されど、空の青さを知る
「すぱっと決めるのもいいし、じっくり考えて決めるのもいい。
だけど、どっちに転んでも、そんなに変わらなかったりするよ~」
職場のおばちゃん先輩と、出張先でご飯を食べたときに、そんなことを言われた。人生の先輩だけあって、なんか妙に説得力があった。
私はあまり仕事が早い方ではない。遅い方ではないのかもしれないけど、あまり正解がないような選択を迫られる時がある。そこで、すぱっと決められない時が多い。
自分は2年目で今年は入った1年目の職員が同じ係にいる。
その彼を見ていると、自分と成長スピードがまるで違うというか、よく自分で調べて上司に自分のプランを伝えている姿をみかける。
未だにそういうことが苦手で、どうしたいか決めあぐねてしまう私からすると、彼の仕事ぶりは憧れそのものだ。
間違いたくないという思いが強いのか、すぐに自分の答えを導き出すことが苦手なのかもしれない。仕事に限らず、あまり決断力がなく、ついつい先延ばしにしてしまうことが多い。それでせっかくのチャンスを逃してしまうこともあった気がする。
***
でも、あまり後悔はないかもしれない。
仕事はもっとしっかりしなきゃと思うけど、人生の重大な決断でたとえ間違ったとしても、あまりタイミングとかは関係なかったと思う。早く決断していたからと言って、うまくいっていたとは思わないし、もっと入念に準備したとしても、結果は大きくは変わらなかっただろう。
学生の頃に戻って自分の人生をやり直したいと思うけど、それなりに満足のいく時間を過ごすことができたのに、同じ結果にならないかもしれない。
もっと理想に近づけることもできたかもしれないけど、もっと酷い時期を過ごすかもしれない。そんなことを考えると、なんやかんやうまくバランスの取れた時間を生きてきた気がする。
それにあの時は、あの時なりに精一杯やっていたわけで、ベストではなかったとしてもベターな選択をしたと思っている。
たとえ間違えてもきっと無駄にはなってないよ。きっと。
***
たぶん、いくつになっても心は揺れる。
若い時はそれを他人に伝えて、共感や励みをもらうことができるけど、
大人になるにつれて、それがだんだんと難しくなってくる。
みんな何かしらのしがらみがあったりして、
苦しいのは自分だけではないから。
大人にだって夢がある。
理想を追いかけて、挫折もするし、恥ずかしいこともたくさんある。
現実と折り合いをつけていかなくちゃいけないことが増えていく。
まっすぐに「好き」と伝えることも難しくなる。
自分のやり残したことを考えると、だんだんと投げやりになり、諦めたくなることもある。
だけど、そうやって心が揺れ動いているうちは、たぶんまだ若い。
そして、若いうちはきっと何度でもやり直せる。
時には立ち止まる時間も大事だ。
そういう時期も私たちには必要なのかもしれない。
でも、何かがきっかけで動き出せるときが来る。それはいつになるかはわからない。停滞しているときというのは、自分が今まで積み重ねてきたことが熟成されている時期なんだと思う。
いつか、必ず前に進みだせる。
僕らはまだ青い。
これからもいろいろなことで、悩んだり、悔んだりするのだろう。
それでも諦めずに漕ぎ続けていけば、
いつか思わぬ幸運に出会えるかもしれない。
いつか、空の青さに気づける日が来るのかもしれない。
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