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【3/25記者会見配布資料】厚生労働省の「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」 公表を受けて

#みんなの生理は、厚生労働省による「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」 が公表されたことを受け、記者会見を行いました。

会見の際に配布・使用した資料を掲載しますので、ご覧ください。

会見の模様はこちらからご覧いただけます⬇️
#みんなの生理公式Instagram
https://www.instagram.com/tv/CbhZLYbpx3t/?utm_medium=copy_link

はじめに

本記者会見では、厚生労働省が 3 月 23 日に「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」を公表したことを受けて、#みんなの生理の意見を発表させていただきます。

今回の調査の評価できる点

1  国が全国規模の調査を実施した点。
2  生理が個人のウェルネスという文脈で語られ、これまで多かった妊娠・不妊治療、労働損失額などの「生産性」の文脈で語られなかった点。
3  「生理用品に関する公的支援制度の認知・利用状況」を調査したことで、今後の公的な取り組みの課題が明らかになった点。

今回の調査の懸念点

1.「生理の貧困」の定義が極めて限定的である点。
「経済的な理由で生理用品を購入できない女性がいる」
*厚生労働省(2022)「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」結果概要 p.2 より
➢ 「生理の貧困」は経済的な理由に限定されない。
➢ 「生理の貧困」は生理用品の入手困難だけを指すのではない。
➢ 生理を経験するのは「女性」として生活している人だけではない。

#みんなの生理では下記の「生理の貧困」の定義を用いている。
(生理用品や衛生設備など)生理を衛生的に迎えるための物理的環境及び生理に関する教育に十分にアクセスできない状態のこと
*Alvarez, Alexandra (2019) “Period Poverty” American Medical Women's Association より・#みんなの生理訳

2 「コロナ禍において経済的な理由で生理用品が買えない」→「身体的・精神的・社会的な影響がある」というストーリーを前提にした調査になっている点。
➢ 「生理の貧困」はコロナ前から存在していた問題であり、コロナ禍の問題としてしまうことで支援の継続性が担保されない。
➢ 経済的な理由に限定した狭義の「生理の貧困」に則って今後の公的支援制度を組み立てていくと、その他の理由で生理用品の入手に苦労している人にとっては利用しにくい・利用できない支援になりかねない。
また、経済的な理由が強調されるあまり、支援にたどり着きにくくなってしまうリスクがある。
➢ 身体的・精神的・社会的な負の影響がなかったとしても、生理用品や生理のケアへのアクセスは全ての人に保障されるべきであるという点は強調したい。

3 個々人の健康管理の問題とされかねない点。
➢ 「身体的・精神的な健康被害」が明らかになったところで、生理用品や生理のケアをめぐる環境改善をするしかない。それらは個々人が健康管理することで解決する問題ではなく、構造的・制度的な問題であることが強調されるべきである。
※ そもそもこの調査では、「生理用品入手の困難」と「精神的な不調」との因果関係が不明瞭である。

国・自治体に求めること

1 この調査を受けての今後の具体的なアクションの提示。

2  個々人への啓発に留まらない、社会全体で生理のある人を支える仕組みづくり。

➢ 「生理の貧困」は、個々人が支援を受け、注意をすれば解決されるものではない。「生理の貧困」の背景にある、生理を前提としていない学校・職場環境、様々な場におけるジェンダー・バランス、生理のスティグマ※などにも目を向け、生理・更年期差別の法的な禁止、正規・非正規雇用ともに休みやすい職場環境の整備、誰でもトイレの増設と生理用品・衛生的なサニタリーボックスの設置、性教育の共修と充実などの実現を求める。
※ スティグマとは、「社会における多数者の側が、自分たちとは異なる特徴を持つ個人または集団に押し付ける否定的な評価」のこと(広辞苑)。

3 狭義の「生理の貧困」に基づき「困っている人」を選別するような支援ではなく、間口の広い公的支援制度(生理用品の軽減税率適用や公共施設・学校のトイレの個室への生理品設置など)。
➢ 「自分が提供される対象に含まれなかったから(12.4%)」という理由で公的支援制度を利用しなかったことが明らかになっており、提供対象を限定してしまっている・限定しているように見えてしまうために必要な人に支援が行き届いていない現状がある(p.10)。自治体が「困っている人」を選別する手間をかけ、結果的に必要な人がこぼれ落ちてしまうのであれば支援の意味がなく、誰もが自由に生理用品を使えるようにすることが優先である。
➢ 「申し出るのが恥ずかしかったから(8.5%)」「人の目が気になるから(7.8%)」「対面での受け取りが必要だったから(6.2%)」などの理由もあげられており、窓口で生理用品を配布する方法では必要な人に支援が届いていない(p.10)。トイレの個室への設置など、誰もが人目を気にせずに遠慮なく生理用品を取れる環境の整備が必要である。
➢ 支援の間口を広げてしまうといたずらや持ち去りが発生してしまうという意見があるが、現状として公共のトイレにトイレットペーパーが設置されており、時折いたずらや持ち去りにあってしまう。それでもトイレットペーパーが設置され続けている理由は、いたずらや持ち去りのリスクよりもその必要性が勝るからである。生理用品も同様に、いたずらや持ち去りのリスクよりも必要性が高く、常設されるべきものである。

おわりに

生理に関する公の支援は、理由、期限、対象などに条件がつけられるべきものではありません。
現状では、生理用品に 10%の消費税がかけられ、「治療目的」でなければピルは保険適用外であり、結果として生理があるだけで生涯 50 万円近くかかります。
性教育が不足し、生理が社会でないものとして扱われている状況では、日本で生理を経験するほとんどの人が広義での「生理の貧困」の当事者であるといえます。経済的な理由で生理用品が入手できない一部の人の話として「生理の貧困」を扱うのではなく、より広い視野をもって、すべての生理を経験する人が安心して暮らせる社会の実現のための取り組みが広がることを願います。


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