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ある労働運動指導者の遺言 足立実の『ひと言』第76回「闘いが団結を育てる」 1992年9月10日

 私の場合、組合の仲間以上に頼りになる人たちがいない。親戚も友人もこれに及ばない。おそらく何時かの闘いで運命を共にし、長い間支え合った者たちの間に生まれる感情なのだろう。俺もそうだという仲間は多いと思う。
 会社の利潤追及は宿命で、必ず労働者の利益を侵害する形で出てくる。私たちは必要に迫られ、組合の団結を武器に職場闘争や組合結成、ストライキや不当弾圧反撃など無数の闘いをやった。闘いが労働者の利益を守り友情を育てた。
 でもそれだけではなかった。
 政財界の軍事大国政策や国民を食い物にする政治に怒り、「まじめに働き、なお悩み苦しむすべての人民の解放のために闘おう」「そのために強大な私たちの組合の隊伍をつくり、地域・全国の仲間と団結しよう」という皆の思いがあった。
 この思いは、外から見れば犠牲と苦労だけのような闘争や活動に没頭し、時には喜びさえ覚えるエネルギーに転化した。友情はこういう意識の上に形成され、実践の中で強まった。
 階級的友情のない団結は脱けがらだ。しかも友情は一所に止っていない。熱くなるか冷えるかだ。だから私は生涯「解放のために闘う」という意識を強め、闘志を燃やして皆とともに闘い続ける努力をしなければならないなと思う。(実)

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このコラムは階級的友情と団結について言及している。

筆者は組合の仲間が親戚や友人よりも頼りになると述べ、それは「闘いで運命を共にし、長い間支え合った者たちの間に生まれる感情」=階級的友情であるとしている。

そしてこうも述べている「階級的友情のない団結は脱けがらだ。しかも友情は一所に止っていない。熱くなるか冷えるかだ」この友情を育むためには「闘志を燃やして皆とともに闘い続ける努力をしなければならない」と結論づけている。

自分には「本当の友人」がいるかどうかを考えさせられるコラムである。

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