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ミャンマー・チン州におけるこんにゃく芋栽培・加工による貧困削減の可能性

今回は、現在行なっているミャンマーでの調査についてです。調査内容についてまとめていますのでご覧ください。調査結果は、大学院の修士論文として執筆する予定です。

▼調査について
本調査では、ミャンマー・チン州におけるこんにゃく芋(Elephant Foot Yam: 以下EFY)栽培による貧困削減及び地域発展の可能性について探っています。ミャンマーでは、2015年時点で32%の人口が貧困ライン以下で生活しています。中でもチン州はミャンマー国内で最も貧困率が高く、子供の栄養失調も深刻です。チン州の農家も急速に国内外の市場に組み込まれ始めており、その中でもEFYの栽培は、チン州の一部の地域で最良の収入源として注目を浴びています。野生の収穫および栽培されたEFYは、乾燥や細粉の加工後、中国や日本市場に輸出されます。しかしながら、貧困削減を目的として活用するためには、農地での栽培や加工段階での品質や技術向上が課題です。芋のサイズ選定やスライス、乾燥などの課題があり、農家の生活実態とそのバリューチェーンについての調査はこれまでほとんどなされていません。そのため、本研究ではEFY栽培がチン州の農家にもたらす影響と展望に関して実地調査を元に明らかにします。特に、中国向けEFYよりも高い価格で取引がなされている日本に向けた輸出の可能性について探っています。本調査は、Ar Yone Oo (AYO) という現地NGOの協力の元で実施しています。

森から畑に植え替えられる前のこんにゃく

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▼調査方法
栽培地域を訪れ、農家へのインタビュー、関係者へのインタビュー

NGOへのインタビューの様子

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▼調査から見えた現状と課題
農家はこれまで現金収入がない中でも、自給自足に近い生活をしていましたが、生活は貧しく、交通の便が悪いことから、都市へのアクセスも不自由で、ミャンマー でも最貧困地域になっています。近年こんにゃくの栽培がNGOのサポート等を受けて盛んに行われるようになり、中国や日本に向けて輸出するトレーダーも、ミャンマー の他の地域よりも生産量の多い、チン州地域から購入するようになっています。
その一方で、栽培品種への研究調査が不足していること、収穫後の処理加工技術が不十分でないことから、買取業者は品質の悪さを懸念しています。供給よりも需要が大きく今、取引価格は上がり農家の収入は増えていますが今後より安定して拡大するためには、政府やNGO機関のサポートが必要です。

標高3000mにもなる美しいチンの丘。

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村で頂いた朝ごはん。

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栽培地域で少しずつこんにゃくが製造され食べられるようになっている。

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レストランで裏メニューとして提供されているコンニャク料理。

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2019.07.

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