Minoru Sakurai

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最近の記事

執筆場所こそデザイン対象 ── データとデザイン裏話#7

今回は、執筆をする「場所」について書いてみる。伝えたい裏話が多すぎて、ついつい真面目な投稿が続いてしまったが、7回目にもなって、やっと少しゆるい話が書けそうだ。 書籍の執筆は、静かな部屋でゆっくりとコーヒーを片手に進めたいものだが、実際は静かであればあるほど、ついSNSを開いたりしてしまうものだ。特にTikTokは厄介で、『データとデザイン』の中でも触れたが、様々な操作からこちらの今の気分を推定して、見事に引き込んでくる。仕事のリサーチで手を出したTikTokであったが、B

    • 「デザイン」という言葉が意図すること ── データとデザイン裏話#6

      今回の裏話は『データとデザイン』における「デザイン」の考え方について書いてみようと思う。 『データとデザイン』は2年間をかけて執筆されたが、本を書き進めるごとに「デザイン」と呼んでいるものや、「デザイナー」と呼ぶ対象が徐々にクリアになっていった。当初は「UI/UXのデザイナー」をイメージしながらデザイナーと表記していたが、書いていくうちに、より幅広く「デザインの思想を持つ人」と表現すべきであることに気がついた。そのため、最後まで書ききった後、前半を書き直す作業をしている。

      • ChatGPTでデータは人に近づいたが、まだまだ"許容"には至らない ── データとデザイン裏話#5

        『データとデザイン』の裏話#5では、執筆している間に起こったChatGPTを取り巻く社会の変化について書いてみようと思う。 やはり一番の変化はChatGPTの登場だ。執筆を開始した2022年の12月に発表されたOpenAIのChatGPTは、皆が知っての通り、対話型の生成AIとして驚きの精度を持っていた。元々人工知能の分野は変化が激しいことから、本の中で言及するかどうか悩んでいたが、結果的に『人工知能とデザイン』という章を設けることになった。 2022年には画像生成AIで

        • 脱データドリブンUX ── データとデザイン裏話#4

          記事4本目ともなるとネタが尽き始めるかと思いきや、意外と書きたいことが多いことに驚いている。今回は『データとデザイン』におけるUXの扱いについて触れたいと思う。 書籍を執筆している間も、度々書籍についてXで投稿をしていたが、その中で一時「データUX」というキーワードが登場した。これには、デザイナーやエンジニアが「データからUXをつくる」のではなく、「データを扱うためのUXをつくる」ような違いを感じてもらいたいという想いがあった。つまりは、「Webサイトのアクセスログからデザ

        執筆場所こそデザイン対象 ── データとデザイン裏話#7

          書く書く詐欺を脱した機会 ── データとデザイン裏話#3

          『データとデザイン』という書籍の裏話を始めてみたわけだが、#1#2が思った以上に堅い内容になってしまったので、もっと肩の力を抜いて、どうしようもない話をしようと思う。 この書籍はTakramのエディターである矢野さんに、壁打ち相手になってもらいながら書いた。彼がいたからこそ、走り切ることができたのだが、2年前のカレンダーを見ると、4月5日に初めての会議が開かれていた。しかし、発端は2年前どころか、2019年に遡り、一度一通りの目次が書き上げられていた。今見ると表面的には似た

          書く書く詐欺を脱した機会 ── データとデザイン裏話#3

          データ活用は「機能」から「許容」の時代へ ── データとデザイン裏話#2

          『データとデザイン』については、noteの公開と同時に、TakramCastも収録しているが、その中で「執筆中の気づき」という質問をされた。収録時はサラッと答えたが、話しきれなかったのでnoteで書いてみようと思う。 一番の気づきは、「なぜデザインの視点からデータを扱う必要があるのか」ということだ。書籍では想定読者を「デザイナーや、デザインの思想を持つエンジニア、新規事業担当者等」と定義し、「デザイナー」と称しながら様々な視点から重要となるポイントを書き連ねている。が、正直

          データ活用は「機能」から「許容」の時代へ ── データとデザイン裏話#2

          データとデザイン裏話#1

          noteを始めるきっかけとなった『データとデザイン』という本について、何回かに分けてその裏話を書いていこうと思う。この本はBNN出版から2024年の1月29日に発売される予定で、日々生まれゆく膨大な量のデータを、いかに私達の生活とつなぎ、価値を生み出せるのかについて、デザインの視点から紐解いている。 本の中では、執筆に至った経緯や、そこに込められた想いなどが記されているが、noteでは本には書いていない裏話を紹介していきたい。#1では、『データとデザイン』というタイトルの由

          データとデザイン裏話#1

          noteはじめました

          2024年に入り初の著書「データとデザイン」も出版されることになったので、noteをまじめに始めて見ることにしました。 X(Twitter)ですら、レギュラーで投稿できていない自分が、noteを定期的に更新することなんて出来ないのではないか、と思い止まっていたのですが、最近Xの投稿では書ききれないことも増えてきました。 noteのアカウントは随分前に作っていたため、久々のログインで「はじめて4周年記念」というバッジを受け取ってしまったわけですが、あまり肩肘張らずに、楽に書

          noteはじめました