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「だが、情熱はある」 面白い!

お笑いが好き、拗らせた男子はもっと好き。
そんな自分がこのドラマを、面白いと感じないはずはない。
言わずと知れた、南キャン山里亮太とオードリー若林正恭。
拗らせに拗らせ抜いた二人の若者の、青い春から今に至る道程を、笑い8割泣き2割で見せてくれるドラマ。

2話までのあらすじはこちら


お笑い好きは、さも玄人気取りで言っちゃったことあるよね。
「オードリーの面白さって、春日じゃなくて若林だと思うんだよね」

南キャンの登場は衝撃的だったよね。
山ちゃんのシズちゃんに対するとりあえず全部受け入れるツッコミは、優しいツッコミぺこぱよりもずっと前だった。

しかし、感じる両者の拗らせ感。
より根暗く静かにふつふつと拗らせてる感がある若林(好物)
女の子にモテたいと言うストレートな欲望のもと拗れてネジくれていく山里。
何者かになりたかった彼らが、何者かになるまでのストーリー。
「ほぼ実話」らしい。


1.主演の二人の演技が面白い!

錦鯉長谷川さんを演じた森本慎太郎くんに、もう怖いものはない気がするけれど、ビジュアルだけでなく、表情筋の使い方、姿勢、喋り方が山ちゃんにそっくり。見事。

そして、もう多くの人に言われているけれど、髙橋海人くん、若林くんに声と喋り方がそっくり!
絶対、若林くんの方が、似せて演じるの難しいと思うのだけれど。
演者の細やかな観察力と努力を感じる仕上がり。
目を閉じればそこに若様。
一見(一聴)の価値あり。


2.山里の母が面白い!

ヒコロヒー演じる山里の母が、ものすごく良い。
彼女はどんなことでも必ず褒める。
「すごいねー」
たとえばこんな感じ。

ちょっとビックサイズに育った山里。衣料店にて母いわく
「あんたね、この店にある一番大きな服よりも大きくなっちゃってるんだって。お店の予想超えてるんだよ。すごいねー」

3点のテストを見て母いわく
「3点も取れてるんじゃん。(選択肢なのに)全部はずしてる、この確率、すごいねー」

ただただ女の子にモテたいがためにお笑い芸人になりたい、と絶叫連呼する山里に母いわく
「そんな恥ずかしいこと大きな声で言えて、すごいねー」

なんか、ポジティブ?
このリフレーミング(枠組みの変換)スキル見事だよ!
母は決して上っ面や嘘で言っているようには感じない。
けれど、ヒコロヒーの妙に棒な「すごいねー」は、えも言われぬ哀愁となって響いてくる。
ナレーションは「呪いの言葉」と評している。
(ここの深掘りは、若林の父の呪いの言葉「死ぬぞ」とともに、別記事で書こうと思う)
とにかく、いい味出している山里の母が面白い。


3.笑いに被せてくる泣きが面白い!

もちろん笑い要素が多い本作。
でも、1話に2度ぐらい泣き笑いする箇所がありつかまれる。
笑っちゃうシーンが数秒後に泣けちゃうシーンに味変している。
そういうシーンでは、決まって、抑圧に抑圧を重ねた”とほほ”な二人の感情が、至って真面目に真っ直ぐに爆発して解放される。

真面目って笑っちゃうんだね。
お笑いの本質ここにあり。
特に1話も2話も、終盤の二人の爆発シーンは切々とした可笑しみと哀しみのブレンドが秀逸だったので、是非ご覧あれ。


4.脇役が面白い!

山ちゃんの周りには結構素敵な人がいる。
1話の親友”ためちゃん”、優しい。
ちょっと極端な山里を笑ったりこき下ろしたりしない、すごくフラットなお友達。
「お前、すっごい面白いよ!」なんて嘘は言わない。
「時々面白いから。時々ね。時々ね?」 ためちゃん正直。
(ためちゃんが、「時々じゃなくて…」と言ってくれるシーンも見ものです)

2話の大学で出会う”米原先輩”、あったかい。
米原先輩の、異次元の可笑しみと優しさは、ぜひドラマにて確認していただきたい。

対して若林はどうだろう…。
「若林は面白い!」と言って友達を殴った青年(お前、ダレ?)
予想に反して、決してがっついてはこない春日。
でも、この春日の若林に対する距離感と寄り添い感がとてもいい。
実は、若林の周りも面白い。

3話はいよいよ、シズちゃん登場だから、期待は高まるばかり。
われらが夢っぺ(箭内夢菜)も応援したいところ。

番外編:「泣くな、はらちゃん」ですよ!

白石加代子…光石研…薬師丸ひろ子…
そして、画面のフィルターのこの感じ。
なんだ、この既視感。何かに似ている…と思ったら、
私が愛してやまぬドラマ「泣くな、はらちゃん」じゃーん。

同じ日テレだもんね、と思いスタッフを調べたら、
はらちゃんの演出 狩山俊輔さんが、「だが、情熱はある」の演出にも入ってらっしゃる。
プロデューサーの方も。
個人的には、ちょと嬉しいリンク。
可笑しくて切ない感じが自分のツボなのだ。

視聴者を選ぶ、とも評されていたけれど、お笑いに全く思い入れがなくても、何者かになりたかったいつかの自分を思い出しながら、誰でもライトに見られる良作だと思います。
もちろん、今何者かになろうとして拗れている、青い春の人にもおすすめだよ。


「呪いの言葉」について深掘りしてみました:若林編はこちら

呪いを解いた若林のお話はこちら


「呪いの言葉」深掘り:山里編はこちら

呪いにかかりそうもない春日のお話はこちら


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