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電脳コイルとiPhoneに教えてもらう、Apple Vision Proと空間コンピューティングの未来

こんにちは、こんばんは、Minimal Order(ミニマル・オーダー)です。日頃はAbleton LiveやXLN Audio Life、そしてMoog DFAMなどを用いて音楽を制作しています。仕上がった音源は、SpotifyやApple Musicなどに公開しています。


はじめに

Appleの空間コンピューティングデバイスApple Vision Proが2月2日に発売されて一週間以上が経過しました。

最近はさまざまなSNS上で、Apple Vision Proを使ってみた方の感想や、使用風景の実際の動画が出回り始めています。


50万円を超える価格や、街中で気軽につけるにはちょっと大きすぎるサイズからも、「未だ、Apple Vision Pro内のコンテンツを充実させてくれるエンジニアや法人向けに売っている」という印象。


Apple Vision Proはまだ始まっていない

よって、このApple Vision Pro(あるいは廉価版の登場も想定内に入れるとApple Visionという呼称がふさわしいかも)が本領発揮するのは、しばらく先のことだと感じました。

ただ、その「しばらく先の未来」を予見するヒントは身近なところにあると思います。

今回は、私見や個人の感想からなる記事ですが、「磯光雄さんの作品「電脳コイル」と、Appleの過去のイノベーション「iPhone」に、Apple Visionの行く末を占うヒントがあるのではないかと思い、したためてみました。


なぜ電脳コイルとiPhoneか

端的に言うと、

  • 電脳コイルからは、空間コンピューティングデバイスの生活空間への浸透の仕方が占え、

  • iPhoneからはAppleの商品展開戦略の傾向をうかがい知ることができるから

です。

電脳コイルとは

ガンダムやエヴァンゲリオン、攻殻機動隊などのアニメーターとしても知られる磯光雄さんが原作・脚本・監督の三役を担ったTVアニメ作品。

メガネ型ウェアラブルデバイスが浸透した2020年代の日本の地方都市を、小学生の視点を主軸に描いています。

時は202X年、今よりもちょっと未来。子供達の間で“電脳メガネ”が大流行していた。この“電脳メガネ”は、街のどこからでもネットに接続し様々な情報を表示する機能を備えた、子供たちになくてはならないアイテムだ。現代の携帯電話のように普及し、ほぼ全ての子供が持っている。舞台は由緒ある神社仏閣が建ち並ぶ古都でありながら、最新の電脳インフラを擁する地方都市「大黒市」。

https://www.tokuma.jp/coil/story.html

微ネタバレを含むかもしれませんので、ネタバレを好まない方は目次だけ読んでいただき「どのような未来が伺えそうか」概略を掴んでいただければと思います。


iPhoneとは

Appleが販売しているスマートフォン。初代iPhoneは2007年1月に発表され、同年6月29日にUSで発売開始されました。

いまや、街中で観ない日はないですが、当時は「そんなもの(日本では)売れないよ」という意見もあったのが記憶に新しいのではないでしょうか。

個人的にも、「これはヤバい」「未来だ・・・」と感じたのはRetinaディスプレイを搭載したiPhone4を手にしたときでした。初代の発売から実に4年以上が経過していた頃でした。

この超個人的体験を踏まえると、「Apple Vision生活変えたな・・・」となるのはこれから少なくとも4~5年後、2030年近くになるのではないかと考えています。

というわけで今回は

物語(電脳コイル)と、既知のデバイス(iPhone)の両面から、Apple Visionがどのように進化し、生活に浸透していくかを占いたいと思います。

Apple Visionと空間コンピューティングの未来

繰り返しにはなりますが、Pro以外の廉価版も出ることを想定し、この記事ではAppleの空間コンピューティングデバイスを「Apple Vision」と呼びます。

1) 子供も1人1台持てるくらいには手に入れやすくなる

iPhoneを含むスマートフォンが大人だけでなく、子供にも浸透している現状を踏まえると、Appleが同じことを空間コンピューティングデバイスでも狙うことは自然です。

価格の面では、廉価版が出ることは想像に難くないですし、Apple側の期待としては「デバイスが売れることそのもの」だけでなく、visionOS上で多くのユーザーに活動してもらうことで、「データがリッチ」になり、「コンテンツ販売収益」が増えることを期待していることと思います。


2) 学校で禁止される時期を経て、教育にも導入される

アニメ「電脳コイル」では、多くの小学生が(高度な空間コンピューティングと読んで良いあれこれのできる)メガネ型電子デバイスを持ち、学校にすら普通のメガネを付けていくように持ち込んでいます。

スマートフォン/タブレットが「禁止→(塾や学校での)教材プラットフォームとしての積極活用」と変化を遂げたのと同様に、空間コンピューティングデバイスも教育現場に持ち込まれる日はくるでしょう。

世界史の教科書は、「没入度の高い映画のワンシーンとセットで学ぶ」という授業が当たり前になるかもしれません。

教科書ではほんの数行の文章が、リッチな空間演出に変わる、かも


3) 今まで以上に、デジタルの所有物に愛着が湧く

電脳コイルでは、リアルな電子ペットが登場します。一緒に散歩するし、一緒に寝るし、ときに病気にもなってしまう。

病気になって辛そうにしていると、それが電子データとわかっていても心を痛めてしまう。

そして、(仕様にせよ、バグにせよ)亡くなってしまったら、飼い主である人間はしばらく立ち直れない。

心療内科にも電子ペットロス患者が増えている。

ということが起きるかもしれません。


4) 歩行・移動中のユーザーの視界を妨げないように、ルールが厳しくなる

こういうのすごく危険なので、わりと早期に厳しく制限される気がします。
ルールとシステム両面で。


5) 空間の情報が二重。三重。あるいは多重になる

ちょっと抽象的ですが

  • ありのままの世界

  • 空間コンピューティングを通して観た(共通の)世界

  • 空間コンピューティングの中で、特定の鍵を開けられる人だけ見れる世界

  • ・・・

というように、景色に幾重にも情報が重ねられると思います。
たとえば、

  1. デバイスを外していたら白い壁にしか見えない のに、、、

  2. デバイスをつけていると「音楽イベントのポスター」が貼られているように見えて

  3. 特定の権限を付与された人からは「イベントのディスカウント情報」まで視認できる

といった具合に。

iPhoneで空間の立体写真や立体ビデオを撮れるのはこの機能の基礎固めとも言えるなと。


電脳コイルではまさに第1話からそのような描写がありますが、様々なSF作品でもヒントとなる描写があります。

例えば、Amazonの映像作品シリーズ、ペリフェラルでは、「人が少なすぎるので、風景をにぎやかにするために、もっと人が歩いているようにみせる」といったギミックが登場します。


おわりに

今回は、主にアニメ「電脳コイル」とiPhoneをヒントに、空間コンピューティングデバイスApple Visionの未来を考えてみました。

テレプレゼンスが高度になって云々、、、みたいな切り口の話題も載せたかったのですが、長くなりそうだったので割愛。

ではまた!


参考


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