手花火のこれからといふ玉落つる
豪快な打ち揚げ花火の音を聞くと血が騒ぐという人もいるけれど、ぼくは小さな線香花火に郷愁を感じる。
かすかな記憶の中にある幼い頃の自分、行水から上 がると鼻の頭に天花粉を塗られ、家族みなで輪になって花火を楽しむのである。
ぱちぱちと爆ぜる火の粉が怖くて小さな手がおどおどと震える。
その小さな手を包みこむようにして励ましてくれた温かい母の手の感触を今もはっきりと覚えている。
昨日のことは直ぐに忘れる情けない年代になってしまったけれど、決して忘れることのない幼い頃の思い出は宝物だと思う。
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