捨てては買う」をくり返す人

また、捨てては買い、捨てては買いを繰り返すのは、先に挙げた「連続返品魔」と同じことです。モノを拒絶・放棄する先が、ゴミ箱か店への返品か、の違いだけです。

すでに何度か書きましたが、ミニマリストと称しながら(あるいは目指しながら)、しょっちゅう何かを買っている人の行動が気にかかるのはこの理由です。

断捨離というものは、不用品をひと通り処分したら、ふつうは一段落すると思います。継続しておこなうべきは、「余計なものを買わない(もらわない)」という「断」の部分です。

結局、物に執着していないか

育ちざかりのお子さんがいる場合、どうしても物は増え続けるでしょう。でも、そんなわけでもないのに、いつまでも断捨離が一段落しないというのは、それまで長い期間、はんぱなく物をため込んできたか、そうでなければ、捨てる一方で何か余計なものを言い訳しながら買っているからです。

なかには、「どこまで捨てればいいのかわからない」をいう人もいるようですが、それは「自分軸」がないがゆえの問題です。あきらかにブームに踊らされています。

漠然と時流にのるのではなく、まず、自分で考える力を養いましょう。

念のために書き添えておくと、一過性のやけ食いや、一時的な食欲減退は摂食障害ではありません。誰しもそういう時はあります。しかしながら、つねに食べ物のことが頭から離れない、となると話は別です。

同様に、不用品を処分しだすと、断捨離が一気に加速するときがあります。「リセット」がひとまず完了する時はそんなもんです。

ですが、年がら年中「これ捨てた」「これ買った」とそんなことばかり考えているなら、それは屈折した物質主義にすぎません。