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ある労働運動指導者の遺言 足立実の『ひと言』第77回「先を見よう 友誼労組との合体問題」 1992年11月17日

 全国一般東京労組からの組織合体の申し入れは、執行委員会で意見の一致を見ず討議を打ち切る結果になったが、賛成論も反対論も自身の組合や自分の職場の当面の利害からの発言が多いように聞こえた。私たちは何時の間にか視野が狭くなっているのかな。
 『中小企業労働者の地位向上のために何をするか』という議論をしてもよかったなと思う。
 私たちの組合のエネルギーの源泉は何だろうか。『労働者は自らの利益のために必ず闘いに立ちあがる』ことを自ら体験し、『全国の仲間が立ちあがれば日本は必ず良くなる』『そのために誠心誠意奉仕しよう』ということになったと思う。
 今後五年十年先の東部労組の目標を皆でつくることは重要だ。目標が決まれば意識的計画的に成果を積み上げられる。エネルギーも湧き、足並みも揃う。必ず勝利と発展がある。
 再び東京労組から副委員長を私たちの組合からという話があり、執行委員会は私を出すことにした。平均寿命に残る時間は十一年だが、一年ぐらい他の組合で中小企業労働者のために活動し研修しても良いのではないかと思い承諾した。
 そういう訳で、『ひと言』をふくめて自身の組合の活動は一年間休みます。
 お互いにがんばろうや。 (実)

(画像は東部労組の友誼労組、東京労組の組合旗)

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「『ひと言』筆者足立実の略歴」にもある通り、このコラムを筆者が書いた1992年、筆者は64才であった。

参考

『ひと言』筆者足立実の略歴
https://note.com/minoru732/n/nea7b6c32a04a

この時期、筆者の所属する東部労組と同じ目標を持った友誼労組の東京労組との組織合同の討議を組合内部でしていたが、結局組織合同はせず討議打ち切り、ご破算となった。

筆者はこの組織合同に前向きであり、このコラムには若干の苦渋が滲んでいる。

筆者は「中小企業労働者の地位向上のために何をするか」という問題意識をもち、労働者の団結を信じ、視野狭窄に陥ることなく先を見据える事が重要であると説いている。

この議論を契機に、筆者はこの友誼労組へ副委員長として「出向」することになった。

そのため、当コラムの「ひと言」は一年近く休載となる。

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